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失意

前話とほぼ同時に上げています。読み飛ばしにご注意ください。

前話に引き続き胸糞注意です。

あとお食事中の方は、食事を終えて落ち着いてから読まれることをお勧めします。

 私が居るのは真っ暗で、静かな場所。

 

 不思議とこれは夢だとわかる。

 

 生まれて初めて明晰夢を見た。

 

 ずっとどこまでも暗くて、何にも聞こえなくて、体の感覚もない。

 

 何の夢なんだろう。

 

 何も見えないし、触れない。

 

 それなら、耳を澄ますしかない。

 

 きっと何も聞こえないけど、なんとなく起きたくない。

 

 熱い。

 

 痛い。

 

 苦しい。 

 

 暗くて静かなはずのそこが、気が付けばうるさくて仕方がない。

 

 どんどんうるさくなる。

 

 耳を塞ごうとしても、体が動かない。

 

 これは、何の音?

 

 私の、声……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

  

 目が覚めた。

 

 「っは……あぐ、ぁぁ」

 

 お腹が痛い。

 

 「-ッ、は、ぁあ、あ、いだ、ぁ」

 

 息をするたびに痛くて、自分の出した声がかすかで、痛くて。

 

 痛くて、

 

 お腹が焼けるように熱い。

 

 涙が滲む。

 

 「ぁ、あ、れは……夢じゃ、ーッ」

 

 夢であって欲しかった。

 

 私は今頃マーシャさんと再会して、抱き着いて、マーシャさんといっぱい話して、私の体験したことを聞いてもらって、ギドのことも話して、冒険者として小人の木槌亭にいって……

 

 「うあ゛ぁ」

 

 無意識に体を起こそうとして、お腹に力を入れてしまう。

 

 耐えられないほど痛い。

 

 「どぉじで、私、あ、あ、痛ぃよ。なんで」

 

 その痛みが、あの悪夢が現実だということを突き付けて来る。

 

 無意識に背中を丸めようとして、また激痛が私を貫く。

 

 両手でお腹に触れると、今私が着させられている白いシャツに、触れられた。

 

 シャツ越しに縦に切り裂かれた肌の傷と、傷を縫合した糸の感触がある。

 

 「わ、たし、また、お腹……あぐっ」

 

 声を出すたびに痛みが走る。

 

 痛くて、痛くて、起き上がれない。

 

 でも手や首を動かすときだけは痛みが無い。

 

 「……動、ける?」

 

 私は自分の体が動かせるようになっていることに気付いて、ハッとした。

 

 気絶する前の私は、痛みを感じなくて、首から下は動かせなかった。

 

 でも今は動かせる。

 

 痛みも感じる。

 

 痛い。

 

 ちゃんと痛みを感じられる。

 

 「よか……た」

 

 痛みを感じられることが、嬉しくてたまらない。

 

 あのまま首から下を動かせないまま、ヘレーネさんに取り返しのつかないようなことをされるんじゃないかと思うと、死んでしまいたくなるほど怖かった。

 

 きっと舌を噛んでた。

 

 でも、動く。

 

 痛いと感じる。

 

 よかった。

 

 本当に、よかった。

 

 手が動くなら、少しは抵抗できる。

 

 首を絞めることだってできるし、落ちているものを拾って、投げたり殴ったりできる。

 

 私は、ヘレーネさんの思う通りになんてならない。

 

 マーシャさんのところに帰るんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 痛みも熱もなくなることは無い。

 

 でも少しだけマシになってきて、私はようやく冷静になれた。

 

 ゆっくりと目を見開いて、自分の体を見る。

 

 私は相変わらず白いシャツに、白い半ズボン姿だった。

 

 ヘレーネさんに切り開かれたお腹が、ポッコリと腫れている。

 

 うっすらと透けているシャツからは、縫合された傷が透けて見えた。

 

 鳩尾からおへその下まで、ざっくりと1本線。

 

