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39話 ぐだり

大学が忙しくて投稿が遅れました。すいません……

「と、まあ、こんな感じだよ。フィルは元々は一人が二人に分裂した姿で、一人に戻ると分裂した状態の何倍もの身体能力と魔力を誇るらしい。それと前に俺にこっそりだけど、こうでもしないと魔力暴走を起こすから二人に別れた状態になってるとか言ってたな」


 リンはレイダに今までの流れを軽く説明した。――が、それよりも先に他の誰かが反応した。


「あたたた……それ初耳なんだけど……?」

「――お?起きたか。傷の方は大丈夫か?」

「ちょっと頭を打っただけだから平気だよ。それよりさっきの話……続けて……」


 そう言いながらロドニは頭を軽く押さえながらむくりと起き上がる。どうやら話の途中から起きていたらしい。


「あ、うん。それでどれくらいの魔力があるのかってこの前に調べたんだけど……蓄積用の魔法石が余裕で壊れるほどだったんだよ」


「それって……?」


「まあ、何というか……簡潔に言うとフィルは一度に使用する魔力がかなり膨大ってことかな? レイダさんから聞いた話だが、転生の魔方陣ってあるだろ?あれの消費魔力はレイダさんの魔力が一度に出す最大魔力で作ってるらしいんだけど、壊れてないんだよね……」


 リンが軽く目を逸らしながら控えめに言う。


「えっと……それって……?」


 そしてロドニは少々驚きつつ内心分かりきったことをあえて聞いた。

 できれば聞かなかったことにしたかった。なにせレイダの本気の魔力ですら壊れない魔法石が意図も簡単に壊れてしまうほどなのだから。

 ――もし、それだけの魔力持つフィルが暴走したときを考えると、恐らく町一つは簡単に吹き飛ばせるだろう。――というかもう吹き飛ばしてしまっているが。

 そう思い、ロドニはリンに聞くと、


「かもな……というかもう既にやらかしてるらしい」

「……はい?」


 ロドニは「どういうと?」と言いう前に驚きで声が漏れた。


「フィルは生まれて間もない頃に魔力暴走を引き起こして村ひとつを壊滅させているんだよ。まあ、余りにも一瞬のことだから近くにいた親諸とも塵に変えたから目撃者は居ないらしいけど――その時は相当混乱したらしいよ。転生して気づけばクレーターの中心に居たんだからさ」


「でもそういうことならなんか可愛そうだね、また親を失っちゃったんでしょ? 神様は何て不公平な運命をあの子に逢わせるのな……」

「ホントにな……、本人達は平気とは言ってたけど、話してたときの白フィルはかなり優れない表情だったしな……」


 二人はフィル同情しながらそっと一人に視線を向ける。


「なぜワシを見るのじゃ?」


 レイダはどうやら話を聞いてなかったらしく全く場違いな発言をする。


「いや、今の話からして〝なぜ〟はないと思うんだが?」

「その年で空気読めないとか認知症にも程があると思うなあ……」


 二人はレイダに対して軽蔑な眼差しを向ける。


「最近ワシに対しての態度が露骨すぎになっておらんか?まあ、たしかにことタイミングであのすっとぼけ発言は不敬ではあるがの……ッ!?」


 最近当たりの強い二人に対して突っ込もうとしたが、今の発言は無いかと思ったレイダは非礼を詫びようとした瞬間、こちらに多数の視線を感づく。辺りを見回すと、やたら服装が整った男達が包囲していた。

 男達は少しずつレイダ達に近づくと見下すような視線を向けて、そのうちの一人が口を開く。


「おい、そこのお前たち、ちょっとこちらまで来てもらおうか。この惨状について話を聞きたい 。因みに拒否権はないと思え」

「貴様らは何者じゃ?」


 レイダは男達のあまりの上から目線に軽く怒りを覚え、蛇のように睨む。

 すると何人かの男達は冷や汗を垂らしながら一歩後退る。どうやらかなり警戒しているらしい。ただ、レイダからいつもみたいに威圧を感じないのと子供らしい姿から考えて、さっきの惨状経過を見ていた者のだろう。相当怯えている。


