トモシビノアメ
少年は本を読んでいた。
窓の外からは雨の音が、直に座った床や壁からはひんやりとした温度が伝わってくる。
曇り特有の重たい光が差し込んでいたが、本を読むにはそれだけで十分だった。
しばらくして、少年はじっと自分を見つめる少女の姿に気がついた。
「どうしたの?」
しかし少女は何も答えず、ただじっと彼を見つめ続けた。
その姿を見て少年は微笑み、彼女へ向けて手を広げた。
「おいで」
少女は少し微笑み、そして彼の胸へととびこんだ。
少年が頭を撫でると少女は気持ちよさそうに目を閉じた。
二人にとって一緒にいられる時間ほど楽しく、幸せで、心が安まる瞬間はなかった。
彼の温もりに包まれながら、彼女はゆっくりと、深い微睡の中へと落ちていった…
ふと目を覚ました少年は、彼女の遺した体温を感じながら
再び意識を手放した
初めましての人もそうじゃない人も、
こんにちは、灯@雨です。
最後まで読んでいただき誠にありがとうございます。
今回二作目を書かせていただきました。
この作品ですが、本来は連載小説になる予定でした。
しかし様々な事情により短編での発表という形になりました。
ですので何かの拍子に他の話も短編として投稿するやもしれません。
その際は新作(?)を読んでいただけると幸いに思います。
…さて、この作品ですが
読む人やその時の気分、場所、天候などによって見え方が大きく変わってくる作品になっているのではないかと思います。
その様はまるでカメレオンのようで…
というのは前作の後書きで既に話しましたね。(笑)
今回はそのカメレオンの部分を生かせる作品にしたいと思い、描きました。
皆さんの感性によって様々な色を見出していただけると嬉しく思います。
例によって長い後書きでしたが、最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。
それでは、またどこかで。