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神様の手のはじっこのほう

作者: 福

失恋したけれど、あんまり悲しむ時間がなかった。本当になかった。それは神主さんのおかげだった。

私とマオは、上尾神社の境内で出会ったのが最初だった。

最初、というより何度か顔は見ていた。

彼は、そこの神社の神主さんの息子だ。水色の袴を着ていて、境内やトイレの掃除をしていた。

そんなに大きな神社ではない。

社務所に常駐しているわけではないみたいだった。

いつ行っても手入れの聞き届いたその神社は、古い境内の木目を眺めているだけでもホッとした。

近所を散歩していてたまたまみつけたこの神社が好きだ。この町に東京から引っ越ししてきてから、週に一回は通っている。


恋人の二股現場を見た帰り道、浮気相手と別れた後の彼とたまたま遭遇して、喫茶店でお茶をした。いつもどおりに会話をして、さっきの女のひとは誰?と聞くタイミングを図っていた。

私は、何曜日用の彼女?もしかして、彼女でもないかもなあ。しかも、すごく高そうなレストランから出てきた。

ああ、上から下までブランドづくめだった。東京の満員電車でもみくちゃにされている、同じブランドの鞄がかわいそうでたまらなかったことを思い出した。端っこが、黒ずんでいたっけ。


少しも、彼の言葉が耳に入ってこなかった。


帰り際に、聞いてみた。


さっきレストランから出てきた女のひとって、彼女?


慌てふためいて、腹が減って、と言って買った多分、彼女用のお土産を私に握らせた。


いや、いいよもうこういうの。それなら、それでいい。

私よりも時間とお金をかけてあげたい女の人がいるなら、そっちを大事にしてくれればいい。

そういうと、彼に逆切れされた。高飛車だといわれた。


非生産的な事が嫌いなだけよ。


そう言うと、引き下がってくれた。


そういうルーティーンに飲み込まれたまるか。くだらないスケジュールの隅っこに、私を勝手に置かないで。


そう思った時に、上尾神社が浮かんだ。


そうだ、いつものあの社務所の横の喫煙所のベンチでこれを食べよう。

ご神木の下で食べるランチなんて、最高だろうな。あの、花の名前はなんていうんだっけ。銀杏の匂いはしなかったから、多分大丈夫だろう。


そんなことを考えながら、神社を目指した。


通り過ぎた車がはじいた小枝が30センチ横で着地したのを見送った。そうそう、こういうことだ、とその時ピンときた。

toeのgood byeがイヤホンから流れると、私の心はちょっと落ち着いた。


早くいきたい、あそこに。

綺麗に剪定された植木と、鳥居の上の石ころ、階段にいつもいる猫、手水舎の水道の蛇口にいる、ひょうきんな顔の龍の装飾を思い出しながら歩いた。

このバンドと、神社って本当によく似合うんだ、と言ったらバンド仲間に不思議ちゃん扱いされたのを思い出した。


はやく、はやく行きたい。

あの場所に行きたい。


ここじゃないどこかを目指して行きたい、と焦れる場所ではなく、純粋に好きで思い浮かべた場所は、あそこが初めてかもしれなかった。


「こんにちは。」

神主さんが、隣に立って挨拶をした。私はやっとたどり着いて、ベンチに座って、ベーグルサンドにかぶりついた所だった。

ちょっとたばこ臭い空間でも平気だ。

昔吸ってたしなあ。むしろ落ち着く、と思いながらピクルスを素手でつかんだところだった。

「寒くないですか?中、いいですよ。これから氏子さんや希望者の方達と、伊勢参りの講習するんです。まだ、1時間くらいあるけれど。」

「いいんですか、なんかすみません。寒かったんです、ちょうど。」

部屋に入ると、ストーブの匂いがした。

「ってかね、なんであんなくそ寒い中で、女の子がランチしてんすか。」

口調の砕け方で、多分同年代だと思った。くそさむいね、と笑ってしまった。

「ほんとね、寒かったーー・・・。」

社務所の中は、小さい頃田舎でみたじいちゃんの家みたいで、座布団の糸のほつれ具合とか、客間に土間から登る時の板のきしむおととか、水周りの感じとか、やかんがくぼんでいる感じとか、本当に懐かしくてほっとしてしまった。なんだか、もう今の状況が面白くてたまらなかった。

いつもなら、こんなことをしない。けれども、多分彼氏らしかった人のおかげで、私は今この風景を眺めている。

「いつもいるよね、最近。」

台所でお湯を沸かしている最中だったらしく、温かいお茶まで淹れてくれた。

「あ、ご飯たべてていいよ。」

そういって、お茶を置くと奥へと姿を消してしまった。

お茶を飲むと、外で落ち葉が落ちた音がした。冬が来るなあ、と身構えてみた。でも、妙に心は温かくてさっきまで味がしなかったのに、人の心ってすごいなあ、と思いながらベーグルの続きを食べた。なんだか、ものすごいごちそうにさえ思えてきた。きらいだったピクルスも、今ならイケる。

