1.僕がこの街にきた
帝国歴2178年、11月25日、1人の男の子がアルシュタイン帝国に降り立ったのだ。
後にこの国に大きな風となり、羽ばたくのである。
「さあて、軍に志願するにはどこに行けばいいんだろう....」
空港の出入り口にてそう呟く1人の男の子櫻羽ラン(さくらば らん)である。
「僕、何も持たずに来たからお金ないんだよねぇ」
荷物の中にある僅かな金額を確かめながら空を見上げる。この国ではなかなか見られない戦闘機が空を舞っていた。
ブォォォォォ........
南の空から北へ流れていく戦闘機は、空を支配していた。そう思えるぐらい格好良くランの目には映っていた。
「僕もあんな風に飛べるかな。飛べるといいな」
ちょうど、空港に出たすぐの柱には軍の募集案内のポスターが貼られていた。
ポスターには、「学歴、年齢不問!気合いと努力でなんとかなります!お金が欲しい人はぜひ入隊を!」と書いてある。
「うわあ、これ僕にピッタリの募集じゃん!お金ないからすぐに入りたいけどどこに行けばいいんだろぅ...」
持っていた地図を開いて、とりあえず役所を目指すことにする。役所には、何か知ってる人がいるだろうという適当な考えだ。役所まで5kmもあるので空港から歩いて行くには時間がかかるがランは体力には自身があるので走ることにする。すると、
ドンッ
「いててっ、ってなんだぁ」
ランは、地図を見すぎて人にぶつかった。
その男は、オレンジ色のジャージにサンダル、ボサボサの黒髪に黒眼鏡、サンダルといった派手なのかダサいのか分からないような格好をしていた。
「あっ、ぶつかっちゃってごめーんなさーい。」
「なんだその謝り方はー。子供だからっておじさん容赦しないぞー。ったく、今日はカジノで負けて気分が悪いのになんでこんなについてないんだー」
「この人なんか可哀想な人だ...」
「おい、心の声が丸聞こえだ。今時の子供は年上を労われないのかあー。それに、おまえなんだその格好は」
と、黒いワイシャツに白のラインが入った短パンレインボーのリュックにレインボーの靴のランの格好を見て笑う。
「む、そんなダサい格好のおじさんには言われたくないなあ。」
おじさんを指さすラン。
「なんだと?!お前には言われたくないし、さっきから聞いてれば俺はおじさんじゃなーい!俺は、高遠桃26歳だー!」
「えっっそうなの?それは大変だ。僕には本当におじさんに見えたよ。」
「そういう、お前は何歳なんだ?」
「僕?僕は、櫻羽ラン。15歳だよ。」
「15?!なんだ本当に子供じゃねえか。
っていうか、子供が1人でうろつくと危ないぞ。
なにしてたんだ?」
「もうっ!さっきから質問ばっかりだなあ。そんなに暇なの?なら僕を役所まで送って欲しいなあ」
キラッキラな上目遣いで高遠を見るラン。
「うっ、なんだこの眼差しは、」
「でも子供を置いてくのは俺の流儀が...
仕方がない、送って行くっても俺原付しかないけど大丈夫かー?」
「わーい!ありがとう高遠おじさん!」
「だから、おじさんって言うなーーー!!」
高遠は、納得のいっていない表情でランを原付に乗せ役所まで向かったのだ。




