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聖女召喚!……って俺、男〜しかも兵士なんだけど……??  作者: バナナ男さん
番外編

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48 人生色々

( 侍女たちの会話 )


「 舞台の裏。 」


「 庭のガーデンベンチ。 」


「 噴水の横。 」



侍女たち三人が集まってボソボソとおしゃべりに花を咲かせているのは、男の聖女様が住んでいる離宮の休憩室。


交代で休憩をとっていた彼女たちの会話はもっぱらコレで、そのまま三人の侍女たちは話を続けた。



「 しかもそこで三回はしてたわ。 」


「 えええ〜……だってその後自室のベッドでも結構長い時間してたわよね? 」


「 いや〜……凄すぎるわ……。


殿下もそれに付き合う聖女様も……。 」



そんなシモネタを言い合い、はぁ〜……と揃って大きなため息を吐き出す。



ユニークモンスター討伐後、王宮にその知らせが届いた時には、誰もが喜び、歓声を上げた。


ユニークモンスターは国滅亡の危機、大厄災と言われているため『 始祖の女王 』が現れ、騎士団が大敗して戻ってきた時には生きた心地はしなかったが、レオンハルト殿下は冷静に次々と行動を始める。



そこで行われたのが《 聖女召喚 》



それに誰もが期待したが、何と召喚されたのは男。


しかもかなり粗暴で乱暴な男だとか……。



その話を初めて聞いた時は、この国はおしまいだと思った────が!



何とその聖女様は歴代最速で、しかもあっさりと『 始祖の女王 』を倒してしまったのだ!


これには王宮中がビックリして、聖女様に対し大激怒していたザイラス様以外の人間は聖女様に感謝を捧げた。



しかし……



「 ……一体何が刺さったのかしらね〜?正直外見的には極一般的な男性ですもの。


儚げな美少年や世にも美しい女性顔負けの男性!……だったら分かるのですけど。 」



「 さぁ?レオンハルト殿下の性的趣向は男性ではなかったはずなので、奇跡としか…… 」



「 いえいえ、もしかして今まで極上の美女にも誘惑されなかったのは、ああいった素朴な男性がタイプだったのかもしれませんわよ。 」



三人は同時にう〜ん……と考え込んだが、何となくピンッとこない。


ただ一つ分かっている事は……多分自分たちが側妃に選ばれる事はなさそうだと言う事。



「 なんにせよ、恐らくあれでは私達が端の端のそのまた端であろうとも側妃に選ばれる事はなさそうね。 」



「 そうね〜。あんなに必死な殿下、初めてみたもの。


すごく冷静でクールな所も素敵だと思っていたのだけど、実はとても熱いお方だったのね。 」



「 あ〜ん、私、本当に殿下に憧れて今まですごく頑張ってきたのにぃぃ〜!悲しい!!


でも────…… 」



「「「 結局殿下が幸せなら、仕方ないかぁ〜。 」」」



三人同時にそう言うと、ドッと笑い合う。


そしてレオンハルトと専属騎士であるアルベルトが戦った剣の大会の決勝戦の時の話や、レオンハルトの今まで成し遂げてきた伝説の様なモノをキャッキャッと話し合い、ほぅ〜……とピンク色のため息をついた。


そしてテーブルの上に置かれている紅茶を飲んでまったりしていると、一人の侍女が「 そういえば・・ 」と突然話題を変える。



「 二ヶ月経った今って、割合的にはどれくらいになったのかしら?


最初の一週間は9割以上だったわよね。 」



「 う〜ん……。多分今は ” まだ諦めない派 ” が7割、私達の様な ” 諦めよう派 ” が2割。


それと ” 未知のときめき ” 派が一割くらいね。 」



「 まぁ、” 諦めない派 ” の気持ちも分かるのよね〜。


侍女に立候補した人達は全員レオンハルト殿下に強く憧れて来ているものね。


その中でも身分の高い方ほど幼い頃から努力なさってきているし……それを横からあっさり取られてしまっては心の整理もつかないでしょう。


未知のときめき派は……正直全くの謎ね。


何でも殿下と聖女様が触れ合うのを見ると、心臓が激しく動機を起こすそうよ。 」



三人は揃って首を傾けたが結局は考えても分からなかったため、それはポンッと頭の外へ追い出した。



「 ” 諦めない派 ” の代表と言えば、やはりイリス様かしら?


あの方は昔から殿下を想ってらしたから……。 」



「 そうねぇ……。殿下が聖女様を追いかける度に凄い目で睨みつけているものね。


ご身分も私達侍女の中ではダントツだし、外見の美しさも知性もマナーも常に負け知らずですから。


それはそれは、あの正反対ともいえる聖女様が選ばれては気に入らないでしょうね。 」



「 ” 人の心 ” に関しては、努力が必ず身を結ぶとは限りませんからね。


こればっかりは仕方ありませんわ。


諦め時を間違えると女の花咲く時期を過ぎてしまいますから、私はスッパリ諦めて週末から実家に届いたお見合いを端から受けていくつもりですの。 」



グッ!と拳を握り、ゴッ!と燃える侍女に触発されて、残りの2人の侍女もゴゴゴッ!!と燃え上がる。



「 まぁ、貴方もだったのね。


私も来週からギッシリお見合いの予定を入れましたのよ。


なんて言っても王宮侍女を務めたとあれば、お見合い相手も選び放題。


未だに殿下に夢中な強敵達を出し抜く最高のチャンスですわ! 」



「 フフフ……。しかもこのまま結婚、子供が出来て退職しても転職先も選び放題ですもの。


やはり覚悟あってココに来ましたが、別にとびきりの美形や身分がある方でなくても、優しくて自分だけを見て下さるたった一人に愛されるのが、結局は一番幸せなのかもしれませんね。


側妃になった途端に女同士の戦いに一生身を投じなければなりませんもの。 」



「 そうなのよね〜。

                     ・・

殿下に一時でも愛さるなら耐えられますけど、アレではね……。 」



突然外から聞こえてきた男の人の耐える様な吐息と必死に抑えた喘ぎ声、ボソボソと嬉しそうに愛を囁く声に、はぁ〜……と大きなため息を一斉に吐き出した侍女たち。



そして「「「 今日は休憩所近くの茂みか……。 」」」と同時にポツリと呟き、延長しそうな休憩に喜びながら、三人はゆったりとお茶を飲み続けた。



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