むしゃむしゃと丁寧に、ベーグルを食べた。

「ごめんなさいね、きちんとお構いもせず。」

「いいえー。」

神主さんは食べ終わったころにお茶のお代わりを持って戻ってきた。気の使い方は、私よりずっと大人だ。食べている最中に気を使わないでいいようにしてくれたのだ。改めて対面で座った。さすが、正座をしたときの座り姿が素晴らしかった。

ごつごつした手を眺めていると、なんでこんなに女性がしょっちゅう神社の境内にいるのか、不思議だと全身で訴えてきた。

「大吉がでたんです、人生で初めて。はまっちゃって、それから週に一回は通ってて。」

なるほど、と合点がいった顔をして、神主さんはお茶を飲みほした。


「人生初の大吉は、そのあと何回でたの?」

「それがね、お参りするたび、大吉なの。なんだと思いますか、これ。大吉しか入れてない?」

神主さんは、むせておちついてから目をきょろきょろさせた。

「あのねー、そんなんできるわけないでしょー。」

とうれしそうに笑った。


今までの人生の中で、大吉を出したことが本当になかった私が、お参りの都度に大吉を引くなんて、もう本当に笑い話としか思えない。母親に話すと、あらあら、気に入られたのかな、よかったねえ。

いっそ、そこに住んだら?と言われる始末だ。

「ここのなまりじゃないよね。」

「東京から仕事で引っ越してきました。営業マンなんで、こう見えても。」

おっとりした見た目のおかげで、人の警戒心をとくのはとてもうまい。成績のよくない地方に飛ばされては、業績を上げるということを繰り返しているうちに、三十路を越えていた。

「優秀なんだねー。なるほど、男性ばりに働きそうね。」

「初めてそんなこと言われた、たいてい、なめられるか勝手に親近感もたれるかどっちかなんだけど。神主さんこそ、ここのなまりじゃないよね?」

だんごたべる?と言いながら持ってきたのは、よもぎもちだった。なんて面白い人なんだろう。

「俺ねー、大学が茨城で、ずっと会社員してたの。2年前に帰ってきて、神主はおやじ。他にもみてる神社があるの。俺はまだ、水色の袴だから修行中の身だよ。」

よもぎもちが好きなのか、完全に油断しているのか、客人の私より先にぱくぱくと食べ始めた。

水色は、修行中なんて、知らなかった。

「いやー、面白い人だ。」

「あなたも。神主さんじゃないなら・・・」

「マオといいます。あなたは?」

「優子といいます。」

改まって、三つ指ついてお辞儀してみた。

なんだかおかしくて、2人で吹き出してしまった。

さっきまでの心の嵐は、どこへいったんだろう。

きょとんとしている私を、見透かしたみたいに

「まあ、楽しんで聞いていって。それなりに会社員してて、ここにいる理由は、優秀な営業マンならかぎ取るでしょ、すぐ。あと15分。氏子の長みたいな人がくっからね。仕事モードにもどるから、俺。座布団足りないかも。」

「手伝おうか。」

「いや、大丈夫ですよ。」

仕事モードってこれか。

「なんか、吹き出したらごめんなさいね。」

と私が言うと、やんちゃそうに、うれしそうに私を見つめて笑っただけだった。

マオは奥へ座布団を取りに行った。

「その、退屈でたまらないって顔を、笑顔でゆがめてあげるからね。」

と奥から声が聞こえてきた。

「こんにちは。」

さっき、私が登ってきた土間からもしかしたら、この人が長って言ってた人かな?と思って眺めた。マオよりずっと、この道に詳しそうで袴が似合いそうな雰囲気だった。

「お父上は?」

と私を一瞥してからマオに話しかけた。

「今日は、別の神社の社務所におります。」

としずしずと、頭を下げた。なるほどな、と思って今の一連の流れを眺めた。

その後に、可愛らしい女の子を連れたお母さんや、40代くらいの女の人3人組み、長と同じくらいの60代くらいの男性が数名、10代の男女のカップルが2組、とやってきてはお互いに挨拶を交わした。どうやら、新参者は私だけらしかった。

