20 完了
思わず遠い目になってしまったが、とりあえず世界を脅かす存在である『始祖の女王』は倒した事だし、ちょっと美味しいモノでも食べて元の世界に帰ろうと考えた俺は、内心かなり喜んでいる様子のレオンハルトに話しかける。
「じゃあ、これで俺の役目はおしまいだな。これから頑張れよ、未来の王様。」
そのまま目を見開くレオンハルトの肩をポンポンッと軽く叩き、その場を去ろうとしたのだが、ザイラスが捨て身のタックルを俺にかまし更にスッポンの様にひっついてきたため足を止めた。
「────うわっ!!何だよ!離れろよ!」
「何を何を〜大樹様!そんなに急いでどこへ行かれるおつもりですか?!
何か必要でしたらすぐにでも侍女達に用意させるので、何でも仰って下さいませ〜。
金ですか?金ですか?金ですね??絶対好きでしょう?!見るからになさそうですし!
あ〜、もしかしてお腹が空きましたかな?!栄養が足りてなさそうな貧相な体ですしね!」
「…………。」
ニタニタニタ〜!!と胡散臭さしかない笑みを浮かべたザイラスは、まるで猿の赤子の様に俺にひっつき、周りで汗を掻きながら見ている侍女たちに向かって叫ぶ。
「誰か!!ほらっ、聖女様が普段見ることも叶わぬ様な高価な品を何でもいいから持って来い!
そこら辺に落ちているモノでも大丈夫だ!」
「…………。」
いや、さっきから微妙に嫌味混ざってない??
そう思えなくもない事を言うザイラスに汗を掻きながら、そのダルンダルンの脂肪たっぷりのほっぺをムニニ〜!と押して何とか引き剥がそうとする。
「いや、ちょっと美味しそうなモノを食べてから、あっちの世界に帰るよ。
今は戦況は落ち着いているが、少し先に大きな戦いもあるし……。」
「はぁ!!?帰るってどういう事でしょうか??!
聖女召喚は、この国屈しの魔法騎士団の実力がなければ使う事はできませんが……?」
「あ〜……俺、実はできそうなんだよねぇ〜。
だから帰りは勝手に帰るから大丈夫だって、その魔法騎士団員達に伝えてくれる?」
「は……はぁぁぁぁ────???!!」
ブフフ────ッ!!とむにむにほっぺの丁度真ん中、小さく開いた口から大絶叫と強めに息が飛び出し、俺の耳と顔を襲う。
周囲を見ればアルベルトや侍女達、更に護衛の者達は全員耳を塞いでいるが、レオンハルトだけは微動だにせず立ち尽くしている。
あれ?あいつ、立ったまま気絶してない???
ちょっと心配になって声をかけようとしたのだが、その前に頬を押し出されて目が糸ミミズの様になっているザイラスが、更に俺の身体に纏わりついてくる。
「どうかそんなにお早い帰還はせずに、今夜は討伐したお祝いの席をご用意いたしますので、ぜひぜひご出席して下さい!
今回の主役とも言える聖女様が欠席など、ありえませんのでお願いしますぅぅぅ〜。
美味しいお酒や美味しい料理が沢山出ますよ!!
それこそ今まで聖女様が食べたことない夢の様な料理が沢山でますから〜。
あ……勿論食べ慣れた泥臭い食べ物も言ってくだされば全てご用意しますんで!!泥団子でも、雑草でも!!
ですから、どうかぁぁ〜どうかぁぁぁ〜!!」
いや、だから嫌味ぃ〜……。
呆れながらも、とにかくペットリとくっついてくる身体と吹き付けられる荒い息が気持ち悪くて「分かった!分かったから!」と致し方なく答える。
確かにこんなにご立派な王宮なら出てくる料理も凄そうだし……まっ、いっか!
そう納得すると、俺の様子を見たザイラズはニッコリと微笑み、やっと俺の体から離れてくれた。
そしてそのままパンパンと手を二回叩くと、並んでいた侍女の中でもとびきり美しい女達二人が一歩前に出てくる。
「では、この国を救って下さった偉大なる聖女様に相応しいお部屋へ案内しましょう!
お前たち、聖女様をお部屋に案内せよ。」
「「かしこまりました。」」
その侍女達はスッ……と俺の横、左右に分かれて肩がつく程の位置に立つと、そのままプリンッとしたご立派なオッパイをこれでもかとくっつけながら両腕にしがみつく。
「おおおお???」
その柔らかいオッパイの感触に一瞬戸惑いながらも、歩き始めた侍女たちに合わせて俺も歩きだし、そのまま部屋まで案内してもらう事となった。




