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暴力的で残酷な描写があります。
苦手な方は読み飛ばしてください。
~ミラ視点~
ああああああああぁぁぁ
夢じゃない!
あれは夢なんかじゃない!
わ、私は・・・死んだ・・はず。
自分で刺した胸の痛みも覚えている。
そう、騎士だと思っていた男たちに強姦されそうになって・・・自分で自死を選んだ。
ずっと生きている事が辛かった。
何で生きているのかも分からなかった。
私はすべての人から嫌われていた。
誰かに何か嫌がらせをした覚えはない。
誰とも会話もしていない。
それなのに、そこに存在しているだけで嫌われ、嘲笑われ、虐げられ、侮辱されてきた。
初めは・・・お父様が後妻を迎えてからだったと思う。
お母様は私が5歳の時に亡くなった。
それまではお父様もお母様の前では私を可愛がってくれた。
お母様が亡くなったと同時に私の存在もお父様の中で亡くなった。
話し掛けても、返事どころか私の声すら聞こえていないようで、目も合わせてもらえなくなった・・・。
寂しくて、悲しくて、毎日泣いていたと思う。
そんな私に唯一会いに来てくれるのは、リュークと伯父様と伯母様家族・・・だけ。
優しい伯父様と伯母様に心配をかけたくなくて、いつも笑顔で迎えた。
そして、リューク・・・私の大好きな幼馴染み。
少し乱暴なのに、いつも私の手を引いて歩いてくれた。
笑顔で迎えても『また泣いてたのか?』とギュッと抱きしめてくれた。
リューク達に会っている時間だけが寂しさを忘れられた。
でも、私が6歳の時に義母とその連れ子のエルザという義妹が来てから会えなくなった。
『リュークに会いたい』とお父様にお願いしても私の声は聞こえていない。
それを見てほくそ笑む義母とエルザ。
朝食と夕食は家族で取っていたのに、それもいつの間にか一人で取るようになった。
執事も使用人も世話だけはしてくれたけれど無言、無表情で話し掛けても無視されるようになった。
邸に私を気にかけてくれていた使用人たちは、一人、二人といなくなり、気付いた時には誰も居なくなっていた。
その頃に、私は部屋から追い出され邸の裏にある小屋に押し込まれた。
ベッドもない、机とタンスだけの小さな小屋が私の部屋になった。
当然食事も小屋で食べるようになった。
段々と質素になっていった食事。
日によっては一食の時もあった。
6歳から付けられた家庭教師は厳しい人で、答えられなかったり、上手く出来ないと手をあげる人だった。
家庭教師が来る日だけは邸の中に入れた。
ある日、その家庭教師に叩かれているのを黙って見ている義母と目が合った。
助けてくれると思った・・・。
『叩くなら目立たないところにしなさい』
『叩き方が甘いのよ。・・・こうするのよ!』
家庭教師に叩かれた時も十分痛かったのに、義母の手は私が椅子から転げ落ちるほどの威力だった。
怖くて、震えが止まらなくて、涙が止まらなかった。
『ああ面白い!スッキリしたわ!』
その日から日常的に暴力を振るわれるようになった。
私が泣くと義母を喜ばせると分かってからは泣くのを我慢するようになった。
一度お父様に訴えた事がある。
でも無駄だった・・・
お父様には私が見えていないと、この時に期待するのをやめた。
『執務室で旦那様がお呼びです』
ある日、執事がそう言って私の小屋を訪れた。
やっとお父様とお話ができる!
この生活が少しでも改善してくれるかもしれない!
期待して執務室に向かうと・・・
義母とエルザが私を憎々しげに睨んでいた。
お父様は私の顔も見ずに『オズワルド殿下の婚約者にお前が選ばれた』ただ、それだけを言って執事に犬か猫でも追い払うよう手を振って私を執務室から追い出すよう指示を出した。
『待って!お父様待って下さい!』
私はリュークのお嫁さんになりたいの!
『お父様!嫌です!私はリュークが好きなんです』
私の訴えなど聞いてもくれない、そんなの分かっていたけれど、執事に引き摺られながらも叫び続けた。
でも無駄だった・・・。
私の声は誰にも聞こえていなかった。
6歳からリューク達には一度も会えないまま学院に入学した。
その間、邸から一歩も外には出してもらえなかった。
私はそこでリュークとオズ兄様に助けを求めるつもりだった。
従兄弟だもの助けてくれると信じて。
でも・・・そこにリュークはいなかった。
そしてオズ兄様は私と会話をするどころか一方的に怒鳴るか、無理されるか・・・
いつの間にか私はオズ兄様にまで嫌われていた。