「時間がきましたね、でははじめましょうか。」

一つの部屋に知らない人同士で机を挟んでさし向いで座るなんて、プライベートではまずないことだ。仕事の研修の場ではあるにしても。

「では、みなさん今回初めての方もいらっしゃいますし、私もお顔しか存じ上げない方もいらっしゃいますので、自己紹介から始めさせていただきたいと思います。」

袴の裾を整えながら、この部屋にはあまり似合わないホワイトボードの前に起立をした。

こうやって見ると、背が高くて手もゴツゴツしていて、スポーツマンみたいな人だ。

「須崎と申します。この神社は父親と2人でお仕えさせていただいております。実は、私ども10数か所任されている神社がございます。日々、2人してその10数か所を転々と担当しておりますので、なかなか社務所に常駐をしていたり近所にいるということがございません。分身でもできればいいのですが。ご容赦ください。2年前からこうしております。水色の袴はまだ修行中の身、という証でございます。ご覧ください、このまぶしい水色。いやー、しみますね…。」

といって少し遠い目をした。

「よっつ、がんばれよ、ご子息。」

と長が言った。私にきを使ってくれての時間だなあ、と思った。

「はい、待っておりました、そのお一言。」

そう言って笑う顔は、本当に優しくて驚いた。

懐の深い人だな、神職ってこういう感じなんだろうか。

見栄と、数字と他人様の目が重要なところで生きてきた私には、久しぶりの感覚だった。

「今日はお伊勢参りのお勉強会でお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。この上尾町の町おこしの一環として、この度は初の試みになります。商店街のパンフレット、お手元の、そう、それそれ。ご覧ください。ヨガ教室や料理、鍼灸院のツボ押しセミナー、ミシン屋さんに陶芸教室の作品づくり体験、ああ、畳店もありますね・・・・畳ってなんの体験を・・・・。まあ、数ある中で、ここ上尾神社にお越しいただきまして、ありがとうございます。ここに足をお運びいただいたご理由と、お名前と、許す限りの軽い自己紹介なんかもしていただけたらと思います。」

おお、多分、プレゼン慣れしているだろうな、と思いながら私はマオの口上を聞いていた。さっきとは大違いの、近所の気安いお兄ちゃんから、プロに変身をした。

「では、そこのみ目麗しいお嬢さん。」

そういって、長が私を指指した。

恐縮しながら、起立をした。学生以来だ、こんな仕事や人数合わせのコンパでいやいやする以外での、本当の武装していない自己紹介。

「神埼優子と申します、東京から半年前に仕事で引っ越してまいりました。実は、引っ越してきてすぐ、ここで30年以来人生初めての大吉を引いたんです。うれしくてたまらなくて、それ以来、週に一回ここにきてはおみくじを引いて、ずっと大吉なんです。ここに住んでしまおうかと最近は思うくらい、ここが好きです。よろしくお願いします。」

正直に普通に声を発したのが、本当に久しぶりでちょっとドキドキしてしまった。子どもの頃は、こんなにむき出しで、素でいろんなものを感じて、突っ込んで、痛い思いもイイ思いもしてきて、人はいい意味でも悪い意味でも、仮面をまとうんだな、と冷静に考えていた。

「ほー!そりゃすごいね。ここ、大吉しか入れてないんだよな。ご子息。よかったな、こんな美人が…。」

「引っかかってくれると思っていましたよ、って本当に大吉だけ入っていたら怖いですよ…。でも、毎回大吉もすごいですねえ。よくよく考えたら。」

マオがそういうと、他の人もお互いに顔を見合わせてうなずきあった。

スピリチュアルが好きそうな女性3人組が、私もね・・・と自分のおみくじ歴を話し始めた。

でも、絶対、私の飛び上るほどうれしい大吉は、この世の誰にも叶わないはずだ。

「よっぽどうれしかったんだと思います、私が。」

というと、全員の爆笑を誘った。

そう言って、座布団に座ると久しぶりに舞い上がった自分を発見したのが面白くもあった。

ああ、こうやって素直に笑うの、久しぶりだ。

「では、次の方。」

マオの誘導で次々と自己紹介がテンポよく進んだ。

外を見ると、いつもいる猫がこっちをみて笑っていた。

まるで、それでいいよ、と言っているみたいにちょっと笑っているようにさえ思えた。

マオは、淡々と外宮と内宮のお参りの話をした。

そうすると、長や他の女性陣が、かわるがわるマオの話を遮りながら私と若いカップルに教えてくれた。

なりたちや、ネット上で言われている噂から正式なお参り方法まで、たくさん教えてくれた。私は、誰の話も初耳で、面白くて手元にマオが用意してくれた紙とペンを一生懸命駆使していた。

