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心配事 香椎side
今回は二話連続ですよ~!
「桜さま…。」
旦那様からのお仕置きに耐えかねたのか、あれから丸一日たったというのに、桜さまは目を覚まされない。
歯痒い。
私に力があれば、最善の策を考えられるほどの賢さがあれば、桜さまを守れたのだろうか?
其れにしても心配だ。お仕置きがあった後の桜さまは、意識を取り戻したあと、暫くその瞳に何も映さなくなる。まるで、とても虚ろで深い闇に落ちたかのように。
それは回を重ねるごとにもとに戻るまでの時間が長くなっていく。前回はたしか一週間程だった。恐ろしかった。まるで人形のようになってしまった桜さまが一生もとには戻らないのではないかと。
あの日屋敷にやって来たまだ幼かった桜さまのことを、時がたつにつれ、使えるべき人から女性として、大切に想うようになった。
早く、目を覚ましてください。桜さま…。いや、
「My princes.」
私の大切な人。
「う、んん…。」
…!
「す、好きです!」
え…
私を絶望など一切宿さない瞳で見つめ、まさかの言葉を彼女は私に言った。
私の心が狂喜乱舞していたことは言うまでもないであろう。