14.色々な準備
「ねね!来週スポーツ大会じゃん? どうする? 髪型とかお揃いにする?」
「ふふっ、加奈ちゃん随分はりきってるね」
「ユイユイ、加奈はイベント好きだからさ」
体育大会……そっか、もう来週なんだ。
2学期が始まって2週間目。学校ではスポーツ大会に向けた準備が進んでいた。準備といっても体育の授業で練習をするくらいだけど……
私の高校のスポーツ大会は球技がメインで、二日間に渡って開催される。
種目は男女別にそれぞれでサッカー、バレーボール、バスケットボール、卓球、ドッジボール。それに加えて男子はソフトボール、女子は玉入れと男女それぞれ6種目あってそれをクラス対抗で競い合う。
基本的には全員が一日一種目に参加することになっていて、私はサッカーと卓球に出る。
あとはクラス全員が参加する二人三脚・三人四脚と台風の目リレーとか、クラスの代表者が参加する選抜リレーとかがあって、最終的には各種目での得点の合計で総合優勝クラスが決まる。
私達3年生にとっては高校生活最後のスポーツ大会だから、私も今から私も楽しみ。
「──それで、どうする!?」
「髪型か……去年は編み込みして一つに結んだっけ?」
「そうだった気がする」
スポーツ大会とかの行事の時は髪型とかを自由にしても先生達が目をつぶってくれるから、去年と一昨年のスポーツ大会では仲の良い友達とお揃いの可愛い髪型にしている女の子達がいっぱいいた。
いつもより早く登校してお互いの髪を結び合っている様子を『羨ましい』と思いながら一人で眺めてたっけ……
でも──
「──咲空ちゃんはやってみたい髪型とかある?」
今年は私もその輪の中に入れるんだ……
ふふっ、なんだかくすぐったいな。
「私は何でも。でも、動きやすい髪型の方がいいのかな?」
「そうだね~……けっこう動くだろうし、崩れにくくて邪魔にならないっていう方がいいよね?」
「うん。できれば!」
「思いきってツインテールいっちゃう?」
「え~恥ずかしくない?」
「私も幼稚園卒園して以来かも」
「私はしたことないな……」
私は基本的に髪を下ろしていたし、結ぶとしても料理するときと体育の授業の時に一本にまとめるくらいだったから。
「ウチもツインテールなんて小3くらいが最後だよ。でもさ、大学生になってからは絶対にしないというか、出来なくない?」
「それはまぁ……」
「厳しいかも……」
ツインテールが大人になっても似合うという人もいるだろうけど、私には厳しいかな……それ以前にしたことがないからどうなるのか予想がつかない。
そこで皆で顔を見合わせ、晴海ちゃん、結華ちゃん、私、加奈ちゃんという順番で口を開く。
「……ツインテールいっちゃう?」
「ふふっ、いいんじゃない?」
「私もいいと思う」
「よっし、決定!」
加奈ちゃんがパンッと手を打った。
ツインテールか……う~ん、どんな感じになるんだろう……?
「みんなそこそこ髪が長いからアレンジもしやすそうだね」
「ね! ……取り敢えず左右に編み込みして、耳かそれより少し低いくらいの位置で纏める感じ?」
「そうだね……それならあんまり邪魔にならなそう。あっ、またアタシがやる感じでいいの?」
「うん。お願いできる?」
「了解!」
晴海ちゃんは妹の髪を結ってあげていたから人の髪の毛を結ぶのが得意らしくて、去年も加奈ちゃんと結華ちゃんの髪を結ってあげたらしい。
「ただ結ぶだけじゃアレだし、リボンも付けちゃう?」
「えっ、さすがに怒られない……?」
「大丈夫だって! 行事の時くらい先生達も見逃してくれるよ!」
「……加奈、もう用意してるでしょ?」
「! そ、そんなことは……」
顔の上半分が黒い感じの笑顔になった晴海ちゃんがガシッと加奈ちゃんの肩をつかむと、加奈ちゃんは視線を逸らした。
「か・な……?」
「……ごめんなさい。色違いでリボン付きのゴムを用意しました……」
「はぁ、やっぱり……」
すごい。さすが幼馴染みというか……そんな事が分かっちゃうんだ……
「加奈はね、自分の中で決まっている時は少し強引になるんだ。今回もかなりツインテールを押してたし。それで、そんな時には先走ってることが多いんだよね」
「「な、なるほど……」」
私と結華ちゃんが、晴海ちゃん『なんで分かったんだろう?』というような視線を向けていると、それに気が付いた晴海ちゃんが教えてくれた。
「……まぁ、加奈が用意してくれたんなら付けようか? せっかくだし」
「うん、賛成」
「私も」
「みんな~~!」
「で・も、加奈は先走るクセを直すこと!」
「……はい」
加奈ちゃんはシュンとしちゃってるけど、私は内心楽しみ。中学校や高校では校則でゴムは黒か茶色しか認められていなかったし、そうでない小学生の頃の頃であってもオシャレなゴムやシュシュ、ヘアアクセは持ってなかったから……
リボン付きのゴムか、色違いの。ふふっ、どんな感じだろう?
「さ! スポ大の話はこれくらいでいいとして……咲空ちゃん! 好きなお菓子ってある? ポ◯チとかポッ◯ーとかそんな感じので!」
「えっ?」
突然どうしたんだろう?
「何でもいいよ!」
「お、お菓子……? う~ん、あんまり食べないんだよね……あっ、食事のデザートでなら普段から結構食べてるけど……」
桃さんと葵さんが食後のデザートとして作ってくれるブラウニーとかぜんざいとかは食べてるから……
「えっ、ポテ◯とかポ◯キーとか食べないの!? も、もしかして、とんがりコ◯ンとかハッピー◯ーンも!?」
「う、うん……」
「ほら加奈、咲空ちゃんを見習ってお菓子の量減らしたら~?」
「っお、お菓子は私の癒しなの!」
「そんなに?」
こう言ってしまっては悪いかもしれないけど、無言でコクコクと頷く加奈ちゃんはどこか必死に見えて可愛い。
「私もいっぱいは食べないけどチョコとかは時々食べるかな~。咲空ちゃんは甘いものとしょっぱいものだったらどっちが好きなの?」
「私も甘いものかな」
「そっか~ 同じだね」
「……?」
笑みを浮かべながら無言で視線を合わせる3人に首を傾げることしか出来ない。
……なんだろう? なんとなく仲間外れにされているように感じてしまって寂しい……