「すごい、こんなに皆様熱心にいろいろご存知とは。私よりも、もしかしたらさまざまなことをご存知かもしれませんね。」

と言って頭を掻いた。

奥の納戸の隙間私の座った位置から見えている本の山は綺麗に手入れが行き届いていた。

多分神道関連の本だと思う。

「では、ここで荒魂と和魂のお話をしようかと思います。聞いたことがある方、いらっしゃいますか?」

手があがったのは、長だけだった。

おや、という顔を作ってからマオは、ホワイトボードの方に向き直った。

「このようにお書きいたします。荒ぶるという字と、和む、という対照的な文字がならんでございますが、こちらいづれも同じ神様を指す言葉でございます。」

そういうと、皆が首をかしげつつマオの話に耳を傾けた。

「太陽とは、多くのお恵みをくださるものです。日光がないと植物は育ちません。人間は日光がなければ活動できないのはもちろんのこと、鬱になるとも言われています。冬季鬱なんていうのも、今では認知されるようになっております。冬の時期に日照時間が減ることで、自律神経に支障をきたすそうです。その場合は、日光に似た光線をあてる、という治療方法も認知されるようになってきているとのことです。その位、地球上のものすべてと太陽には、深い関連があるわけです。すべてをはぐくみ、照らすものが太陽です。」

マオが話すと、私はメモをとるより心に刻んだ方が早いような気がしてきて、手をとめてしまう。

「では、優子さん。太陽が照りすぎると、どうなりますか。雨が降らず、日照りで、たとえば日光の強い地域のビーチで、ビキニでずっとねっ転がっていたら、どうなるでしょう。」

「去年、沖縄でそれをやりました。軽度の火傷状態になって、7日程うつぶせで寝ました。あと熱中症の一歩手前までになりました。日照りが続けば、作物は育ちません。干ばつがおきれば、他の動物の水源が無くなってしまいます。」

マオがそこまで上手に、話をするならと思い、話しすぎかな?と思いつつ自分の話をした。

「火傷手前って、なかなかドジですね・・・・。そうですね、おっしゃる通りです。同じ太陽にもこのような二つの側面がございます。」

なるほど、というしぐさをカップルの男の子の方がした。

「どちらも、神様のお顔でございます。よく、荒魂の方はお手を合わせず、お帰りになる方がいらっしゃいますが、どちらも大事だと私は考えております。ぜひとも、いづれの神社仏閣もそうですね、お手を合わせになってくださいませ。祈願事の効力は2倍!と私めが保証致します。」

「ほんとうか?」

と長がちゃちゃを入れる。

「はい!多分ではございますが。」

とさらに断りを入れた。

「それでは、今日はここまでに致します。」

マオのかけ声で、散会になった。

それぞれに散っていく中で、長が私に声をかけた。

「どれくらい、ここに居る予定ですか。」

「あと半年はいるかなあ、とは思います。研修の進行具合によりけりですが。」

そういうと、社務所の名簿を持ってきた。

「差し支えなければ、お名前とご住所いただいてもいいですか。いろいろお知らせしたいのです。」

そういうと、長は筆ペンと一緒に名簿を渡した。

「今度、年末の大掃除とお正月の準備もします。人手が多いと助かります。それに、この辺ではいない空気の方なので、ちょっとした事件になって、みなさんも楽しいかと思います。」

「よろこんで!」

この神社に関われることなら、関わりたいと思っていた。

「なにか、勧誘したりとかないので、安心してください。」

「営業マンなんで、大丈夫。」

と言うと、長が私とマオを交互に眺めてニヤニヤ含み笑いをした。

私は、それにまったく気がつかないフリをした。


次の日も休みだったので、商店街を探検した。

本格的に寒くなって、そろそろ撥水加工されている靴をおろそうかなあ、と考えながら歩いていた。

昼下がりなのに、ぐるぐると巻いたスノードに顔をうずめても、寒くてたまらなかった。

すごくお腹が空いていて、まさに家庭の朝食、みたいな朝ごはんを食べたくて彷徨い始めた。

ああ、ここに公園があるのか。

さっきの八百屋の方が、安い。

あ、あのコンビニの店員イケメン。

いやいや、こんなにおしゃれなご飯が食べたい気分ではないんだよなあ、今は。


とぶつぶつつぶやきながら歩いた。

あきらめかけて、チェーン店に入ろうとしたそのちょっと先にある食堂が目に入った。

ずっと長い間やっている食堂っぽい空気が出ていた。

この商店街で、一番年季が入っていそうだ。

こういうのが、多分、普通の美味しいご飯を作ってくれるに違いない。

そう思って暖簾をくぐると、そこにはマオがいて、また理想的な昔ながらの感じで、お店のよくわからない高い所にあるテレビを見ていた。

声をかけようか、かけまいか迷ったが、私はしばらく彼を観察することに決めた。

ありきたりな、日本の普通の朝ごはんっぽいんだけれど、現実世界ではなかなか出てこないであろう、ほんとうの普通の朝ごはんをマオは淡々と食べる。

でも丁寧に、大事そうに、一挙一動が口にものを運ぶという行為を命みたいに大事に扱う。

空腹を満たすためだけの食事や、ダイエットのために乱暴にご飯をぬいたこと、ごまかすための添加物だらけのお菓子を食べている自分の体の中身は、一体どうなっているんだろう、と恥ずかしくなった。男の人の割には、あまり食べず、でもちゃんとバランスが保たれているマオの姿勢を正してご飯を食べる様は本当に美しいものだった。

