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聖女召喚!……って俺、男〜しかも兵士なんだけど……??  作者: バナナ男さん
半年後の話

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49 その後お話

( 大樹 )


「 へぇ〜。年始にしか咲かない花、ねぇ? 」



流石は王宮、キンキラキンの宝石をあしらった見事なデザインの家具が置かれている王のプライベートルーム。


その部屋の中のフカフカ二人掛けソファーにドドンと足を組んで座っている俺。


そしてテーブルを挟んだ前のソファーには、ニッコリ笑顔のニコラが座っている。



「 えぇ、実は聖女様にその花を採ってきて頂きたいのです。


比較的強いモンスターがおりますので、どうかそのお力を貸して頂きたく……。 」



「 別にいいけど……その花は何なんだ?


何でその花が欲しいんだよ〜? 」



そう尋ねると、ニコラはいつも通りの食えない笑顔でニコニコと笑った。




俺がこちらの世界に戻ってきて早半年。


その間、色々とあったが、まぁ……上手くはやっていると思う。


そしてやっと落ち着いてきたかな〜?と思っていた、今日この頃にニコラからこんな頼まれごとをされたという所だ。



レオンハルトから呼び戻された直後、ごちゃこちゃと語り合った俺たちは、あの様変わりした研修室でそのままお互いの存在を確かめる様に長いこと抱き合っていた。


そしてそろそろこれからの事を話し合おうとした、その時────レオンハルトの手付きが次第にイヤラシイものへと変わっていく。



流石にここでは……。



そう思った俺がさりげな〜く身体を離そうとしたのだが、レオンハルトはグイグイと近づいてきてそのまま押し倒されてしまうと、すっかりやる気満々な下をくっつけられて思わず脱力。



しかし俺を見下ろす顔は必死に涙を堪えていたもので、何ていうか……その……



可愛いなと思っちゃったんだよねぇ〜。



何かそういう姿を見ちゃうと、 ” ま、いっか。 ” って思っちゃったんだよ。


男なんて単純だから、惚れたヤツがしたいことを叶えてあげて喜んでくれるなら、もう何でもあげようって、力を抜くと、そりゃあ、もう────




後悔したよね。


うん。




ガッツンガッツン!!


ぐっちゃぐちゃ……。




誰だよ、男は年取ると性欲が減退するなんて言ったヤツ〜。


真逆じゃねぇか!────ってね!



そして意識が朦朧としている中、突然遠くで扉が開く音がして、フッ……と視線を向けると、ニッコリ笑顔で固まっているニコラと、スンッ!と表情を失う後ろの騎士たちと元から表情がないアルベルトの姿が……。



まさに地獄!



ド修羅場。




おっさん同士のおにゃんにゃんな姿を見られて、俺は一瞬で覚醒!


呂律が回らない口を必死に動かしレオンハルトに緊急事態を伝える。



「 レ……あれ……て……。 」( レオンハルトさん、あれ、見て。 )



ブルブル震える口で必死に訴えたのだが、どうやら全く通じなかったらしい。



「 ……っ!!そんな ” アレして……♡ ” なんて可愛いおねだりしてっ……!! 


もうっ!!貴方って人は本当に仕方ない人ですね!! 」



────って言われてしまい、更に動きは激しく……。




…………。




仕方ないのはお前だ!




そんな叫び声は届く事なく、ソッ……と無言で閉じられた扉を遠くで見ながら、気がつけばどこぞやの豪華ベッドに寝かされていて、思わずシクシクと泣いてしまった。


気が済むまで泣いて少し経つとタイミングよく部屋に入ってきた、大人の男に様変わりしたNEWニコラから、俺が消えてからの10年の事を聞く。


ちなみにレオンハルトはどこに??と思って尋ねれば、今アルベルトが必死に止めているという。



剣で。



結構バイオレンスだなと心配していると、ニコラ曰く、この10年間はよく見る風景だったそうで心配は一切いらないとの事だ。



この時点で何があったのかと戦々恐々としちゃったよね。



ニコラから聞かされる話をそのまま恐る恐る聞いていたのだが、まず病に伏せていた王が、俺が消えて少し経った頃とうとう亡くなったのだとか。


その最後の時に呼ばれたのは、生きる屍と化していたレオンハルトとニコラであったそう。



「 いや生きる屍ってそんな大袈裟な……。 」



「 そうですか?────では、生きるゾンビか死体ですね。


誰か様が居なくなってから、体重も落ちて痩せ細ってましたから皮付きのスケルトンでもいいかも知れません。 」



ふふっ!と楽しそうに笑うニコラに、ゾッとしながら話の続きを大人しく聞いていると、王はまずレオンハルトに向かって「 すまない。 」と弱々しく言ったのだそうだ。



そして今まで行われて来た、レオンハルトに対する正妃やその賛同者達の非道な行いの数々を謝り、更に心からレオンハルトの母親を愛していた事を伝えた。



王として国の為に有益な女性を正妃に迎えるのは義務。


そして、沢山の側妃を置く事も王家の血を絶やさぬ為には避けられない事。


それを覚悟していたが、たった一人のその側妃、レオンハルトの母親を本気で愛してしまったと。


それをツラツラと語り、王はフッと笑いを漏らす。



「 私は王としての才能と実力はあったと自負しているが…… ” 愛 ” に関しては多く持てる才能はなかったらしい。 」



冗談めかしてそう言う王はまるで少年の様だったとニコラは笑って言う。



そしてその後は、正妃、つまりニコラの母親についてだ。


お互いの務めを理解し共に歩めれば良かったが、正妃は全てを手に入れなければ気がすまぬ気質を持っていた。


地位も名誉も権力も、愛も全て。


だからーー自分から王の愛を取ろうとするレオンハルトの母親が許せなかったのだそうだ。


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