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半ヴァンパイアは挟まれる

 下水道の道はもちろん一本道じゃない。私たちはひとりでに宙を舞う剣と戦ったあと、右手方に従って右の道を選んで進んだ。

 

 そして、私は泣き叫んでいた。

  

 「いやぁあああ! アーノックぅ! なんとかしてええええ!」

 

 「たかがネズミだろうが! ふざけんな戦えやクソアマァ!」

 

 「無理無理無理無理!」

 

 ただのネズミだったら、ちょっと気持ち悪いな~くらいしか思わないよ。戦える。でも、人の頭くらいの大きさのネズミが、床一面を覆うほどの数で向かってきたら話は別。無理です。どのくらい無理かというと、セバスターに飛び付いて肩の上に避難するくらい無理。

 

 私がセバスターの肩の上に避難してる間に、アーノックは床ごとネズミを凍らせて一匹残らず駆逐していた。

  

 「おら終わったぞ。降りろコラ」

 

 「もういない?」

 

 「いねぇよ。いても乗らせねぇからな」

 

 降りろと言うので、ランタンで辺りを照らしてネズミがもういないのを確認してから降りる。意外にもセバスターは急かさず待ってくれた。イライラしながらだったけど。

 

 「な、何であんなにいっぱいネズミが来るの?」

 

 「下水道ですからネズミくらいいるでしょう。大きさや前歯の形状、獰猛性が普通とは違いましたから、誰がネズミに細工をして襲わせたんだと思います」

 

 「襲わせるにしてもネズミじゃなくて良いじゃん」

 

 「僕に言わないでくださいよ。どうせ下水道に隠れてるような陰湿なやつが、下水道に棲むネズミをちょうどいいと思って操ってるだけでしょう」

 

 ーと言うか、下水道にいる人は一体何がしたいんだろう? 変な剣造ったりネズミ操ったり……本当に人の仕業? 

 

 ひとりでに宙を舞う剣なんて聞いたことないし、ネズミを操るなんてできる人も知らない。でも、ネズミはともかく剣の方は人が操ってるように見えたけど、正直なんとも言えない。

 

 「おい、またなにか来るぞ」

 

 今まで黙っていたユーアさんが、武器を構えたまま近づいてくる。

 

 「またネズミ?!」

 

 「いいから構えろ」

 

 ランタンを左手に持って、ショートソードを右手で引き抜く。そして耳をすませてみる。

 

 ー……後ろから足音……前からはあの剣の音と、羽ばたく音?

 

 後ろから聞こえる足音には、聞き覚えがあった。カツンカツンという軽い足音と一緒にカチャカチャという音もしてて、ギドやギドの部下の足音とそっくり。つまり、スケルトンの足音だ。10人分くらい聞こえる。

 

 「前から剣と鳥、後ろからスケルトンが10体くらい」

 

 「鳥ってなんですか」

 

 「わかんないよ。羽ばたく音がする」

 

 ーネズミじゃなくてよかった。なんて言ってる場合じゃないね。

 

 「クソが! 挟み撃ちかよ!」

 

 「逃げ場はないな」

 

 数が多いけど、戦うしかないみたい。

  

 程なくして、まず後ろからスケルトンが現れた。武器も防具も着けていない、本当にただのスケルトンみたいだね。

 

 そのすぐあと、前からあのひとりでに宙を舞う剣が4本と大量のカラスが飛んできた。

 

 「なんで下水道にカラスがいんだよ!」

 

 ー私も思ったけど今言わなくていいよ。

 

 倒すにしても逃げるにしても、前か後ろのどっちかは突破しないといけない。

 

 ーあの剣は武器を持つ人を優先して狙う見たいだから、多分セバスターとアーノックは狙わない。なら

 

 「ユーアさん、私と一緒に剣の相手して!」

 

 「ああ」

 

 「2人は」

 

 「指示すんじゃねぇ!」

 

 セバスターは怒鳴りながらスケルトンに撲りかかっていく。アーノックも魔法で氷の塊をいくつも作り出してカラスに飛ばしはじめた。

 

 「魔力がだいぶ減ってきました! 広範囲を凍らせるのはあと一回くらいしか出来ませんからね!」

 

 セバスターとアーノックは一人で別々の相手をする。それは連携が取れないってこと。アーノックは魔力が無くなったら戦えないから、長く一人で戦わせるのは良くない。

 

 ーまず私とユーアさんで剣を片付けて援護に入ろう。

 

 狭く薄暗い下水道で、縦横無尽に動き回る剣に向かっていった。

スマホでの執筆がおもいのほか難しく、少し短くなってしまいました。

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