第三条 千切の泣き顔
千切は泣き、
「娯楽性、娯楽性」
「何をそんなに考え込んでるんですか、チンポウさん?」
「ああいや、案山子ちゃん。別に大したことじゃないんだが、例えば原寛貴のような実力はあってもぱっとしないクリエイターがいるだろ?」
「あー、商才というかバズリティが無いですよね」
「そうなんだ。商才というかバズリティが無いんだ。バズリティ? バズリのアビリティみたいな? まあ、今日の議題は『令和クリエイターの明日へ……‼』だな」
「明日へ……‼ と力強く言われても……。そうですねー。やっぱツイッターじゃないですか」
「Xだな。まあ当然原寛貴も利用しているが、原寛貴にはバズリティが無いからまずバズらん。宛てのない宝くじだな。当たる確率は砂粒だ」
「たまに伸びることはあっても、そのまま売上に直結するようなものではないですよね。プチバズリ程度で」
「ああ。そしてそんなのは大体みんな経験している。みんなと同じじゃクリエイターの高みへ行けない。そこでユーチューブだ」
「原寛貴って確かユーチューブもやってましたよね。チャンネル登録数3でしたっけ」
「ああ、最近コツを少し掴んで、キャッチーな動画を上げるようになった細やかな成果だな」
「本当に細やかすぎますよ。3じゃまだまだ序の口です」
「ああ、ツイッターやユーチューブをやっても、原寛貴のバズリティではその程度の成果しか上げられない」
「ツイッターのフォロワーは6000人くらいですよね。高くはないですが、二周年と考えると絶望的に低い‼ というとこまでは行きませんね、ギリギリ」
「それは原寛貴が積極的にフォローしていたから、フォローバックしてくれる確率が高い人達が取り敢えずフォローバックしてくれているだけだがな。本気で原寛貴のツイッター面白い‼ と思う人は大分少ない。Xか」
チンポウは案山子と口論をぶつけ合い、原寛貴のバズリティの低さを自覚する。しっかりしろ、原寛貴‼ お前が潰れると私達も連動的に死ぬんだ‼ チンポウと案山子の内心の叫びを、果たしてどれだけの人が拾ってくれるだろうか。
「絵心さんのガッツポーズは熱かったですね」
「安い‼ 安い人気の取り方はやめろ、案山子ちゃん‼ 卑しいぞ、卑しんぼが‼」
「チンポウちゃんの鮎も美味かったで!」
「エロかパロか分かり辛い下中ネタはやめろ、デスピサロ‼ 下中パティシエールが‼」
「千切の泣き顔は熱かったですよね」
「だから安いって‼ 私はたしぎが過って少し冷めたよ‼ 海賊王とか國神の『俺を笑っていいのはこの生き方を決めた俺だけだ‼』的なゾロの信念みたいなの踏まえると、この作者ワンピース大好きだなとか思うよ‼ 試合中に回想が多くなってワンピース味が増してくるし‼ サッカー版ワンピースだよ‼」
「お、その尖った個性的な意見はバズリティ高いですね」
「バズバズうるせえ‼」
チンポウは自身のバズーカの砲身を覗かせ、そこから案山子提督へ向かって波動砲を繰り出す。クリ出して繰り出す。上手い。いや、下手だ。下ネタだからね。
絵心さんはガッツポーズする。