 これが痛みの原因だってことは、流石にわかる。

 

 腹筋まで切られていて、まだその腹筋が治ってないから、お腹に力を入れたり、声を出したり、腹筋に力を入れるようなことをすると激痛が走るんだ。

 

 腹筋が使えないと、ほとんど移動できない。

 

 人間は歩いたり走ったりはもちろん、立っているだけでも腹筋を使う。

 

 体を起こすことも無理。

 

 このあおむけの状態から、私は動けない。

 

 首がもう疲れて来てる。

 

 たった数秒足の方を見ただけで、こんなに疲れるなんて思わなかった。

 

 私は首から力を抜いて、後頭部を地面につける。

 

 天井が見える。

 

 一切の継ぎ目がない、石の天井。

 

 壁にも継ぎ目がない。

 

 目と首で四方八方を見渡すと、私が居る場所のことが少しだけわかった。

 

 この部屋は四角くて、2本の蝋燭が唯一の灯りで、換気口が2つあるのがわかった。

 

 巨大な石を立方体に削った作って部屋みたいだ。

 

 私の足の方の壁に、上り階段が見えた。

 

 家具はもちろん、ベッドもない。


 蝋燭と燭台だけがある、寂しい石でできた地下室。

 

 それが今私が居る場所のみたいだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カツン、カツンと、硬い靴底が階段を叩いて下っていく。

 

 石でできたザラザラとした壁に左手を当て、ヘレーネは上機嫌に地下室へと向かう。

 

 目的は、エリーで”遊ぶ”ことだ。

 

 ヘレーネがエリーの体内で血嚢を発見してから、17時間が経過している。

 

 そろそろ起きるころ合いだろうと考えたヘレーネは、エリーのためにいくつかの品物を抱えている。

 

 いうまでもなく、彼女は上機嫌だ。

 

 「ふん~ふふん~ふふふふ~ん♪」

 

 鼻歌はヘレーネの癖だ。

 

 上機嫌になると、いつも鼻歌を歌う。

 

 知っている曲の鼻歌ではなく、その時の気分でテンポや音程が変わってしまうのだが、ヘレーネはそんなことを気にしたことは無かった。

 

 そしてその足音と鼻歌は、地下室で仰向けに寝たままのエリーの、絶大な恐怖とほんのわずかな抵抗の意思を誘っていた。

 

 階段を降り切ったヘレーネは、寝かせた時と同じ場所に居るエリーを見つけ、ニヤリと笑う。

 

 目を閉じ、脱力し、苦し気な呼吸を繰り返している。

 

 眠っているようだ。

 

 「あらあら、まだ起きていませんの? そろそろ起きると思っていたのですけれど」

 

 そんなことを言いながらも、ヘレーネはエリーが寝ているフリをしていることを見抜いている。

 

 エリーがわずかにかいた冷や汗の匂いを、ヴァンパイアの鋭すぎる嗅覚が察知していた。

 

 その上でヘレーネは、エリーの可愛らしい抵抗に乗って遊んでいるのだ。

 

 あえてカツンカツンと足音を立ててエリーに近づき、距離が縮むたびに激しくなる呼吸と発汗を目と耳と鼻で楽しむ。

  

 ヘレーネがエリーの足元までたどり着いたとき、エリーの体はピクリピクリと反応してしまっている。

 

 ヘレーネでなくとも起きているとわかりそうな反応だが、それでもヘレーネはエリーの狸寝入りに騙されたフリを続ける。

 

 「エリーさん? まだ起きてはくださいませんの?」

 

 「……」

 

 返事はない。

 

 ヘレーネはますます笑みを深め、エリーの足元にしゃがみこむ。

 

 そして持ってきた品物の中から1つを取り出すと、エリーの両の足首をそっと掴み、持ち上げて膝を曲げさせた。

 

 「仕方ありませんね。溜め過ぎは体に悪いので」

 