(あーこれは言い逃れは難しいかもしれないなぁ……だけど、まだやれることはあるか……)


 リンは悟ると、ある考えを考案した。それは今のリンたちならではの抜け道であった。


(取り敢えず協力者が必要だな。という事で――)


『おーい、ロドニー!』


 リンは男達にバレないように小声でロドニに言葉を掛ける。


「ん?なに?」


 するとロドニは周りを警戒しつつチラッチラッとリンの方を一瞥する。


「この状況から脱するために協力して欲しいんだ。作戦はゴニョゴニョ……」


 リンはゆっくりロドニに近づいて耳打ちで説明をした。


「なにそれ……」

「あーやっぱり恥ずかしいよね……なら他のを――」

「――なにそれちょー面白そう!やろうやろう!」

「――マジ?」


 リンは引かれるとばかり思っていたが、まさか逆の反応を示されるとは思わず一瞬、間が抜けた。

 取り敢えず、本人から了承を得たことにより、行動を移す。


「あれはお前たちの仕業か?」

「『あれ』とはどういう意味じゃ?ブラフならもう少し回り口説くしたらどうじゃ?」


 おそらく男達の額に傷のあるリーダー格的存在とレイダはかなり高低差のある睨み合する。他の男達は二人から二メートル以上離れ、ビクビクしながら見ていた。そして――近付き難い二人に違う意味で頭に雷が落ちることになる。


「レイダおねーちゃん。なにそんなに怖い顔してるの? あと、この怖い叔父さんはだーれ?」


「……なっ!? 誰じゃ……?」

「うはっ!?」


 睨み合っていた二人は声の掛けられた方を向くと、レイダは絶句し、リーダー格的男は頬を真っ赤に染めて失神してしまった。


「ロドニ! お主は何て格好で出てくるのじゃ! というかなんで露出の多い〝猫耳〟のコスプレ衣装なんじゃ!」


 そう、そこには猫娘コスプレをした潤んだ瞳状態のロドニがいたのだ。これはリンの(主旨のずれた)妹属性で子供さをアピールしてこの場を乗り切ろうという作戦であった。コスプレもそうだが、潤んだ瞳もリンの提案であり、相手が男のみを利用したものである。

 案の定、男達は鼻の下を伸ばしながら視線がロドニの方に向いている。

 そしてロドニはレイダの突っ込みはスルーして男達の方に潤んだ瞳を向ける。


「ねぇ、私たちなにか悪いことをしちゃったんですか?」

「「「いえ、そんなことは!!」」」


 ロドニの質問に男達は声を揃えて否定する。(嫌らしい目をしながら)


「ならよかった。それじゃ何の用なの?」

「いやっ、何か微笑ましいなぁって……なあ、お前ら?」

「お、おう」

「そうだな」


 男達は特にこれといって理由も思い付かず適当に言葉を発して、曖昧な返しをする。少しすると気まずくなったのか、失神しているリーダー格的男を背寄ってこの場を去っていった。


「ロリコン共も去ったことだし。二人とも、フィルを安全なところに運ぶ……ってどうした?」


 危機を乗り越えて、ホッとしていたリンは二人の反応が芳しくないのに気付き、言葉を止める。


「はぁ……見た? アイツらの目、気持ち悪くてヘドが出るかと思った……」

「リン! お主は節操というものを知らんのか! やるにも限度があるのじゃ! 限度が!」


 ロドニは軽いトラウマを背負い、レイダは怒りを露にしていた。

 そしてリンはレイダに一時間近く説教される羽目となり、その間ロドニは死んだ魚の目をしながら地面に『のの字』を書いていた。

 暫くして――


「反省したかのう?」

「はい……」


 リンは自分の行いを省みながらどんよりとした空気を出していた。すると――


「レイダ」


 後方から聞きなれた声が聞こえた。

 直ぐ様後ろを向く。


「アテナ!」


 リンとロドニは勢いよく立ち上がると戦闘体勢に入ったが、レイダにストップを掛けられた。


「アテナよ、答えを聞かせてもらうかのう」


 レイダはいつもと違った真剣な眼差しをアテネに向ける。

 アテナはレイダの視線を合わせるとゆっくり口を開く。


「私はアナタと――」



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