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3.過ち②

予約投稿の設定を間違えていましたorz

申し訳ありませんm(。_。)m


(朋夜視点)



「処罰を言い渡す。神狐族五位が朋夜よ、禁忌を犯しそれを悔いることもない神族にあるまじきその悪辣さ。よって、罰として雲上眩界の孤島への十年の隔離と、その階位を次代へ継承した後の魂の消滅を科す」


「そんなっ……!」


十年など、普通の神族にとってはほんの一瞬かもしれない。しかし、この身がこの世に生まれてより経過した時間もまた十年であり、その内の四年程は美緒と共に過ごしてきた。

その四年の日々は短いながらに実に充実したもので、一瞬などと表することはできないものである。


それよりもはるかに長い十年という時を一人で過ごせと?


……それはまだいい。十年を耐えれば会えるというのだから、それだけならば寛大とさえ言える処遇である。


「た、魂の消滅とはどういう……」


「その言葉通りである。そなたが次なる存在へ転化することは赦さない。……今この時をもってそなたの魂にその宿命を刻もう」


「は……? ──っ!」


「己が犯した罪の重さをしかと受け止めよ」


「っう、ぁぁああ゛あ゛───!」


頭が、心臓がっ……全身に針を刺されているようだ。身体の内側も外側も関係なく、長く鋭い針が身に突き刺される……!

暗い水の中に落とされたかのように息ができないっ!


痛いっ、苦しいっ……


痛い……痛い、痛い痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいいたいいたいっ──



──狂いそうだっ……!



「……麗叶、私はもう行こう」


「もうこの世界を発たれるのですか?」


「うむ。あちらも安定し始めたとはいえ、未だ安心は出来ぬ状況にある。姉者を中心に他の神々が私の不在を補ってくれているとはいえ、余り長く留守にはできぬ」


「……承知いたしました。此度はご助力を賜りましたこと、深く御礼を申し上げます」


「よい。今後も頼んだぞ」


「はっ」


床に蹲って悶える俺を尻目に神が動き出し、消えた。天代宮様と何やら話をしていたようだが、ダメだ……何も聞こえないし、何も考えられない……──





* * *





「──……っ!」


はっと起き上がると、周りには見覚えのない景色が広がっていた。

上体を起こしはしたが身体が重く、思うように動かない。ここは……俺はどうしてこんなところに?


「朋夜様、お加減はいかがでしょうか?」


聞こえてきた声に振り向くと、見知った式神が膝をつていた。


雅也(まさや)……身体が思うように動かないが、ここはどこだ?」


「雲上眩界の西の果てにある孤島にございます」


孤島……?

!っ、そうか……


「……状況はわかった。しかし、お前はなぜここにいる?」


隔離ならば、俺以外の者がいるのはおかしい。


「天代宮様より言伝を預かりましたので、それをお伝えするために朋夜様がお目覚めになるのをお待ちしておりました」


「……聞こう」


「天代宮様のお言葉をそのままお伝えいたします。まずは、『朋夜、お前には最西の孤島にて十年を過ごしてもらう。確実な刑とするため移動の術をはじめとする神術は封じてある』と」


試しに移動術を使ってみようとするが、確かに何も起こらない。

神術を封じられた俺はもはや神族と言えるのだろうか?

存在が変わっていなくとも、神族の力の象徴である力をとられてしまえば地に住まう者と何ら変わらなくなってしまう。


「そうか……他には?」


「『今までお前が担っていた職務についてはこれまで通りお前の式神に一任するが、その指揮系統は天代宮の下にあるものとする』と」


『これまで通り』か……確かに昨今の俺は己に与えられた職務を放り出し、雅也を含めた5体の式神に全てを一任していた。そして、それで問題なく世は回っていた。

悔しい話だが、世を回すために俺は必要なかったということだ。……雅也達を創造したのは俺だが、創造主よりも優秀な式神達はその不在を見事補って見せた。天代宮が今後も職務を課すに問題なしと判断をなさる程に。


俺は美緒ばかりを気に掛けてしたから……

その美緒も妖の王の代だったというのだから、何が何だか……


っ、そうだ──……


「美緒については?」


「『妖の王に侵されていたお前の半身は妖の王から解放されたものの昏睡状態にある』と仰っておられました」


「他には?」


「この他には何も仰っておりませんでした」


昏睡状態……

天代宮様は今まで俺が共に過ごしてきた少女は美緒ではなかったという。

俺は宿敵ともいえる妖の、それも妖の王の存在に気がつかないほどに受かれていたというのか。


『そんなはずはない』と言いたいが、天代宮様の言を否定するにたるものがない。俺は美緒を“半身として”しか見られていなかったのかもしれない。その存在の表面にとらわれ、根源を見ていなかった。


しかし、出会ったときに美緒が流していた涙が偽りのものであるとは思いたくない。……俺が気が付かなかっただけで、美緒・・はずっと俺に助けを求めていたのか?


俺は美緒の傍にいたが、それだけだった。


──……美緒(・・)は俺を憎んでいるかもしれないな。


「最後に『お前が心より己が犯した罪を悔い、償いたいと思うようであれば後日被害者に謝罪をする機会を設ける』と仰っておりました。……天代宮様よりの預かった言葉は以上となりますので、何もなければ私はこれで失礼致します」


己の罪を悔いる……?

確かに俺は禁忌を犯したが、すでに厳しい刑を言い渡され、このような目に遭わされているのだ。自分に問題がなかったとは言わないが、これ以上に悔い償う必要性も感じられない。


──そういえば……


「……天代宮様の半身様の名前は何という……?」


「姫野咲空様とお聞きしております」


「そうか……」


はっ……相手が誰であれ犯した罪の重さが変わるわけではないとはいえ、よりにもよってあいつかっ。

当然と言えば当然かもしれないな。俺が手を下したほとんどは、あいつとあいつに与していた者達なのだから。




──妖の王などがいなければ、こんなことにはならなかったのにっ……















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