DVマムシに捨てられた親子の前に893現る
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いきなりだけど、自己紹介をする。私は『大牟田ミカ』。高校生。私には父と母がいる。
母:やめて…。
大牟田:何しとんじゃ!アレを言わんかぁぁぁ!
母:キャー!
大牟田:そうじゃ!もっと言わんかぁぁぁ!
父は母に暴力を振るい、母から「キャー」を言わせるのが趣味…。そして…。
大牟田:帰ったか。ミカ。さあワシにキイロイコエを!
ミカ:いやぁぁぁ!
父は下装備からマムシを解放し、私に襲い掛かる…。私は父から虐待をされている…。
ミカ:キャー!
大牟田:そうじゃ!お前はええ子じゃ!ワシにキイロイコエを!
私も母も心身共に限界を迎えていた…。
ある日。
大牟田:おう。母ちゃん。ミカ。ドライブ行くぞ。
えっ!?父が母と私をドライブに誘った。私は戸惑ったものの応じる。もしかしたら父は改心してくれたのかもと信じたかった。私達は父が運転する車に乗る。色んな景色が見える。穏やかだ…。時間はあっという間に夜になり、山に差し掛かると…。
大牟田:おう。母ちゃん。ミカ。これで何か飲み物でも買ってきんしゃい。
母:えっ!?
父は母と私に小銭を与え、2人で自販機に向かい、飲み物を買っている最中だった…。ブロロロ!ブイーン!えっ!?目を疑った…。父の車は走り出していった…。
母:嘘…。
信じられなかった…。私達は父に捨てられた…。夜の山の中に置き去りにされてしまった…。
母:ミカ…。
私達は夜中の山に残され…空腹にもなっていく。
私達がひもじくしていると…。
「女?おい。お前ら何しているんだ?」
ミカ&母:!?
一筋の光が照らされ、その先には大きめの車。そこからスーツ姿の恐そうな人達が降り、その後からスーツ姿の青年のような男性が現れた。
目の前に現れた集団…。あきらかに『893』という職業の恰好…。集団が私達を囲む。
ミカ:お母さんに…近づかないで…!
私はとっさに母を守る体勢に入る。恐い…。でも…。
「威勢のいい嬢ちゃんだな!」
母:やめてくださ…。
青年風の男性が私に手を伸ばす…。殴られる…。私は父にされてきたトラウマが蘇り…身構えると…。
「母親を守ろうとしたのか?勇気あるな。お前。」
男性は私の頭を撫でてくれた。
「大丈夫か!?」
私はホッとしたのと男性の手の温かさに安心感を持ち、へたれてしまう。
母:あの…。
スギヤ:ああ。俺は『雨宮スギヤ』。阿川組の者だ。まあ…893って恐いよな?
男性は『雨宮スギヤ』と名乗った。彼は893『阿川組』の若頭。孤児だったところを組長さんに拾われて育ち、無理やり組に入れられてから若くにして昇ってきたらしい。でもスギヤさんは893とは思えない感じで私達に優しく接してくれる…。
スギヤ:ところでアンタらは何でこんな場所にいるんだ?
母:道に迷ってしまって…。
スギヤ:こんな真夜中にか?不自然だろ。何があったんだ?
母はスギヤさん達に事情を説明した。父に捨てられたこと。父にDVを受けていることを。
スギヤ:なるほどね。だから俺が嬢ちゃんを撫でようとしたときに…。
ミカ:私は…大丈夫です!ただ…お母さんが…。
母:違うのよ…。お母さんが弱いから…。ミカが苦しんでいるのに助けられなくて…。
母は泣きながら私を抱きしめる。違う…。私がお母さんを守らないといけないのに…。
スギヤ:………。
子分:頭。どうします?
スギヤ:組長に伝えてくれ。「シノギが出来たから帰りがちょっと遅くなる」って。ケジメは俺がつける。
子分:へい!
スギヤさんは子分の人に命じて子分は組長さんに電話をかける。
スギヤ:さて、俺は。
スギヤさんはスマホを取り出してどこかに電話をかけた。
スギヤ:お姉(実は男)か?俺、スギヤだ。ちょっといいか?
お姉:『あら?スギヤ。珍しいじゃない。アンタから連絡なんて珍しいじゃない。まさか…!なにかやらかしたんじゃねいでしょうね!?』
スギヤ:違ぇよ!ちょっと頼みたいことがあってよ。実は…。
スギヤさんが誰に電話しているのかは知らないけど私達のことを話している様子。
ミカ:スギヤさん…。誰と話しているんだろう…。
母:わからないわ…。ミカは恐くないの?
ミカ:うん。多分、スギヤさんは悪い人じゃないと思う。私を撫でてくれた手が優しかったから…。
どうしよ…。スギヤさんってよく見るとイケメンだし…。スッキー!でも相手は年上で893なのに…。
スギヤ:これで大丈夫だ。じゃあ、車に乗ってくれ。
母:あの…。どこへ?
スギヤ:俺の知り合いに警官がいてな。その人に頼んで生活安全課に連絡してもらった。アンタら、そのオヤジから離れないと余計最悪なことになるぜ。
子分:俺…わかるんです。昔、親父がお袋に暴力ふって俺や弟までもやられて…。頭に拾ってもらわなかったら…。
スギヤ:あとは警察がうまくやってくれると思うからよ。
母:ありがとうございます…。
私達はスギヤさん達の車に乗って警察署へと向かい、DV保護シェルターの家に住まわせてもらうこととなった。父のいない生活。父のことを気にしなくていい生活。私と母の心身は徐々に回復していっている感じがしてきた。しかし…。
大牟田:おう!探したでー!母ちゃん!ミカ!
