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4.デート


「人がいっぱい……」


「我も日頃は上から見るだけで、こうして人の中に入るのは初めてだが……すごいな。溢れるほどの活気を感じる」


私が今いるのは東京。

東京には家族で1回来たことがあるだけだったから、こうして訪れるのは今日で2回目。前に来たのも小学生の頃だったから、すごく久しぶり。

やっぱり人が多いな……。前に加奈ちゃん達と行ったショッピングモールにもたくさんの人がいたけど、それ以上の人が歩いている。



東京に来ることになったきっかけは、1時間くらい前に麗叶さんが放った『よかったら息抜きを兼ねて共に出掛けないか?』という言葉。


三者面談の後も毎日勉強ばかりしている私を見かねて、そんな言葉をかけてくれたみたい。




「──どうした? そんなに見つめて……」


隣を歩く麗叶さんを見上げていると、見ていることがバレてしまっていたみたいで、目を合わされてしまった。


「す、すみませんっ」


慌てて顔を逸らす。


「謝ることはない。それに顔を逸らすなんて最近ではなかったのに……何かあったのか?」


……顔を逸らした私を、麗叶さんは不思議そうにしているけど、仕方がないと思う。


「いえっ、何もありません。……ただ、今日の麗叶さんがいつもと違っているのでその、緊張してしまって」


「? あぁ、今日は洋服を着ているからな。こういった服を着るのは初めてだが、存外悪くない」


麗叶さんはご機嫌な様子だけど、私はそれどころじゃない。


今日の麗叶さんの服装は、さっき本人も言っていたように洋服。今まで麗叶さんの和装しか見たことがなかったから、かなり新鮮。

年齢も少し変えていると思う。普段から20代前半くらいの容姿だから全然違うなんてことはないけど、私と同い年くらいの容姿にしているみたい。……大人っぽいから『少し顔つきが違うかな?』と感じるくらいだけど……


そして、普段との違いを一番感じさせているのは髪。普段は長髪を束ねるというスタイルだけど、今日は短く…マッシュっていうのかな? 自然で軽やかな感じがする髪型になっているし、何より、神族の象徴とも言える銀髪が今日は黒髪。麗叶さんだと分かっているのに、まるで別人のように見える。


朋夜で、神族が容姿や年齢をある程度自由に変えられるということは知っていたけど、ここまで変わるなんて……

ちなみに、瞳は神力の量に依存した色だから変えることはできないらしい。だから、いつもと違つ麗叶さんだけど、満月の光のような銀色の瞳を見ると、『確かに麗叶さんなんだ』と変に安心する。



「……こうして二人で外出するのも初めてだな」


「そうですね……緊張するけど楽しいです」


「まだ歩いているだけなのにか?」


「歩いてるだけでもです」


ふふっ。正直、麗叶さんがいればいつでも楽しい。でも……今日は二人っきりで桃さんも葵さんもいない。そう考えるとすっごく緊張してしまう。


「さて、どうするか……何の計画もなく飛び出してきてしまったが、まずはそなたの服を見ようか?」


「えっ? 服はすでに十分過ぎるほどいただいていますけど……」


「しかし、そなたが自分で選んだという服はないであろう?」


確かに、麗叶さんが与えてくれたクローゼット…衣装部屋には、着物から普通の洋服まで色々な服がたくさん入っているけど、全て麗叶さんや桃さん、葵さんが用意してくれた物で、私が選んだ物はない。

私はファッションに疎いし、前は制服と中学生の頃のジャージしか持っていなかったから、多すぎるなと思っているけど、オシャレで『着てみたい』と思うような服ばかりだった。

だから、自分で選んだ服がないということを気にしたことはなかったし、私に服を選ぶ能力があるとも思えなかったから、ありがたいと思っていた。


「自分で服を選ぶというのも楽しみの1つであろう? そなたの好みも知りたいしな」


「いただいた服はどれも私好みですよ?」


「それはよかったが……何事も実際にやってみなければわかるまい。一先ずは行ってみよう」


麗叶さんはそう言いながら手のひらを上に向けた手を私の方に向ける。


これは……?


「どうした? 取らないのか」


私が差し出された手の意味を図りかねて麗叶さんを見上げると、優しいけど少し意地悪な笑顔でそう聞かれた。


「っ……!」


……麗叶さんは随分と人間らしい顔を見せるようになったと思う。そんな麗叶さんと向かい合っている私はどんな顔をしているんだろう?


「手を繋ぐのは嫌か?」


「し、失礼しますっ……」


「あぁ」


自分でも分からないけど、何故か断りを入れてから恐る恐る麗叶さんの手に自分の手を重ねる。


そんな私の手を優しく握る麗叶さんの手は大きくて温かい。


「さぁ、行こうか」


「……はい」


爆発しちゃうんじゃないかってくらい恥ずかしいけど、嫌じゃない。




──私やっぱり、麗叶さんのことが好きなんだな……











読んでくださりありがとうございます(*^^*)


今さらになってしまいますが、咲空ちゃんの通っている学校があるのは、政治・経済の機関が集まった中心部はある程度は発達してるけど、少し郊外に出ると田んぼや畑が広がってる~みたいな場所をイメージしていただければと思いますm(。_。)m


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