第一章 出会いは突然に
ここで寝転がっている青年はリナク・グリティファー21歳だ。
リナクはもう4年間も冒険家として働いているが一向に仲間ができていない。
「仲間欲しいな~」
こう、願いのこもった悲しい呟きが出るのも仕方ない。
今まで何回もいろいろな人に声を掛けてきたが誰一人として誘いに乗る者はいなかった。
「ハーレム作りたいな~」
創作物では何気なく作れているハーレムだが、現実はそれほど甘くない。そもそも女性の冒険者の数が少ないのだ。割合で表すとすると8対2だ。
「それから美少女とか降ってこないかな~」
あるはずもない妄言を、と思ったときに急に視覚が奪われた。辺りは一面真っ暗になったのだ。
「ぬわ!」
顔をあげてみると何かとぶつかった。
「いたた」
「あ、おはようございます」
目の前でそう挨拶したのは見かけたことのない美少女だった。
「あ、えっと、どうしたんだい?」
こんなことが起こるなど想定しているはずもなく、リナクは正しい言葉が見つからなかった。
先ほどぶつかったのはこの女の子だろう、と思っていると
「その、私、冒険者になりたいんですけど。いろいろと断られてしまっていて、ギルドのおじさんには誰か冒険者でも探して仲間に入れてもらいな、って言われたので」
「んと、もしかしてその冒険者って俺?」
「はい!丁度家に帰ろうとしているところに見つけたものでして。近づいて行ったときに仲間が欲しい等とも言ってたので、いいかな~って思いまして」
予想外すぎる展開に既にリナクの頭はついていけていない。
だがこれはチャンスだった。仲間を作ることができるのだから。
「私の名前はキサ・ナサキキナと言います。どうぞお見知りおきお」
「えっと、俺はリナク・グリティファー。できれば俺からもその願いを受け入れたいと思うよ」
この機を逃してしまっては、kもう一生こんな転機は訪れない。そう悟った。
目を瞑り、右手をそっと出し、キサが握ってくれるのを待つ。
すると温かい感触が右手に感じられた。
「よし、まずは話をしようか」
「は、はい!……はい?」
眼前には見知らぬ巨漢な男。その横にはキサ。
え?
「あ、この人私の父親です」
「どうも、父です。それでは娘の件で話でもしましょう。うちにいらしてください」
どう考えてもマフィアか何か悪事を働いている連中の頭だなと思うような見た目。
リナクはどうには作り笑顔を浮かべているが内心はおっかなくってちびりそうだった。
(俺の冒険家人生はどうなるんだ!?)
そのままリナクは不敵な笑みを浮かべるキサの父親に手を握られ、隣にはにこやかな笑顔でリナクを見ているキサがいる。
どうにかリナクは父親の手を放そうと試みたが、一向に手を開かなかった。4年間冒険家をしていると自然と腕力・握力・脚力、その他いろいろな力が強化されるのが一般的で、リナクも当てはまっているのだが、父親の握力は冒険家以上の物だった。
「さ、着きましたぞ」
歩き歩いた先に待ち受けていたのは豪邸だった。
自分でも雑だな~と思いましたが、直すのもあれなのでそのまま出します。
なるべく早い更新頻度にしたいと思います。
間違いなどの指摘は是非是非してください。