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聖女召喚!……って俺、男〜しかも兵士なんだけど……??  作者: バナナ男さん
本編

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41/65

41 最後の言葉

( 大樹 )


「 どけぇぇ────────!!! 」



俺が叫びながら間一髪、その間に割って入ると、振り下ろされる巨大なクリーチャーの腕を両手で受け止める・・────が!



────ミシミシミシ……っ!!!



低ランクモンスター如きでは到底出せない強大な力に、徐々にその腕は俺の顔に近づいてくる。



こいつは紛れもない!


クリーチャーに完全に変化している!!



「 ぐ……ぐぐ……。 」



その圧倒的な力に思わずうめき声を上げながらなんとか耐えていると、やっと目の前にクリーチャーと俺がいる事に気づいたらしく、レオンハルトとアルベルト、魔法騎士団員達の息を飲む声が背後から聞こえた。



クリーチャーと同じ構造なはずだ。


元はモンスターと呼ばれる生物が『 始祖の女王 』を元にした装置で変化したものだったんだから。



納得しながら、受け止めきれない重い攻撃を横に弾いてやると、そのまま恐ろしいスピードで連続攻撃してくるクリーチャー化したモンスターの攻撃を全ていなす。


すると驚いた様子のレオンハルトが必死の形相で「 大樹様!! 」と叫ぶ姿が視界の端に写り、更にアルベルトや周りの魔法騎士達が一斉に加勢しようと近づいて来ようとしたが────



「 駄目だっ!!下がれっ!!! 」



怒鳴りつける様にそう言うと、全員がピタリと動きを止める。



クリーチャーには新型人類の俺しか相手できない。


それは目の前で繰り広げられる俺たちの戦いで全員が理解した様で、それ以上手を出さずに邪魔にならない距離まで下がった。


それを確認しながら、次にザイラスは────っと視線を一瞬で回し探すと、何と腰を抜かした様で、あばばばば・・と呟きながら魔法騎士団に引きづられ同じく後ろに下げられている。



ザイラスぅぅ〜……。



全く役に立ちそうにないザイラスはとりあえず放っておいて、俺はなんとか攻撃を躱しながら、隙をつきクリーチャー化したモンスターを羽交い締めに。


そうして動きを止めると、剣を構えたままのレオンハルトに向かって叫んだ。



「 その赤い玉を破壊しろ!!


多分ここが最悪な未来への分岐点だ。


それを使えばここは俺のいた世界と同じになっちまうぞ!! 」



「 ど……どういう事ですか……? 」



訳が分からないといった様子のレオンハルトに俺はニヤッと笑って見せた。



「 ここは異世界なんかじゃない。過去の世界だったんだ。


それを使ったから、この国どころか世界中の人類はほとんど死んじまったんだよ。 」



咆哮を上げながら凄まじい勢いで暴れるクリーチャー化したモンスターを見て、全員の顔色が更に青くなる。



「 まさか……大樹様の世界を地獄に変えたのは…… 」



「 あぁ、こいつらだ。


その赤い玉コロはモンスターを殺す装置じゃなくて、根本から構造を変えてパワーアップさせちまうもんだったらしいな。 」



羽交い締めしていたそいつは、腕をがむしゃらに回し俺の拘束を解くと「 ガァァァァ────!!!!! 」と叫び、そのまま周りにいる奴らに攻撃しようとしたが────


俺はそいつの足を蹴り上げ転倒させると、そのままもう一度羽交い締めにした。



恐怖で引きつり棒立ちしている魔法騎士団員達の中、レオンハルトは即座に「 アルベルトっ!!! 」と叫ぶ。



するとアルベルトが即座に動いた。



大きく振りかぶり赤い玉を剣で叩き切ると、まるで血のような液体がその中から溢れだし部屋全体を赤く染める。



それを見てホッ……とした俺はレオンハルトに向かって言った。



「 じゃあ、俺帰るわ。


こいつは一緒に持っていく。


あっちの世界の方が仲間達もいるから倒しやすいからさ。


クソみたいに頑丈だから倒すのに時間は掛かるが、この程度なら問題なく倒せる。 」



「 な、何を言っているのですか……? 」



顔を歪ませ俺に駆け寄ろうとするレオンハルトをアルベルトが後ろから羽交い締めにして止める。


それを見てニコッと笑った俺は最後にレオンハルトに言ってやった。




「 夢が叶って良かったな。


お前の復讐、俺はやっぱり優しいと思うぜ。


じゃあな! 」




お別れを口にして直ぐに俺は聖女の召喚で使っていた魔法を作動させた。


俺を中心に展開していく魔法陣が俺とクリーチャー化したモンスターを包みこんでいく。



「 大樹様────!!!! 」



レオンハルトはアルベルトの拘束を振り解き手を伸ばしてきたが、それより先に俺の体は消えてしまったため……












「 ────っ行かないで……。 」




最後に俺に向かって言ったレオンハルトの小さな声は、俺の耳には聞こえなかった。




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