 ヘレーネの独り言は、エリーに聞かせるためだ。

 

 両手でエリーに履かせているズボンに手をかけ、ズボッと足から引き抜いた。

 

 「やめ、―――――――ッァあ゛」

 

 エリーは慌てて起きて制止をかけようとするも、声にならない悲鳴だけが吐きだされる。

 

 「ア゛、は、ぁ」

 

 露わになった下腹とその下を隠すべく、足を閉じようとし、また激痛に喘ぐ。

 

 あまりの痛みに両手でジタバタど石の床を叩くエリーを、ヘレーネは満面の笑みで眺めていた。

 

 下半身を晒し、両手で駄々をこねる子供のように地面にたたきつけ、痛みで声も出せずに悶えるエリー。

 

 エリーの晒した無様な姿に、ヘレーネを愉しませる以上の意味はない。

 

 「おはようございますエリーさん。よく眠れましたか? 気分は如何ですか?」

 

 「ふ、ぐ……ぃいわけ、ない。手、放して」

 

 「それは残念」

 

 ヘレーネは愉しげにズボンを放ると、エリーの尻の下に取り出した品を布く。

 

 それは薄く柔らかい紙を重ねたもので、携帯トイレとして使うものだった。

 

 「エリーさんはほぼ丸1日排泄をしていませんから、溜まっているでしょう? 今出してください」

 

 「嫌にきまって……嫌だよ」

 

 エリーはヘレーネの言葉に大声で拒絶しかけ、激痛の予感に怯え、静かに拒否を告げる。

 

 下の世話を他人にされるなど、幼児でも老人でもない、年ごろの少女であるエリーには受け入れられるはずも無い。

 

 まして相手は、エリーに数々の苦痛を与えてきたヘレーネだ。

 

 承諾できる要素など皆無と言える。

 

 そしてその反応は、当然にもヘレーネの想定通りだった。

 

 ヘレーネは親指の爪ほどの大きさの丸薬を取り出してエリーに見せ、それを目の前に晒された臀部に近づける。

 

 「そう言うと思って、ちゃんと準備してありますわ。はい、どうぞ」

 

 丸薬はヘレーネの手によって、押し当てられ、押され……

 

 「やだ! あ゛っ やめて! やめてよ! ひ、い゛っ」

 

 押し込まれた。

 

 力いっぱい締め上げたところに無理やり押し入れられる痛みの感覚が、腹の傷以上にエリーの心を抉る。

 

 「座薬を入れるのは初めてですか? 大丈夫ですわ。ただの下剤ですから」

 

 エリーは半狂乱で手足をばたつかせるが、もう遅い。

 

 20分ほど後、エリーはろくに心の準備すらできず、成す術なく恥辱と共にさらなる無様を晒すことになった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヘレーネが片づけを終えた後も、エリーは立ち直れていなかった。

 

 左腕で目元を覆い、涙と共に嗚咽を漏らす。

 

 「う、うぅ、ううぅっくッ」

 

 「そんなに泣かないでください♪ (わたくし)が悪いことをしたみたいになっているではありませんか」

 

 未だ下半身を晒したままだったが、エリーは隠そうとはしなかった。

 

 これ以上ないほどの恥辱を味わった以上、今更恥ずかしがることは無い。

 

 なにより、そんな余裕もない。 

 

 それでも両足の膝をぴったりと閉じてはいたが。

 

 そして片づけを終えたヘレーネは、またしても携帯トイレをエリーの足の間に布く。

 

 「エリーさん、まだ出していない物がありますよね?」

 

 「ぅる、さい」

 

 ヤケクソ気味にエリーは拒絶する。

 

 どうせ嫌がっても無駄なのだろうとわかっていながらも、素直に出そうとは思わなかった。

 

 そしてやはり、そのエリーの反応もヘレーネの想定通りだ。

 