声をかけられずに、お店をでた。

私は、モーニングのコーヒーとお菓子が朝ごはんだった。

そういえば、だれかがこういう食事は糖尿病の元だっていってたっけ。

気をつけよう、と心に決めて足を踏み出した。

自己啓発の本によく書いてある、自分を愛しましょうという言葉。

鼻で笑っていた。ただ、営業の参考になる言葉や救いが欲しくて読んでいた。

愛する?どこを?と思っていた。

自己啓発ダイスキな友達が誰かを妬んだり、羨んだり、過去の失恋の傷を自分でなめ続けていたり、遠回しな嫌味をいったり、思うように私を動かそうとするのを見るたびに、自己啓発ごとひっくるめて、一度私の心のごみ箱に捨て去ったこともあった。


他人はどうでもいい。あの矛盾ごとそのままでいい。

自分は、私はどーよ。


と、帰り道にあくびをしている猫を眺めて自分を叱咤激励してみた。

三十路過ぎの大の大人が、本当は分かっているくせにへそを曲げる余裕があるなんて、たいしたもんだ。ただ、時間は有限だ。さて、どうする、私。

そう自分に話しかけてみた。


ぐんぐん歩いた。乗車予定の駅を越えて、とりあえずぐんぐん歩いた。別にいくあてもない。

一人ぼっちで過ごす町。

とりあえず、町の中心地をめざす。

女優帽って流行ってるんだ。

ああ、今度あそこのカフェいってみようかな。

へえ、無添加のスコーン専門店かあ。

はちみつも!高そうだなあ・…。

あ、そうでもない!高くない。

ねえ、元気、私。

今まで無視し続けてごめんね。


初恋の人に、バレンタイン本当はあげたかったのに

親友過ぎてあげれなかったね。

でも、名前を書かずに、机に入れれたね、よかったね。

ああ、あの時、お母さんにひどいこといっちゃった。

すごく疲れていたろうに。

弟たちにもひどいことしちゃったね。

いつも命令ばっかしてたな。

おじいちゃんにもひどいこといった。

その次の日おじいちゃんは死んじゃったね。

いっぱい泣いたね。

人っていつ死ぬかわかんないって、その時知ったね。

あー、2またかけられたこともあったね。

私はずっとファーストフードで幸せでラブホ代浮かすためって言われて鵜呑みにしてたら

次の日、高級約肉店で女の子にごちそうしている場面にあったっけ。

私には、コンビニのビール1本も払わせるのに

おまえは強いからな

が捨て言葉だったなあ。


よく頑張ったね、私。

よく頑張った。

いつも私は私を無視し続けていたね。

自分すら無視する私を、誰が目に入れて大事に扱ってくれるんだろう。

自分を愛することが欠けているって、こういうことか。

不愉快な思いして、自分に向かってずっと私ってこんなに不幸なんだよ、って語りかけていただけだったんだ。

なんて不毛なの。

なんてかなしいの。

だれが、私を抱きしめるの。

それでいいの?

このままでいるのは、きっと楽よ。

仄暗い海の底を、覗き込むのはきっと楽しい。

このままも、きっと楽しい。どうする?


