↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】聖女召喚!……って俺、男〜しかも兵士なんだけど……??  作者: バナナ男さん
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/65

22 聖女の遺産

(レオンハルトサイド)


ザイラスはキョロキョロと周りを見渡し人がいない事を確認すると、早速娼婦達にボソボソと小さい声で尋ねる。


「どうだ?落とせたか?」


「それが……。」


娼婦達は困った様に笑い、大樹の様子について話す。


「最初から『心に決めた女性がいるから』って言われてしまいまして……。」


「アレは落とせませんね……。

稀にいるんですよ、ああいう絶対に落ちないタイプの男。

申し訳ありませんが、お力になれそうにありません。」


深々と頭を下げる女達に、ザイラスはグシャッ!!と紙を丸めた様な苦々しい顔で唇を噛みしめた。


女で落とす作戦は失敗。

性的アピールで落とすのは、とにかく『難しい』とのこと。


それに憤慨したザイラスは、怒りに震えながら娼婦達に約束の金を握らせ帰らせると、そのままドカンッ!!と大爆発する。


「────くっ!!冴えない男のくせに、なんと傲慢な男だっ!!」


「……傲慢ではないと思いますが……。」


怒り狂って地団駄踏むザイラスをなだめる様に、両手を軽く上下に振りながらアルベルトがそう言うと、ギンッ!!と目を釣り上げたザイラスがアルベルトを睨みつけた。


「何を言うかぁぁぁ────────!!!!な〜にが『心に決めた女がいる』だ!!

どうせ大した女でもないだろうに、他の女に手も出せぬとは情けない中年男めっ!!

位が高い男ほど、多くの女性を愛するのは当たり前の事!

そうですよね!?殿下!!」


ザイラスが勢いよくレオンハルトの方を振り返ると、レオンハルトは壁に寄りかかり今にも倒れそうであった。


「……殿下……?」


「────!!?なっ、何だ!!」


ハッ!!と正気に戻ったらしいレオンハルトは、直ぐにシャキンっと立ったが、直ぐにフラッ……と足元が危うい状態に。

すかさずアルベルトが支えると、ザイラスはウオッホン!と咳払いをした。


「……どうやら殿下は討伐で随分お疲れのようですな。こうなったら致し方ありません。

『聖女の遺産』を使いましょう。」


「『聖女の遺産』……?」


聞き慣れない言葉にアルベルトが聞き返すと、ザイラスがニヤリと笑い、袖口から液体が入った小さな小瓶を取り出した。


「歴代のある聖女が力を失う前に作り上げた秘薬です。

その聖女は薬剤に対しての知識と技術が凄まじく、その時のユニークモンスターはその能力で倒したと言われています。」


「……待て。まさか即死する様なクスリを、大樹様に飲ませるつもりか……?」


レオンハルトが険悪な表情でしっかり立ち上がると、ザイラスは少々たじろぎながらも首を横に振る。


「いえいえ、即死するクスリではありません。

これは飲んだ者の事を、『対象の最も大事である存在であると認識させる』、いわば認識阻害薬なのです。

つまり適当な女にこのクスリを飲ませれば、あの蛮族聖女にその女を大事な存在だと思わせる事ができます。

あとは恋の奴隷となり、言う事を聞く人形となってくれる事でしょう!」


「大事な存在に……?」


あーはっはっ!!と高笑いしながらザイラスが、その小瓶をレオンハルトへ渡すと、レオンハルトは呆然としながらそれを見下ろした。


「『聖女の遺産』の事は知っていたが、まさかそんな効果があるものだとは知らなかったな……。」


レオンハルトは、ボンヤリとそれを見下ろしながら手で弄んでいると、ザイラスはヤレヤレ……とめんどくさそうにため息をつく。


「これから丁度良さそうな女性をピックアップしますので、決行は晩餐会の後にしましょう。

まだかなり時間がありますので、殿下はその時までお休み下さい。

では、殿下、その小瓶を……。」


ザイラスが『聖女の遺産』をレオンハルトから返してもらおうとしたが、レオンハルトはそれをギュッと握り、まるで隠す様に後手に回す。


「よい。これは私が預かる。」


「────は??殿下、何を……?」


ザイラズが訝しげな目でジト〜とレオンハルトを見つめたが、レオンハルトは輝く様な笑顔で言った。


「ザイラス、お前はこれから色々と討伐後の処理で忙しいだろう。

私は忠実なる臣下たるお前が心配なのだ。

だからこれは私が預かっておくから、安心して仕事せよ。」


「────!!で、殿下!!勿体ないお言葉でございます!」


ザイラスはソッ……とハンカチで目元を押さえた後、上機嫌で隣にいるアルベルトに話しかけた。


「アルベルト、お前は此度の討伐の経緯の説明と討伐した女王を研究室に運ぶ手伝いをせよ。頼んだぞ。」


「────はっ。」


ザイラスの命に返事をしたアルベルトは、レオンハルトの様子を気にしながらもザイラスと共に去っていった。

その場にポツン……と残されたレオンハルトは『聖女の遺産』を見下ろし続け、やがてボソッと呟く。


「大樹様の大事な存在になれる……。そうしたら……。」


気がつけばレオンハルトは戸惑いもなくそのクスリを飲み干し、小瓶を放り投げるとそのまま大股で大樹のいる部屋へと向かった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。