 「困りましたね。利尿剤は効果が出るまで少し時間がかかりますし」 

 

 ヘレーネは困り笑顔を浮かべるが、内心では全く困ってなどいない。

 

 そっと片足を上げ、目を細めて狙いを定める。

 

 目元を腕で覆ってしまっているエリーは、ヘレーネが何をしようとしているのか、悟ることが出来なかった。

 

 「えい♪」

 

 ヘレーネのつま先がエリーの下腹に突き刺さる。

 

 エリーの体を”ドボッ”という音が駆け上る。

 

 「お゛、あ゛……ぁ」

 

 縫合された腹がもう1度裂け、圧迫された内臓が逃げ場を求めて上へと押し上げられる。

 

 激痛と、それを上回る苦しさに、折れかけているエリーの心と意識は耐えられない。

 

 喉から内臓が駆け上るような感覚に、エリーは白目を剥いて舌をデロリと吐きだした。

 

 そして制御を失った体は痙攣し、ヘレーネの敷いた携帯トイレに黄色が広がる。 

 

 ヘレーネはじんわりと広がり続ける黄色と、ピクリピクリと痙攣するエリーを満足気に見下ろして、笑った。

 

 「あらあら、裂けてしまいましたね。でも大丈夫です。ちゃんと縫い直して差し上げますわ。エリーさん♪」

 

 完全に意識を飛ばしたエリーに、その言葉は届かない。

 

 「ふんふんふんふ~ん、ふ~んふふ~ん♪」

 

 ヘレーネは鼻歌を歌いながら、用を終えた携帯トイレを片付け、裂けてしまったエリーの腹の再縫合を始める。

 

 「楽しいですね? エリーさん」

 

 「ひゅ、ぅ」

 

 意識が無くても痛みは感じるのか、針を通すたびにエリーはわずかに喘いだ。

 

 その声は、ヘレーネの問いかけにこたえるかのようで、正常な感覚を持つ者は目を背けずにはいられないほど、異常で、痛々しい。

 

 弱り切った精神に、制御を失った体に、容赦なく注ぎ込まれる激痛。

 

 意識を飛ばしたままのエリーの脳が、限界を迎える。

 

 「ヒュ、ゥ……」

 

 「あら、また息が止まってしまっていますわ。しょうがない方ですわね? エリーさんは」

 

 いつの間にか呼吸が止まっていたエリーに、ヘレーネは嗤いながら唇を合わせ、息を吹き込む。

 

 先日何度も施行した人工呼吸は、今回も数秒でエリーに自発呼吸を促した。

 

 「ふぅ、手間のかかるおもちゃですわ♪」

 

 ヘレーネは愉悦に胸を飽和させながら、再縫合の続きを始めた。

 

   


 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 「起きて下さいエリーさん。起きてくださいったら」

 

 肩を優しく揺すられ、女の人の声が聞こえる。

 

 「ン、ゥ……」

 

 体にまったく力が入らない。

 

 それでもうっすらと目を開き、酷くにじむ視界で、私をゆする人を見上げた。

 

 全身が脂汗でベトベトする。

 

 前髪がおでこに張り付いて、気持ち悪い。

 

 以前にもこういうことがあった気がする。

 

 私をこうして起こしてくれるのは、いつも……

 

 「マ、シャ、さ」

 

 「違いますわよ」

 

 白黒だった視界が色付き、赤紫の長い髪が、赤い目が、私を見下ろして笑う笑顔が

 

 恐怖が、見えた。

 

 「うあ、ぁぁ、ぁ」

 

 思い出したくもない出来事が、私の意識を殴る。

 

 それでもヘレーネさんは、私を見て嬉しそうに笑う。

 

 「もぅ、どれだけお昼寝するおつもりですか? 私は待ちくたびれました。持ち主を退屈させるなんて、エリーさんにはおもちゃの自覚が足りないのではありませんか?」

 

 声が出ない。

 

 もう嫌だ。

 

 誰か助けてよ。

 

 ギドはどこ?

