第二章 最後の晩餐?
「え、えっと……?」
リナクの目の前には一国の城の4分の1ほどの大きな建物がある。それをキサの自宅だと思うのは到底不可能だろう。
「さ、入ってください。夕ご飯も用意させてあるんで」
「は、はぁ」
促されるまま入城。
内装は外観とは打って変わって質素で一般家庭的だ。
リナクはそのままキサの父親に先導され、落ち着かない顔色を出していた。隣には笑顔でにこやかなキサがいるのだがmこれまた何一つ父親にリナクの扱いが酷いとかの抗議の声がない。
「わぁ……!すげぇ」
通された部屋には豪邸にありそうな長い机とその上には豪華な食べ物たちが広がっていた。中には高級果物として市場では大変高値で取り扱われているものまである。
「こちらに座っていてください。すぐに来るので。それまで遠慮なく食べていてください」
「お父さん、よろしくね」
そのまま父親だけ退室し、キサとリナクは残された。
「えっと、これ食べていいのかな?」
最近は収入が乏しくまともな食事にありつけていない。本当に危ない時は乞食になっているぐらいだ。
「いいですよ。これはお父さんが私が連れてくる人の為に用意したものですから」
「いっただっきまーす!」
貪り食うリナク。そんなリナクをキサは後ろの方から眺めていた。
10分もしないうちにリナクは満腹になった。椅子にもたれ「ふー」と息を整えていると扉が開いた。
扉を開いたのはキサの父親だった。
「君の名前はなんだい?」
「リナクですけど……?」
「そうか、ではリナクくん決闘をしよう!」
一瞬、リナクは呆然とした。
年老いた男が若い冒険家に闘いを求めたのだ。勝敗は自明の理だろう。
だがリナクは満腹になり忘れていた。この男の力は自分如きでは太刀打ちできないことを。
「え、っと、なんでですか?」
「勿論娘を預ける人物に足りているかだ。私に勝てないようなら娘を預けることなんてできないからな」
これだけの金持ちの家だから審査が厳しいのはわかる。しかしその戦う相手が父親というのはよくわからない。
「決闘って素手ですか?それとも……」
「真剣に決まっているだろう。それと今のうちに言っておくが私は今まで数多くの一人前冒険者を打ちのめしてきた。それでもやると言うならいいが止めるんなら今のうちだぞ?」
その父親の表情はぶれない。だからその言葉は真実だということを何となくリナクは感じ取った。
4年の冒険家など世間的にはまだまだ子供だ。10年経ってようやく半人前と呼ばれるのが関の山だ。
「やりますよ。そして俺はあなたを超えたいと思います」
「よく言ったぞ小僧」
なんか段々と口調が悪くなっていくのは気にしないでおこうと思ったリナクだった。
毎回こんな感じで拙い文章と共にお送りしたいと思います。
この後の話の展開とか全く考えていないんで、これ以上変になったらごめんなさい。