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DNA①  作者: まこと
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お祝い会の誘い

まだ肌寒い3月

「雪絵ちゃん医学部に合格したんだって!」鼻息も荒く加奈子の元に姑から電話があった。

雪絵ちゃんとは夫の兄の子だ。つまりは姪っ子。

私立中女子最難関桜蔭に行っている、

そっか、大学受験が終わったのか。

思えば桜蔭に受かった時も姑の興奮はすごかった。

今回も想像がついてげんなりとする。

現役で国立医学部か…。なんとも言えない焦燥感に駆られる。


(舞とは別よ。混合しちゃダメ…)


興奮状態で話し続ける姑。

「とにかくお祝いするから。21日に我が家に来てね!」と限りなく明るい声で電話が終わった。


・・・・・


夜帰宅した夫の明に話すと

「すげえな。雪絵ちゃん。奥さん医者だもんなぁ〜」と笑顔だ。

少し嫌な気持ちになったが、気を取り直して

「舞は勉強もあるし欠席で。私とあなただけで行きましょう。」と提案すると

「イヤイヤ、舞も雪絵ちゃんの話を聞いたらやる気になるかもしれないし連れて行こうぜ!」とビールを片手に呑気なことを言い出した。


そんなんでやる気になるわけないでしょ!と一瞬で怒りの感情に支配されそうになる。

「レベルが違うわよ!志望校変更すら考えているのに、何呑気なこと言ってるのよ!そんなこと言うなら舞の勉強見てよ!」


第一志望校は御三家の一角だが、塾の学年では6年になるのに偏差値52程度の現状では志望校と呼ぶことも難しい。


「兄貴は国立の理工だけど、俺は所詮マーチ出身だし無理だな〜。舞は無理せずマーチ付属狙おうぜ。」とヘラヘラと笑う。

明は優秀な兄と比べられてきたせいか、所詮マーチという言葉をよく使う。


そのマーチ附属だって今の舞には難しいのよ…。深い深いため息が出る。マーチだってすごいじゃない。なんでそこで劣等感なのよ。

「…舞を迎えに行ってくる。」それだけ言い、せめてもの抵抗にとドアを荒く閉めた。


まだ寒いな。

桜蔭から現役で国立医学部か…。

寒さで頭を冷やしてこの嫌な感情をリセットしよう。笑顔で舞を迎えなきゃ。

大丈夫。まだ6年が始まったばかり。大丈夫よ。動揺しちゃダメ。

心の中で呟きながら塾までの道を自転車で走った。

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