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聖女召喚!……って俺、男〜しかも兵士なんだけど……??  作者: バナナ男さん
半年後の話

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57 お前の方が

( 大樹 )



「 ────えっ……? 」



レオンハルトはキョトンとした顔をした後、みるみる内に顔は真っ赤っ赤に染まっていき、そのまま下を向いてしまった。



だから、要はレオンハルトだって分かっていて体を預けちゃったって事。


本気で嫌なら……まぁ、少なくとも即座に首と胴体はさようならしていると思うんだがな。



全く……とため息をつくと、ゴースト・ベアは、このままでは無理だと悟ったのか、突然口を放し、俺に向かって思い切りパンチを繰り出してきたが、それもなんなく受け止めるとその手をグシャッと握りつぶす。



「 グ……グオォぉぉぉぉ────!!!! 」



ゴースト・ベアは潰された拳の痛みに咆哮を上げたが、俺はそのままそいつの片足を払い体のバランスを崩してやった。


すると、そのままゆっくりと後ろに倒れていったが、俺は更に間合いを詰めて高く見上げるような位置にあった頭の落下地点へと立つ。



「 俺を相手にするにはちょっと弱すぎたな。


まぁ、お前も弱いヤツ、喰ってきたんだからお互い様な? 」



そう言った後、目の前まで迫ってきたそいつの頭を蹴り飛ばし、首だけポーーンと遠くに飛ばしてやった。



ブシャ────────……。



勢いよくちぎれた首からは血が吹き出し、周囲は赤く汚れてしまう。


そしてドス────ン!!と力なく倒れてしまったゴースト・ベアの体を見下ろした後、こちらを見つめているレオンハルトの目をまっすぐ見ながら、俺はゆっくりと近づいていった。



「 お前こそさ〜すげぇ〜不幸じゃん。


こ〜んな強くて怖い、モンスターより化け物に近い俺と一緒にいたがるヤツなんて普通いないと思うけど? 」



レオンハルトの前にピタリと止まり、俺は人差し指でレオンハルトの心臓辺りをスッ……と指さした。



「 その気になれば一瞬で殺せるんだ。


────ほら、怖いだろ────……。 」



……う?と、言葉を言い終わる前にレオンハルトに抱きつかれ、更にそのまま地面に押し倒されてしまう。



????……あれ??



脅して、最後の逃げるチャンスを与えてやろうとしていたのに、何故押し倒されてしまったのか??


本気で分からず、上をフッと見上げると、嬉しさを抑える事ができない!と言わんばかりに非常に興奮したレオンハルトの顔が近くにあった。



「 ねぇ、本当に?本当にあの時、大事な女の姿、見えてなかったの? 」



「 ……えっ?……いや、最初は見えて──── 」



「 最初だけ?最初ってどこまで?キスする前?後?


それともやっている時まで?? 」



早口で尋ねてくる姿がちょっと怖くて、恐る恐る「 キ、キスするまで……。 」と正直に答えると、そのままキスされ容赦なく口の中を舐め回される。


それが苦しくて顔を背けようとしても、大きな体全体で覆いかぶさってくるので下手に動けず、仕方なく合間合間に小さく息を吸い、ハァハァ……と荒い息を繰り返し吐き出した。



「 ……はぁ……はぁ……。


ちょっ……ちょっと……待って……く……。 」



「 はぁ……だ……大樹様っ……!大樹様っ……!!


大樹様は……俺の事が好き……だから俺に……ハ、ハハッ!……はぁ……はぁ……。 」



狂った様に笑いながらキスしてくるレオンハルトは、ちょっと普通ではない感じで、意識が朦朧としてきたその時、《 聖零華 》が一斉に咲き出した。



淡い白い光を宙に出しながら、ポンッ!という音を立てて咲いていく花達。



それは夜なのに昼に感じてしまうほど美しく明るい光で、それが大量に輝く様はまるで満天の星空にいるかの様にとても幻想的な景色だった。



────が……。



それをゆっくり眺める暇もなく、俺の体を被っていた黒いマントが破かれ、無惨にもビリビリになっていったその布達を視界の端に写しながら……。



まぁ……とりあえず大好きな人の嬉しそうな姿しか見えなくなっちゃったよね。うん。



綺麗な綺麗な《 聖零華 》の咲き乱れる風景……来年はゆっくり見れるといいなって感じ?



とりあえず俺はレオンハルトが落ち着くまで体を預け、その後は散らばった俺の服をレオンハルトに集めさせてキラキラ光り輝く花たちの中、全裸でゴソゴソと服を着る羽目に。



何やってんだろう……俺ぇ……。



非常に嬉しそうにペタペタとくっつき、隙あらばまた服を脱がそうとしてくるレオンハルトを必死で止めながら、破けたマントを拾い集めて ” もうこれは使えない ” と悟る。


仕方ないので見事に咲いた《 聖零華 》を持ったまま、顔が剥き出しの元王子様をポカンと見つめてくる街の人たちの前を通り抜け、一応無事に王宮へと帰っていった。



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