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10話 陛下と対面

「んんっ……ここは?」


(あれ? 俺はなんで壁にもたれ掛かってるんだ? というか気を失う前の記憶がないのだが……)


 そんな事を考えていると、不意に横から声をかけられた。


「リン、ようやく起きたか」

「あ、ロドニ殿下ですか。いつから居たんです?」

「ずっとだ」

「そうですか」


(それはそうと、何で殿下さっきからこんなによそよそしいんだ? 顔も赤いし、何かあったんだろうか……)


 リンがロドニ殿下を少しばかり心配していると、


「先程はすまない」


 ロドニ殿下はぼそりと呟いた。


「何がです?」

「私はお前に助けられたのにあんな仕打ちを……」


(あー、何となく思い出してきた。そういえば、気を失う前に殿下に強烈な一撃を貰ったな。でも、それより少し前に衝撃的なことがあった気がするんだが……思い出せん……)


「仕方ないのだ。急に胸に触られて、気が動転していたのだ。ただでさえ私はあのとき死を覚悟していた。冷静を完全に失っていた。だから、そのだな、なんというか、だな……」


 殿下は顔を赤らめてモジモジしていた。


(俺は状況の全てをようやく理解した。ロドニ殿下を助けたはいいが、キャッチのした時に知らずうちに胸のところに手が行っていたのだ。それで、殿下は恥ずかしさの余り、ビンタを咬ましたと、そういうことか……)


……。


(てか、殿下は“女の子”だったのか!?)


 今更だがかなり驚いていた。


(じっくり顔を見てみると、まあ、見えなくもないが……)


 そう思いながらまじまじ見ると、殿下は更に顔を赤くした。


「むう、見るではない!」

「これは失礼、殿下がお洒落をしたらどんな風になるのかと、ちょっと想像してたんですよ」

「ふ、不埒もの!」


 バシンッ!


 いてぇ……。


 強力なビンタをくらい、また意識を手放した。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 暗殺者襲撃から数日後


 事件は瞬く間に噂を重ねて広まっていった。そしてここ数日でようやく和らいできた。


 そんなある日、学校の授業を一通り終えて帰ろうとしたとき、ロドニ殿下に呼び止められた。


「リン、ちょっと話がある。着いてきてはくれないだろうか?」


 事件の日とは違い、いつもの王家パワーを放っているような話し方だった。


「ん? わかった。それでどこで話を?」

「私の住居、つまり王宮だ」


(王宮マジか! ちょっと楽しみだ)


「分かりました。準備出来次第行きます」


 そうしてリン達は、王宮へと向かった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ここが王宮か、間近で見たことはなかったが意外と大きいんだな」


 見た感じ敷地は東京ドーム三つ分で、高さビル十階建てくらいにはなるだろう。


「それはそうだろう、王城が小さかったら国としての示しがつかないからな」

「なるほどな」

「じゃあ、そろそろ中に入るぞ」

「おう」


(初めての王宮だからちょっと楽しみだ)


 中に入ると、メイドがずらりと並んでいた。


「「「お帰りなさいませ、ロドニ殿下」」」


(メイドとかリアルではじめてみたわ! ちょっと感激)


「父上は何処に?」

「応接室にてございます」

「ありがとう、行くぞリン」

「お、おう」


 そして俺達はメイド集団を通りすぎ、長いロータリーを歩いてようやく応接室に着いた。


(てか、広すぎるだろ……よく迷わないな……)


「父上、ただいま帰りました」

「おお、帰って来たか!」

「それと、リンも連れて参りました」

「なら、早速話を始めるとしよう、中に入りたまえ」


(そういえば、陛下の顔まだみたことなかった気がする。まだここに来て1ヶ月も経ってないし)


「失礼致します」

「そんな畏まらなくても良い、呼んだのはワシじゃ、そこに座って楽にしてくれ」


 そう言われ俺は言われた通りに座った。


「お主、あの二人の面影そのものじゃな」

「え?」


 いきなりのことで少々驚いてしまった。

 続けて、陛下は質問してきた。


「あの二人、今はどうだ?」

「至って普通の両親ですよ? ただ、父さんが母さんの尻に強かれてるところを除けばですけど」


 リンは苦笑いで答えた。


「そうかそうか、あのアルシャは今だ健在か、余もあの無言の圧力には敵わないからな」


 と、昔を思い出すかのように笑っていた。


 母さん、陛下まで尻に強いていたのか……。

 もしかすると、怒ったら母さんは誰にも敵わないんじゃなかろうか……。


「それはそうと、僕は何故呼ばれたのでしょうか?」

「お主、教師が束になっても歯が立たない相手を瞬殺してロドニを助けたそうじゃないか」


 (あーやっぱりその事か)


「それに伴って、授与式を行おうと思うのだ」

「それってつまり?」

「謁見の間にて、お主に褒美を授けるということだ」

「いやいや、いいですって!? ただこのままだと不味いなって思って自分で勝手にやったことですから! 授与式をするような事ではないですって!」


 流石にあそこに立つようなことはしたくない。

 恥ずかしいから。


「しかしな、それでも結果的に見たら、周りの目には、誰も歯が立たない相手を倒して、ピンチになった殿下を一人で救った英雄にしか見えないのだ。手柄をたてたのになにもしないってのは国として示しがつない。だから、悪いのは承知の上で、授与式に出ては貰えぬか? 勿論、お主にとって不都合なことは言わないと約束しよう」


リンは少し悩んで、


「うーむ……分かりました、ところで何を授与されるか聞いてもよろしいでしょうか?」

「うむ、貴族としての位、王金貨十枚、家を一軒のつもりだ」

「え? ちょっ!? それはいくらなんでも大盤振る舞いでは!? 流石にどれも荷が重すぎます!受け取れませんって!」


 流石に驚いた。こんなに貰ったら一生遊べるじゃん! そう易々と貰うような代物じゃないって!

 因みに、日本円で表すと、

 石貨十円

 銭化百円

 銅貨千円

 銀貨一万円

 金貨百万円

 王金貨十億円

 こんな感じである。


 いくらなんでもやり過ぎ感がある。


「貴族になったらそれくらいの資金は必要だし、家がないと困るだろう?」

「つまり貴族になったときの当面の資産ってことですか?」

「そういうことだ、話が早くて助かる。それでどうする?」


 (どうすると言われてもなぁ、正直決めにくい)


「やっぱり僕には荷が重いです」

「安心してくれ、当面はなにもしなくても良い、まだ学生なのだから」


 少し悩んだ結果。


「分かりました。そういうことならお受けします」


 俺は貴族になることにした。


「それと、話がもう一つあるのだが」

「何でしょうか?」


(あれ? もしかしてなにかやらかしたっけ?)


「お主、ロドニが女の子って気づいておるだろ?」

「はい」

「そこでなんだが、お主、ロドニの婚約者になってはくれまいか?」


 ……。

 …………。 


「「えええぇええええ!!!!」」


 今世紀最大の爆弾発言を聞いた気がする。

















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