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序章

 ある日の朝、私立◯◯高校のとあるクラスで、ただ一人、留年という地獄に直面しかけてる人物がいた。


「はぁ、なぜこうなったんだ…… 」


 周りが若干引くレベルに落ち込んで、机に顔を埋めてながら帆楼孝(ホロウ タカシ)は独り言を呟いていた。

 

「お前それ何回目だよその言葉……いい加減まともに勉強しろよな? 真面目に進級がヤバいんだろ?」


 ブラックオーラを放っている孝に独り言に毎度口出しをしてくるクラスメイト轟翔(トドロキ カケル)は、孝の独り言に突っ込んだ。

 翔は孝の小学生の頃の腐れ縁であり、何だかんだよく孝に上からものを言ってくる。

 通称オカン (孝の心の中では)


「わかってるけどさ、T○itterで周りがポ◯モンで『レート2000乗ったぜ』とか、ツイート見ちゃうとつい対抗心が……」

「もういい、わかったからそれ以上言わなくていいぞ。そこから先は俺にはついていけない内容だから聞いても無意味だしな」


  翔は孝がゲームの話になると止まらないことを知っているため、話を無理やり打ち切った。


 チラッと孝を見ると、せっかく話を盛り上げようとしたのにという顔をしてすぐ現実に戻されたかのように話しかける前の顔つきになり、また机に顔を埋めてしまった。

 そんな孝を見て呆れるようにため息をついたのであった。


「別にため息をつかなくたっていいだろう……」

 

 今にも机に朽ち果てそうな声で言った。


「確かにお前は中学まではよかったんだろうな、だけどよ、それは俺達にだって言えることだ、俺だって学年で順位は一桁だったぞ? でもな、それでもここじゃ俺がどう頑張っても中の上がせいぜいだ。何が言いたいかわかるか?」


 死んだ魚の目で翔を見て「知るか、お前は俺のオカンかよ」と目で訴えた。

 そんな孝を無視するかのように翔は話を続ける。


「まあ、何が言いたいかというとだな、ここにはお前レベルのものが大差なく通ってるんだ。それ考えたら今まで頭のレベルの上下に合わせた授業なんてするわけ無いだろ? しかもここは一応進学校だぞ? 勉強せずに就いていけるわけ無いだろ? いつまでも中学生の頃と一緒にするなって事だよ、と言ってもおまえにこの話をしても無意味だとは思うけどな」


 孝は「へいへい」と言いつつ話を聞き流した。


 キーンコーンとチャイムが鳴り、先生が来たところで一方的な話は終わった。


 そして孝は隣の空席に目をやった。

 そこには木嶋香苗(キシマ カナエ)の席だったが、机の上には花瓶がある。


 香苗は半年前交通事故により死んでしまったのだ。

 クラスの中では無口な方であったが、美人で成績優秀でクラスの憧れだった。

 そんな彼女の死を告げられた時のクラスの荒れようは凄まじかった。

 今はおとなしくなったものの彼女の存在はクラスで永久不滅なものだろうと思っている。


 そんなこんなで退屈な授業を終えた孝は、翔にチャチャを入れられる前にさっさと帰るために下駄箱へ向かった。


「はぁ、翔の野郎に捕まったらまた言われるのは勘弁だぜ……」


 やれやれといった感じで呟きながら下駄箱を開けると一通の封筒が落ちてきた。


(なんだ? ま、まさか! ラブレター!?)


 孝は心を踊らせながら封筒を開けてみると赤と緑色のいかにも奇妙なカードが入っていた。

 カードを手に取って見てみると、何か書かれていることに気付いた。

 孝はそこに書かれている言葉に目を疑った。

 

『あなたの理想は何ですか? もしあなたがやり直したいと願うのなら叶えましょうか?』


 カードにはそう書かれていた。


「なんだこれは? 新手のいたずらか? 俺、そんないたずらされるようなことした覚えがないんだが……」


 頭を掻きながら呟いた。


(まあ、もし叶うなら異世界とか行きたいな、何だかんだ異世界は俺みたいな野郎にとってはロマンだしな、うんうん!)


 孝は心の中ではしゃいでいると、カードが急に光出した。


 驚いてカードを放り投げると、カードの裏から魔方陣らしきものが展開された。


「え? ちょ、ちょっとなんだこれ!?」


 そのまま孝は魔方陣に吸収された。


 そしてその日、帆楼孝は失踪した。



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