本当は、分かっているのにね。

マオを見て反応している私が本当ね。

勇気がいるなあ。

ああ、あっち側にいきたいなあ。

一人ぼっちだけど。

あっちがわにいけば、一人って気付くんだろうな。


でも私は、マオを見つけてしまった。

一人を全身全霊で生き切っていこうとするマオをみつけちゃった。


ねえ、愛しているよ私。

あんな風になろうよ。


ぐんぐん歩いた。3駅過ぎたころに気がついた。

私は、ぼろぼろと泣いていた。

頭の中は、ずっと黄金色の金粉が待っていた。


「薬膳の勉強でもしよう。」


何か声に出さないと、このまま戻れる気がしなかった。

単なる思い付きを、現実に落とし込もうとして私は本屋を目指すことにした。本屋に、仕事以外の迷いの用で立ち寄ったのは、どれくらいぶりだろう。

就職活動が始まる前に、時間もなくなるだろうから、と思って好きな作家の文庫本を何冊も、古本屋で買いこんだのが最後だったかもしれない。

駅ビルの中にある、よくある感じの本屋ではなく、もう長い間そこにある本屋に入った。

人は、いつもまばらで、いつもの私なら入らないところだ。

眠そうに店主かあくびをしているところに、私が入っていったものだから、少しばつの悪いような顔をした。40代くらいの男性で、訝しげに私を見た。

それも仕方ない。ここで、毎日駅までの道のりで顔を見るのに、私は一瞥もせずこの前を通りすぎていたのが多分その原因だと思う。

「いらっしゃいませ。」

そういうと、奥へ姿を消した。多分、私の方がばつの悪い顔をしていたに違いない。

薬膳なんて、なんでそんな思い付きを思いついたかはわからない。

でも、ひとつだけ確信がある。

大家族で、しかも母子家庭だった私の家。

母親が女手一つで、兄弟5人を育てた。

母親は、大人になるまでは、人の手の温度が伝わるものを食べさせてくれた。

手抜きだろうが、なんだろうが、自分が火を入れたものを食べさせてくれた。

ご飯の魔法というんだよ、と小さな食堂を切りもりしなら、私達5人を育ててくれた。

20代の頃、初めて煙草を吸っているのがばれた時、今までにないくらいに母親は怒り狂った。

あんた一人の身体なら、勝手にすればいい。いつかあんたを本気で愛する人に、お腹にいつか宿すこどもに、あやりなさい。あんた一人なら、勝手にすればいい、と言われた。反抗して吸い続けたけれど、初めてこの人の子どもが欲しい、と思う人ができたとき、本当に後悔した。

病院にも行かず、大量のガムだけ噛み続けて、煙草をやめた。

女の身体って、こういうことなんだな、と思った。

大量に美味しそうに煙草を、綺麗に吸う女の人に、私はまだ憧れる。良薬にもなりうると本気で思う。

でも、ストレス発散でしか煙草を吸えない私には、煙草は似合わなかった。

一度も、美味しいと思ったことはなかった。

母親が、小さいころ、きっと泥のように疲れた身体で帰ってきて、作ってくれたであろうおみそ汁と、納豆、ご飯、野菜炒め。もう飽きた、なんて言って悪かったなあ、と本気で心のそこから後悔したものだった。

そうだ、マオが、丁寧に食べていたあのご飯は、お母さんが作るご飯によく似ていたんだ。

「東洋医学と西洋医学の違いからはじまるんだ。」

思わず、口に出てしまった内容は、病の定義からだった。

東洋医学では、検査で体の変化がみられなくても、不調の原因を探してそこを整えていく。

生活のバランスの崩れ事態が、病気になる状態をすでにもっている状態といわれている。

五行説や陰陽に季節や食べ物や、味覚、身体の部位もあてはめられていて、陰と陽は対極にあって、必要不可欠なのに、不可侵だった。

「あ、マオが話していた和御霊と荒御霊みたい。」

そこまで読むと、私は最初に店主に感じたようなきまずさはなくなっていた。

レジにいく、億劫な気持もなくなって早くこの本を上尾神社のベンチに座って読もうと思った。


「おーーい。」

「わあ!びっくりしたなーもー。」

ハッと顔をあげると、そこにマオの顔があってその向こう側でご神木も私を見ろしていた。

「びっくりすんのはこっちだよ。何回呼んだと思ってんの。」

「ごめん、本に夢中で。」

「なんの本?」

「薬膳。」

「なんでまた。」

あなたのご飯を食べる姿にみとれて、ご飯を私もちゃんと大事に食べてみようと思った、なんて恥ずかしくて言えなかった。本当の理由は、この人といつか指し向いでご飯を食べる日がきたら、話そうと決めた。

「今の私に不足しているのは、健康だけだからね!」

「男は間に合っている?」

「それってどういう意味って聞いていいの?男の人はそういうの、いやがるから空気読んでだまってきたけれど、はっきりと聞くことにきめたんだよね。」

「煮え切らないのは嫌いそうなタイプだもんね。」

「嫌いどころか、私の世界から抹消していくことに決めているんだよね。」

そういうと、私の隣に座って髪に触った。

「綺麗な髪。」

私の胸までの長さがある髪の毛に触れながら、目を伏せた。ああ、女の私より綺麗な男の人だなあ。

「むかつくなあ。あ、ちゃんと前の文章があるんだよ。失恋したから切ろうと思ってたけど。」

「失恋してたんだ。わかんなかった。あんた、あほだな。」

うっとりと私の髪の毛を眺めながら撫でている。後ろで、ご神木の枯葉が落ちてカサカサと言った。

「あーーあ、さみい。中入ろう。ストーブつけるわ。」

そういうと、私の髪の毛から手を離した。

「俺は、あんたが好きなのかなあ。」

「私も、かなあ、の状態ですわね。正直。」

そういうと、マオは入れてくれた紅茶をのみながらむせた。

「マンガみたいにむせる人、はじめてみたー!」むせながらすこし恨めしそうな顔で私をみて、またほほ笑んだ。

「おれ、あんたが本気で笑う顔初めて見た。」

ああ、男の人の手だ、と思いながら口元をぬぐうマオの手をみた。

「本気でいつも笑っているつもりだったんだけどなあ。」

「なんか、気持ち悪い笑い方をしていたよ。」

ばつが悪そうでもなく、単刀直入にいうマオの顔が本当に愛おしいものを眺める男の人の目をしていて、私は本気で困ってしまった。久しぶりだ。こんなに大事そうに眺めてもらったの。

