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述懐/依存性物質濫用人世転獄砂風“忌”譚

 私を厭い始めた瑠奈を引き摺り連れて、共に歩み続ける。

 出口の見えない暗い廻廊を歩き続けるに至った、その発端は、果たして何時なのかーー。


 薬を厭悪すらした私が、酷い頭痛を抑える為に鎮痛剤を嚥下して、薬は素晴らしいと身を以て経験し、今まで築き上げた私の認知が変貌した日だろうか?

 市販薬を買い漁り、苦痛の全てを薬で癒す試した日だろうか?


 いいや、違う。

 そこではない。


 非ステロイド性抗炎症薬など誰もが使う。

 そこが始まりなんて言い訳に過ぎない。


 鎮痛剤がゲートウェイドラッグだとほざく莫迦がいた。 

 だが、それは単なる自己辯護。

 その程度、今の私でもわかる。

 その莫迦が自ら認める。

 あれは、唯の詭弁に過ぎなかった……と。



 闇に染まる廻廊まで辿り着いた、その発端は?

 ーー快楽を求め、市販薬の過剰摂取を試した。それが、すべての始まり。


 人生が転落した、その原因は?

 ーー多幸を切望し、鎮咳剤の過剰摂取に依存したがゆえ。


 人生が崩壊し、地に堕ちた最大の事由は?

 ーー覚醒剤に手を染めたこと、それに他ならない。


 終わらぬ廻廊を歩き続けているのは、いったい、なぜ?

 ーー薬の魅力に惹かれ、抗えず、尚も渇望する己の咎。



 様々な市販薬を過剰に摂取し経験した。

 その中の鎮咳剤、その多幸感に感動した。

 鎮咳剤の依存が始まり、人生の終わりも始めた。

 乱用は、頻度も量も日毎に増した。

 やがて、やめようにもやめられなくなっていた。


 鎮咳剤から脱するため、違法薬物に救いを求めた。

 覚醒剤に手を染めて、鎮咳剤から脱せたことに歓喜した。

 代わりに覚醒剤に強く依存し、捕まるまで打つのをやめず。

 前科が付き、向精神薬の乱用が始まり、終わりに感じたのは錯覚で、実際は終わりなどなかった。

 ーー依存性薬物乱用人生転落砂風奇譚。


 瑠奈に断薬すると、幾度も約束した。

 そして、同じ数だけ約束を反故にした。

 そんな日々を過ごしている。


 何本あるのか問いたくなる程、瑠奈の堪忍袋の緒は何度も切れた。

 叱責される頻度は増すばかりで、喧嘩になる日も増えていく。


 瑠奈との仲に小さな亀裂が走り、日に日にそれは深くなる。

 私を厭う様な表情をするが、私はそれを錯と一蹴する。

 変わらぬ日々を過ごす。

 薬を濫用し堕落する、という変わらぬ日々を。


 出口の見えない廻廊を、瑠奈と共に歩き続ける。


 此処から出られる日は、来るのだろうか?

 この腐った意思を変えたい、そう思う日は来ないのかもしれない。

 しかし、諦める気にもなれない。




 人世が転獄し、堕ちた場所は、終わりの見えない暗い廻廊。

 果たして此処は、地獄か、煉獄か。

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