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3.三者面談


───コンコンコン



「どうぞ」


「失礼します」


今日は三者面談。

私の保護者として麗叶さんが行っても大丈夫かという確認は一昨日、話が出てすぐに葵さんがしてくれた。


早川先生からは『問題ありません』という答えをもらえたみたい。……まぁ、天代宮からの要望を断ることなんてできないと思うから、早川先生が実際にはどう思っているのかはわからないけど……


私の前後に別の人の三者面談が入らないように調整してくれた。基本的に自分の三者面談が開始する少し前には教室前で待機ということになっているから、すぐ前後に人が三者面談をすることになると、私と鉢合わせることになってしまって、私の事情が知られてしまう危険があったから。



「こんにちは。今日はよろしくお願いします」


「こんにちは、どうぞ、こちらの椅子にお座りください」


教室に入ると早川先生が椅子を勧めてくれたので、麗叶さんと一緒に向かうけど……緊張するな。




* * *




「天代宮様、姫野さんの担任を務めている早川と申します。本日はよろしくお願いいたします」


「天代宮麗叶だ。こちらこそよろしく頼む。……今日は無理を言ってしまってすまなかったな」


「いえ、とんでもございません……!お越しくださりありがとうございます」


麗叶さんが謝罪の言葉を口にすると、早川先生は恐縮したような様子だけど、麗叶さんのことを怖がっているとか、過度に緊張してるとかいう空気は感じられない。



「──では、早速ではありますが、面談を始めさせていただきます。……まず一学期中の姫野さんの成績ですが、大変良い結果でした」


「ありがとうございます」


「三者面談の事前資料で志望大学として書いていた大学は難関ではありますが、模試の成績を見ても今の成績を維持できれば問題なく合格できると思います。これが先月の模試の結果になります。現時点で志望校の変更などはありませんか?」


「いえ、ありません」


早川先生が差し出した模試の結果を受け取って、各教科の点数、偏差値、志望校判定なんかを見ていく。


よかった……

進路の決定が他の人よりも遅かったから出遅れてしまった感じがあって不安が大きかったから、先生の言葉で少し安心した。

一緒に結果を見ていた麗叶さんも、嬉しそうにしてくれている。


「よく頑張ったな」


「ありがとうございます」


「志望校の決定が遅れてしまったからという焦りがあるかもしれませんが、姫野さんは入学当初から勉強熱心で良い成績をキープできていたので、志望校の傾向に慣れていけるように2次試験の対策を進めていけば、まず問題ないかと思います。……2次対策は始めていますか?」


「はい。夏休みに入った頃からですけど、始めています」


夏休みが始まった頃から、赤本やネット上で公開されている過去問をやってみている。


「解いていて、分からない部分などはありましたか?」


「今のところは大丈夫です」


2次の問題は共通テストと出題の系統とか、答え方のポイントとが違っているから慣れていく必要があると思うけど、答えを見て考え直せばなんとなく理解できるから問題はない。……今のところは。


「よかったです。でも、分からないことがあったら学校に来ていただいて大丈夫ですから、学校が空いている日はいつでも来てくださいね」


「ありがとうございます」




学校の今後の予定や入試日程の確認、中期や後期の出願はどうするのか、併願する大学はどうするのかといった内容の話をした後、早川先生は麗叶さんの方に向き直った。


「天代宮様から見て、普段の姫野さんの様子はいかがでしょうか?」


「常日頃、机に向かって勉学に励んでおる。詰め込みすぎていないかと心配になる程にな」


眉を下げながら苦笑している麗叶さん。……そんなに詰め込んでいるわけではないんだけど……


「……姫野さん、無理はしないでくださいね?」


「無理をしているわけではないので大丈夫ですよ?」


「それならいいですけど……受験期は精神的なストレスが溜まりやすくなってしまうので、お家の方で気を付けて見てあげてください」


「わかった。気を付けよう」


ふふっ。笑っちゃいけないんだろうけど、先生が『お家の方』と言ったときに“?”が付いているような気がして少しおかしくなってしまった。『お家の方』という表現は現時点では一番適した表現だけど、私と麗叶さんの関係をどのように言っていいのかは難しいと思う。私自身よくわかってないし……


「それと……お家で学校での話をしたりはされていますか?」


「はい」


「毎日どんなことがあったか話してくれる。学校での生活が楽しいようだ。感謝している」


「いえ、楽しい生活を遅れているようでなによりです。……姫野さんが天代宮様と出会うことができて本当によかったです」


「我も咲空に会うことができたことを幸運に思っている」


暖かい笑顔を浮かべる早川先生と、それに嬉しそうに返す麗叶さん。……なんだか、くすぐったい気持ちになってしまう。


「……少し話が逸れてしまいましたね。その他何か心配なことがなければこれで以上となりますが、何かございますか?」


何かあったかなと考えてみるけど、現時点で心配なことはこれと言って思い浮かばなかった。


「大丈夫です」


「我もない」


「では、面談は以上となります。ありがとうございました」


「ありがとうございました」





* * *





入る時はいつも使っている空き教室に移動してから三者面談をする教室に向かったけど、帰りは早川先生が『ここから直接帰っていただいても大丈夫です』と言ってくれたから、教室から直接雲上眩界に移動した。



「付き合ってくださってありがとうございました」


「いや、我も直接あの者に会っておきたいと思っていたのだ」


麗叶さんはどことなく満足そうなように見える。


「さぁ、我は仕事があるからもう行こう」


「じゃあ、私は少し休憩してから勉強をします」


「わかった、無理はするなよ?」


「ふふっ、大丈夫です」













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