「あんまりみぬかないで。」

そう応えるので精いっぱいだった。何も言わずに、立ちあがってストーブを点けた。台所へいくと可愛い包み紙を握りしめて戻ってきた。

「そうだ、この前は、いきなり講座にさそってごめんね。ちゃんと聞いてくれてありがとう。これたべて、もらいもんだけど。」

遠慮なくでてきたマカロンをほおばってみた。ベリー味だった。

「女子力高めの午後ですね。」

「あの、長みたいな人いたでしょ。あの人甘党で。」

あ、私を安心させるために喋っている。

手元だけを見つめて、マカロンをほおばり続ける。

あれ、どうやって喋ってたっけ。なんかちぐはぐだ。顔も直視できない。

どんどんひたすら食べ続ける私を、たぶんマオも所在なさげに眺めている。

「そんなに好きか、マカロン。」

「はい、ベリー味めずらしいしね。」

なんで、ちょっとカタコトなの、そう言ってお茶を淹れなおしに台所に立った。

そんなに長くいるつもりじゃなかったこの町に、愛おしいものができてしまうことに抵抗を感じていた。まだここを眺めていたいと思ってしまった。人生で初めて大吉をくれた町。

見抜く人がいるこの町。

この人を見ていたいと思ってしまった。軽口叩いていたいと思った。

「俺ね、あんたの髪の毛好きだよ。」

そう言ってお代わりのお茶を持ってきてくれた。座布団をまくらにねっ転がった。

私から見えなくなった。

「私は、卑怯かもしれないよ。過去に重大な傷があるかも。男勝りで可愛くないよ、多分恋人がいても仕事人間。そんなにいいもんか、保証はないよ。」

「ちょっとだまって。」

爆笑したマオの声だけが、紅茶の上に現れた。

「俺ね、東京で広告代理店に勤めていたの。関東にいた優秀な営業マンなら、みんな知っているところだよ。」

そういって、起き上ると私と指し向いでマカロンをつつき始めた。

「うわー。あんまーーいね、これ。」

方言でなまっていないマオの喋り方にほっとした。

「俺ね、お袋の実家が横浜なの。おやじと俺が高校生の時に離婚しているから今はおふくろは横浜にいるよ。学生の時は、お袋のところにいたんだよ。だから、あんた見たとき、ああ、都会によくいた感じの、私はできるって感じのバリきゃりなおねーちゃんかと思ってさ。」

ああ、よく言われることだ。強い女とよく言われる。

「田舎じゃ毛色が違ってて、重宝がられただろ?でも、あんたみたいな人、関東にはたくさんいるじゃんね。だから最初見たときは、イイ感じのリア充で、でもよくいる感じのロハス好きな、スピの知識やったらもってて、でもブランド物で全身固めていないと、不安でしょうがない類の女のひとだと思った。」

全部、真反対だ。多分見た目のせいだろう。もう慣れっこだった。

「大吉でた、ってよろこんでるじゃんね。しかも、神様のこととかなんにもしらねーし。無邪気に喜んでさ。でも、ただただ、仕事をガンバっている女のひとにしか、俺には見えなくなった。」

やっぱり見抜くなあ。あれだけ人がいる東京にいて、だれも見抜かなかったのに。

なんでこの人は見抜くんだろう。

「そうなのよ、ただひたすらお仕事がんばってるだけなのよ。なのに、言いたいことを人はいう。言いたい事じゃなくて、仕事を教えてくれればいいのに。教えてもらえないなら、自分でやるしかないじゃない。そしたら、凝り性だから、こうなっちゃっただけよ。」

