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オズワルドの隣にエルザが居るようになったのは、あの中止になったお茶会からすぐの事だった。
あ~あ。
再びオズワルドの貼り付けた笑みを見ることになるなんてな。
まだマリアはオズワルドに能力を使ってないようだ。
使えばすぐに俺の耳に入る手筈になっているからな。
今の俺は他の者から見ればミラに愛想をつかされ距離を置かれているように見えるようで、女子生徒たちからここぞとばかりに声をかけられる事が多くなった。
手紙の悪戯からミラを見下していた生徒たちも王姪だと知ってから、あからさまに悪意を向けてくる者はいなくなったが、それでも妬みや嫉妬の視線は隠せないようだ。
その今までミラに嫉妬や妬みの視線を向けていた女達だ。
当然俺が相手にすることは無いが・・・
それよりも・・・男子生徒達だ。
チラチラとミラに視線を送るヤツがあちこちにいる。
お前らな~ついこの間までのミラに向けていた視線と大違いじゃないか!
ここに入学した頃はミラの女神の様な美しさと、控え目で儚い見た目に何人もの男たちが熱い視線を向けていた。
手紙の悪戯があった時もミラに同情していたが、結局はミラを妬んで噂を流した令嬢たちの方を信じた。
その結果があの事件だ。
こんな意思の弱い奴らならマリアに能力を使われたら・・・処罰を受けた奴らと同じことを繰り返すんじゃないのか?
特に今はセナが付いているとはいえ俺がミラの側に居られないだけに心配になる。
もちろん俺の目の届く範囲での行動に制限しているが・・・
「あの~デュー・・・ティタニア様」
はぁ~
振り向かなくても分かるマリアだ。
俺はミラから目が離せないから忙しいんだよ!
「・・・」
「お、お願いが・・・」
「知らん」
そのまま去ろうとした俺の手を握ってきた。
一瞬でぞわりと鳥肌が立つ。
振り払おうとする前に『わたくしとお話しましょう?』と能力を俺に使ってきた。
・・・ふ~ん。
オズワルドの前に直接俺にきたか。
じゃあ振り向いてやるか。
「・・・俺には婚約者がいる。今は仲違いしているが不貞を犯すワケにはいかない。2人きりで会うのは避けたい」
さあ、どうする?
「うふふふ・・・」
気持ち悪る!
お前の考えが透けて見えるわ!
「そうですわね~でしたらオズワルド殿下にもご一緒してもらいますわ」
「オズワルドは王子だぞ?」
「ええ知っておりますわ」
「・・・たかが伯爵令嬢のお前がオズワルドを?」
「ええ、ですがオズワルド殿下もわたくしのお願いなら聞いてくれますわよ?」
「お願い?」
「うふふふ・・・日時が決まりましたらご連絡致しますわね」
何がおかしいのかそう言ってニヤリと気持ち悪い笑顔?を見せて、さらに俺の手を強く握り締めてから去って行った・・・
手、手が・・・危なかった。
拒絶反応か手が震えた。
よく我慢した俺。
危うく手を挙げるところだった。
うん?
ミラそんな心配そうな顔をしなくても大丈夫だぞ?
手は後でちゃんと消毒するからな。
だがコレで確実にマリアを仕留められる。
あとはオズワルドが上手くマリアの誘いに乗ってもらえば終わりだ。
今頃は上手く俺を手に入れた気になってほくそ笑んでいるんだろうな。
さて、帰ったら報告と作戦会議
~マリア・フィガロ伯爵令嬢視点~
やった!やった!やった!ついにやったわ!
ミラがわたくしの命令でデューク様から離れたのを暫く様子を見ていた。
実際あれからミラがデューク様と一緒に居ることは無い。
ただデューク様だけがミラを目で追っている。
それもムカつくけれど、それももう終わり。
彼はわたくしに夢中になる。
2年近くかかってやっとよ!
温かくて大きな手だったな~
あの手にミラは守られていたのね。
でも・・・これからはソレもわたくしの物になる。
次は蕩けるような甘い言葉をお願いしようかしら?
それとも引き締まった体で抱きしめてもらう?
前世では誰とも付き合えなかった。
キスだって知らない。
もちろんその先だって未経験。
それが転生した先で理想の男に出会え、愛し合えるなんて・・・最高だわ!
それに・・・ふふふっ元平民のわたくしが公爵夫人になるのね。
だってデューク様は次期公爵様だもの!
最高級のドレスや宝石を身に着け、贅沢な暮らしを手に入れられる。
そして、隣にはデューク様。
子供は嫌いだけど、デューク様が欲しいと言うのなら産んであげてもいいかな。
ああ、その前にオズワルド殿下を傀儡にしないとね。
こんな時にしか役に立たないエルザを使うか~
たとえ出来の悪いエルザでも、オズワルド殿下のお気に入りだものね。
本当、この能力は万能だわ!
わたくしの幸せまであと少し・・・。
この世界に転生させてくれた神様ありがとう!!




