エンカウント…?
さあ、皆も考えてみよう。自分のことだと思ってね。
まだ中学2年生である自分が、異世界へ放り込まれたら、どうか。
まず、あなたはこう言うんじゃないか?
「ここ、どこ?」
テンプレもいいとこだが、思わず発してしまう。
まぁ言葉の通りだ、ここ何処だろう。
周りは一面草原が広がり、カラフルなお花もそこかしこに生えている。
日差しも、まさに春の陽気である。
あー、こんなとこで昼寝したら良さそうだなー。
あの木の下とかいいんじゃないか?
てか、なんかこの世界凄い原色だね。
俺…好きだぜ、ここ。
…ちょっと待て、そこの自分。
これ、やばくないか?
まだあの絵本の謎も解明していないままで、変なところに立っているのだ。
いや、別に絵本のことはこの際いい。
一人称が俺に変わったことも別にいい。
何度も繰り返すようだが、ここ何処じゃい?
なんなの?このほんわかした世界は?
これが僕の脳内なの?お花畑なの?
なにそれ、メンタル的に殺しにかかってんの?
さっきの親の目線だって今思うと相当だったぜ。
とりあえず、ここは夢の中なんだろうと、無理やりに解釈しておく。
頬を抓ったら非常に痛かったのは置いといて。
それにしても、随分と意識がしっかりしてる。
なんか…こういう小説なかったっけ?
異世界に迷い込んでどーたらこーたらみたいな。
だとしたら「俺つえー」状態になれるのか。
…いらない。あれは顔が伴って確立されるものである。
平凡の平凡である僕になにが望めようか。
そんなネガティブな妄想を悶々と繰り広げていると、何か聴きなれない音が耳に入った。
ぐぉーとか、がぉーとか、そんな感じ。
なかなかにこの雰囲気にそぐわぬサウンドである。
餌を求めてる獣みたいな、欲望の声。
…餌?獣?
何自分でフラグ立ててんだよおい。
回収しなくちゃ行けない雰囲気じゃんかよ。
いや、誰もいないけど。
そんな痛い想像をしているうちに、その声はだんだんと近づいてくる。
…近づいて来てんの?
ヤバくね?
ふと見ると、さっき眠気に駆られた木の下に、なにかが蠢いている。あ、ばっちり目合ったね今。
最初はそんな軽い気持ち____夢の中っていう認識が強かったからかもしれない____で見ていたのだが、そのうちに、そいつから目を離せられなくなる。
何も呪術とか、そんな類のもんじゃない。
純粋な驚きと、好奇心である。
そいつの身体は、真っ白だったからね。
…みじかっ。
誰かキャラ案とか下さいorz