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39.侍従の気遣い



 廊下を早足で進み、まずは武官長の部屋へ向かう。

何人かの侍従や騎士の姿が見えるが、話ながら歩いていた。

朝議を終えた人々がこれから個々の仕事に移ると言うことで、皆忙しそうにしている。

王族がこの廊下を通ることはあまりないが、色々なところへの近道でもあると聞き、しっかり道を教えてもらった。


「確認するけど、三人とも、近衛と魔法騎士団の兼任お願いできるのかな?」


 二人からは(リッジとマーリク)、‘はい’といういい返事が返ってきたが、問題のヒースからは、返事がない。

立ち止まり、人がいない廊下の端による。


「副官の話も陛下の前だから断るのを遠慮してくれたのなら、それでかまわないよ。

これからも色々頼るだろうけど、護衛騎士としてできる範囲で応じてくれれば」


 先ほど受け入れてくれたと思ったのは勘違いだったのだろうか。

残念だが仕方ない。

ヒースが俺の護衛をやめたいというのなら、引き留めることを考えるけれど。

俺の異質な魔法を見ても護衛をやめると言い出さず、常識のないところもちゃんと補ってくれ、城の中で顔が利く。俺にとって、ヒースはもう手放したくない存在だ。


「副官のお話も、兼任のお話も、光栄だと思っております。

ですが、私の力では、難しいと思います。

それに、殿下の副官は、もっと爵位の高い方のご子息にお願いすべきです。

ルイス殿もそう思っています。

私は護衛騎士として、殿下をお守りすることだけに集中させていただければと思います」


 執務室から出ていたルイスは、ヒースを俺の副官にするという話に驚いていた。

他の二人も魔法騎士団と兼任させたいという話もできたらやめて欲しいらしい。

ルイス曰く、近衛ではない兵士を引き抜くのならかまわない、騎士団に入っていない貴族の子息ならもっといいらしい。


…俺は使えない集団を作るつもりはないのだが。


「近衛と魔法騎士団は、近衛の方が上にしておきたい?

血筋のいい、爵位の高い副官をつけて、より、俺の地位を上げようと思っている?

ありがたいけど、もっと高貴な人の中に適任がいなかったら、ヒースに頼んでもいい?」


 ルイスと二人で顔を見合わせていたが、ヒースは諦めたような顔で、できるだけ見つける努力をお願いしますと言った。


 忙しそうな人たちの間を抜けて、武官長の部屋にたどり着いた。

ここは侍従は少なく、騎士達が書類仕事もするようだ。

書類の束を運んでいる騎士が多かった。


「魔法騎士団団長、グレッグです。武官長殿に話があって参りました。

取り次ぎをお願いします」


 扉の前に立つ、門番のような男に言うと、男は騎士らしく綺麗な敬礼をしてくれた。


「申し訳ありません。武官長はただいま食事中です。

身なりを整えますので、少々お待ちいただけますか?」

「殿下ご自身で…」


 ルイスが抗議しようとするのを慌てて止めた。

騎士には外の景色でも見ていますねといい、ルイスを引っ張って窓際まで離れた。


「ルイス、さっきも似たようなことやったんじゃないだろうね?

俺の書類だから早くやれとか無理言わなかった?」


「陛下から、殿下の仕事をできる限り早く進めるよう私は命じられております」


 彼にとって陛下の命令は絶対。それはわかるんだが、もうちょっと考えてくれ。

これはさっき断られたのも本当に来客中で、たまたま席を外せないだけだった可能性がぐっと上がった。


「いいか、もし今扉が開いて、パンを口に突っ込んだまま武官長が出てきたら?

そっちの方が不敬じゃないのか?

鐘がいくつもなっても取り次いでくれないなら文句を言ってもいいと思うが、さっき、騎士は少々って言っていただろう?」


「ですが」


「署名拒否なら、もっとちゃんと意地悪してくる。

だいたい昨日まではちゃんとやってくれたんだから、今日からいきなり駄目って……。

なんかあったのか? 

拒否される理由に心当たりがあるからなのか?」


 ルイスの視線はさまよっている。

城の中で、あるいは俺のことで何かあったか?

問い詰めようとしたところで、お待たせしましたと声がかかった。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

切れ目がここにしか作れず、短いです。

すいません。


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