マオは、真剣な顔で私の話を聞いてくれた。

「ほんと、ほーーーくがんばったね。俺、あんたの会社の上層部と仕事したことあるよ。女子には、あたりの強い会社だと思ったよ。」

そういって、なんとも言えない苦笑いをして私の頭を撫でる。

びっくり涙がでてきた。ここは、なんで私の欲しかったものばかりくれるんだろう。

「お、女の人がつきあってもない男の前で何度も泣くのって、心理的に安心している証拠らしいぞ。特にあんたみたいなのは。」

「みぬくな!」

マオは爆笑して、またねっ転がった。

「なんどもって?」

「初めてここにいたときも、本当は泣きたかったでしょ。」

二の句を継げなくなった。沈黙を保つので精いっぱいだった。

「あんた、やっぱりあほだもんね。ごめん寝かせて。」

それだけ言い残すと、マオの寝息が聞こえてきた。


「よけいなお世話なのは、重々承知だけれども。」

テーブルの上の湯のみと、もろもろを持って立ちあがって台所を磨くことにした。

立ち上がると、マオが寝返りをうった気配がした。

おこさないように、そっと食器を台所に置く。

寝返りを打つと、そのあと少し大きめのいびきが聞こえてきた。

久しぶりだなあ、誰かの寝息を隣で聞くなんて。

おこさないように、そっとそっと他の湯のみ類も洗って、拭いて、という動作をしているうちに、ずっとこんな時間が続けばいいのに、と思ってしまった。

「うーん。」

思った後に、自分の考えを振り払うために出した声に自分でちょっと笑ってしまった。

キッチン一つ一つ眺めてみても、どうにか彼が愛を込めようと努力しているのが分かった。

普通、母親の手がないなら、もっと雑に扱われたっていいだろう、食器類はきちんと整頓されていた。普段の様子からみても、マオが客人に台所を触らせるとは思いにくい。

きっと彼の導線でおかれた食器類、戸棚の配置、物は古いけれど一つ一つが丁寧に手入れが行き届いている感じが、もうマオがご飯を食べる姿そのものだと思った。

繁雑に見えて、適当に見えて本当は繊細な台所の配置を、眺めているのが本当に愛おしくてたまらなかった。

その奥に見え隠れする、書斎らしきスペースの本の山は、多分神道関連以外の本もあるんだろうと思う。いつか、ちゃんと一緒に手入れを手伝えたらいい。と思っているうちに台所掃除が終わった。

振り返って、もう一杯お茶をいれながらこの人が起きるまで待っていよう、と思ったときに自分の胸に広がった甘さに観念した。

私は、この人が愛おしいのだ。

気付いていないふりは、もうよそうと思った。

多分、この人も私と同じ気持ちでいてくれるんじゃないか、なんて期待よりもこの寝顔を見れている事実がただうれしくて、もう十分報われている気がした。

「好きなのは、髪の毛なのにね。」

それでも、私は彼が好きだといった髪の毛を愛おしいと思ってしまった。

目が覚めて気がつくと、私の肩にストールが掛けられていた。

ありがたいなあ、この感じも。

「おはよー。もう夕方だけどね。」

「寝てたわ、ごめんね。」


久々に眠った。眠るって、なんでこんなに人を元気にするんだろう。

すっきりさせてくれるんだろう。

生きていて、人間に平等に許された1番の幸福の権利は、睡眠だと思う。

「まあ、幸せそうな顔で。」

そういってうれしそうにこちらを見た。

「寝息が気持ちよさそうで、つられたんだよ。」

そういうと、くくっと笑って上着を握りしめた。

「腹減った。飯食い、いこう。」

いつも思うのは、この場面転換の仕方が、この人はとてもとても上手だ。

次の話しへ、ぱっと移れるところ。

いつもだらだらと、逃れられないでいる私には大分救いだ。

商店街にある、マオを見かけたご飯屋さんに到着した。

「ここがいいんだ。」

そういって、入った店内はこの前と違う空気だった。

だれかと入るお店って、こんな感じだったっけ。


ご飯が到着するまで、マオが学生時代に友達とでかけたアジア一周旅行の話を聞いていた。

自分には別世界の話を延々と聞いていた。自分の知らない世界は、いつも魅力的で刺激的だ。そう思って聞き入っていると、マオが私に呼び掛けた。

「ねえ。」

あ、またあの場面転換の空気だ。

「ここで生きていけそう?あんたは、俺と同じ出身地な気がするんだよね。」

「ここって、どこのこと?」

「この町・・・・この県?あの神社じゃなくて、日本・・・・。そうね、ここってどこだろう。」

ご飯を運んできてくれたお姉さんにお礼をいうと、マオはお先に、と言って生姜焼き定食をもぐもぐとほおばった。

私は、野菜炒めを頼んだ。

「食べてから考えれば?」

「それもそうだね。」

やっぱり、いつかみかけた時みたいに丁寧なご飯の食べ方だった。

感動してただただ魅入っていた。

男の人を見て、美しいと思う日が来るなんて。

「野菜炒めですー。」

到着して、麩の入ったみそ汁から飲む。

ああ、まともなご飯、日本っぽいご飯、久しぶりだな。

黙々と2人で食べた。

そうとう、お腹が空いていたんだなあ。

「ようくうね、また。」

「ねえ、ほんと。久々。身体はうそをつきとおせないもんだねえ。」

あ、わかった。

マオが何を言いたいのか。

しょうがないなあ。

「生きていけるよ。多分。」

「そりゃあ、光栄だ。」




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