私と母が買い物から帰ってくると…父が…。大牟田がやって来た…。私達は凍りついてしまう…。連れ戻されたら…。キイロイのをされる…。
大牟田:いやー。ミカの学校問いつめたらここに住んでるってよ。寂しかったでー!さあ!帰ろう!ワシにキャーを聞かせてくれるな?
大牟田は私達に近づく…。
スギヤ:『母親を守ろうとしたのか?勇気あるな。お前。』
突然、私の頭にスギヤさんの言葉がよぎった。私がお母さんを…!
ミカ:近づかないで!
母:ミカ!?
大牟田:何じゃと!?
私は勇気を振り絞って母を庇う体勢に入った。スギヤさん…!私に少しでもいいから力を…!
ミカ:帰って!二度と私とお母さんに近づかないで!
大牟田:てめ…!父親に向かってその態度は何じゃ!今まで俺がお前らのために稼いできたんじゃ!キイロイコエを聞かせるのは当たり前じゃろが!ミカ!お前にはキッチリ教育しちゃる!
やられる…!大牟田の拳が私に向かって飛んできた瞬間だった。
「やっぱり凄ぇな。お前。さすがは俺が見込んだ女だぜ。」
ミカ&母:!?
なんと!スギヤさんが駆けつけ、彼は大牟田の拳を受け止めていた。
大牟田:何じゃ!?お前!?
大牟田はスギヤさんの乱入にうろたえる。
スギヤ:悪いが、こいつらは俺のビジネスパートナーでな。傷をつけてもらっては困るのでな!
大牟田:キャー!
スギヤさんはそのまま大牟田を投げ飛ばし、大牟田を縄で縛る。
ミカ:スギヤさん。どうしてここに?
スギヤ:あの後に組長に事情を説明したら「シノギとして用心棒をしなさい」って言われてな。それにこういう輩はまず諦めないだろうってのもあってちょくちょく様子見てたってワケ。
大牟田:てめ…!放せ!ワシはそいつらの父親じゃ!
大牟田は悪あがきしようとするとスギヤさんはしゃがんで冷徹な目で大牟田を睨みつける。
スギヤ:おう!テメェ!誰に喧嘩売ってんかわかってんのか?あぁん!阿川組って知ってっか?ウチの組長にアンタのこと知らせたらよ、アンタは昔組の女にもDVやらかして逃げたらしいじゃねぇか!
なんと!大牟田は母と結婚する前に阿川組の女性に手を出してDVをし、それがバレて逃げ出したことがあったらしい。スギヤさんのドスの効いた言葉に大牟田は真っ青になる。
スギヤ:だから選ばせてやる!ウチの事務所見学して組長にケジメつけられるか?刑務所でイカツイ男に自慢のマムシを磨かれるか?好きな方を選べ!
大牟田:イカツイ…。イヤじゃぁぁぁ!でもケジメって…ワシのマムシは!?キイロイコエは!?イヤじゃぁぁぁ!
スギヤ:勝手なこと言ってんじゃねぇ!貴様はそこの2人が同じように嫌がっててもやめたことあったのか!?
この後、大牟田は警察に逮捕され、私と母、第3者でもあるスギヤさんも事情聴取を受けることになった。
警察署。事情聴取が終わった私達が廊下を歩いていると。
お姉:あら?スギヤ。
スギヤ:お姉!
お姉?この間スギヤさんが連絡していた警察官の人…。男の人だったんだ…。
お姉:893のアンタが人助けで警察に来るとはね。
スギヤ:なんだよ…。俺が善意で協力してやったってのによ。っで?アイツは?
お姉:黙秘しているわ。でもお母さんとお嬢ちゃんとアンタの証言と訴えがあれば暴行罪が成立するわ。どうします?お母さん。
お姉の問いに母は小さく拳を握り…。
母:訴えます!ミカが必死に私を守ろうとしました…。だから私も戦います!
母は大牟田を訴えることを決意した。その様子を見たスギヤさんは私の頭を撫ででくれ。
スギヤ:やっぱりお前は凄い奴だぜ。
ミカ:いいえ。正直…恐かったです…。でもスギヤさんのことを思い出して…!お母さんを守らないとって…。
スギヤ:そうか。でもミカ。勇気出して立ち向かうのはいいが、ときには勇気出して逃げた方がいいってときもある。勇気の意味を間違わないようにな。
ミカ:スギヤさん…。カッコイイです!まるでヒーローみたいです!
私はスギヤさんに本心を言うとスギヤさんは照れ臭そうにする。
お姉:あらー。モテモテじゃないのよ。スギヤ。
スギヤ:うるせ…。ミカ…。俺は893だぞ。ヒーローじゃねぇし…。
ミカ:いいえ!スギヤさんは本物のヒーローです!
母:ふふふ。
こうして、大牟田は暴行罪で検挙され、私と母に平穏な暮らしがやってきた。それから6年後。母はパートの仕事を続け、私もアルバイトしながら高校と大学を卒業し、就職活動で大手デパートに面接に伺うと…。
ミカ:スギヤさん!?
スギヤ:ミカ!?
なんと!スギヤさんは組長と話し合って893から足を洗い、自分の組を大手デパートへと変え、893から堅気となってデパート経営者となっていた。
スギヤ:お前のせいだぞ。俺がお前のヒーローなら真っ当な商売しなくちゃいけねぇだろうがよ。
それから私はスギヤさんのデパートに内定が決まり、そこで働きながらやがてはスギヤさんと付き合うようになっていった。
~ Fin 完 ~