 

 ジャイコブは?

 

 チェルシーは?

 

 ギンはどこ?

 

 マーシャさんに会いたい。

 

 もう嫌。

 

 もう無理。

 

 心が、折れてる。

 

 涙が出ない。

 

 ヘレーネさんが、怖い。

 

 クラクラする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私はもういっぱいいっぱいなのに、目の前でチャポって音がして、目に見えている物に意識を向けてしまう。

 

 薬瓶だ。

 

 赤い液体が入ってる。

 

 「これは血嚢を強制的に活性化させるお薬です。私たちヴァンパイアの強さは、血嚢のポテンシャルに大きく左右されるのは知っていますよね? これ、一応私の奥の手なのですけれど、エリーさんに差し上げますわ」

 

 そうだ。

 

 ヘレーネさんは、私の血嚢を……

 

 「や、ぁ」

 

 折れた心で拒絶しても、言葉にならない。

 

 嫌がっても意味がないって痛いほど身に染みたのに、やめられない。

 

 首を振っても、ヘレーネさんに掴まれて、動かせなくなる。

 

 「このお薬なら、エリーさんの萎れて変色してしまっている血嚢も、跳び起きてくださるに違いありません。飲んでください」

 

 飲みたくない。

 

 嫌だ。

 

 嫌。

 

 嫌、なのに。

 

 口が勝手に開いてしまう。

 

 はしたなく舌を伸ばして、飲もうとしてしまう。

 

 怖くて。

 

 怖くて。

 

 ヘレーネさんに逆らえない。

 

 痛いのが、怖い。

 

 「素直なのは良い事ですわ、エリーさん♪」

 

 口に垂らされる苦くて鉄っぽくて生臭い薬品を、”ゴクリ”と喉を鳴らして嚥下する。

 

 取り返しのつかない味がする。

 

 それなのに、止められない。

 

 吐きだせない。

 

 最後の一滴まで垂らされて、それを全部喉の奥に流し込む。

 

 

 

 

 

 

 

 結果はすぐに表れた。

 

 お腹の奥にある、何かが疼く。

 

 この感覚は、覚えてる。

 

 飢餓状態の時の、血を欲しているときの、感覚だ。

 

 ああ、もう、ダメなんだね。

 

 手遅れだよ。

 

 もう、取り返しがつかない。

 

 人間になりたいって思って生きてきた今までの全部が

 

 私の願いが

 

 いろんな人に手助けしてもらって、助けてくれて、やっと人間になったのに


 全部、無駄になっちゃった。

 

 心がグシャグシャになっていくのがわかる。

 

 出ないと思ってた涙が、とめどなく溢れて来る。

 

 涙で滲んだ視界が、赤くなっていく。

 

 「ぁ、は、は」 

 

 あれ?

 

 「は、はは、ひ」

 

 私、笑ってる?

 

 「アハァ、アハ、アハァハハハハハハハハハハ、アハ」

 

 笑うたびに腹筋を強く使ってしまう。

 

 その度に、死にそうなほど痛いのに。

 

 頭の中がフワフワして、気持ちいい。 

 

 笑ってしまう。

 

 何がおかしいの?

 

 なんで私は笑ってるの?

 

 頭、おかしくなっちゃった?

 

 ……ああ、わかった。

 

 私は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 最低で無様で、どうしようもない自分を、嗤ってるんだ……

念のために書いておきますと、作者にスカとかトロとかの趣味はございません。

エリーを精神的に虐待するために書きました。

次話の投稿は少し遅れるかもしれません。

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― 新着の感想 ―
[一言] 【「あらあら、避けてしまいましたね。~】の避けるが誤変換だと思われます・ めちゃくちゃ興奮しました。本当にヘレーネさんはいい仕事をしてくれます。壊れていくエリーの描写最高でした(*'▽')…
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