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2.夏休み

投稿が遅れてしまって申し訳ありませんm(。_。)m


「──姫様、そろそろご休憩されてはいかがですか?」


「桃さん……あっ、もうこんなに経ってたんですね」


「ふふっ、集中されていましたね」


「もう少しで午餐の準備が整いますので、区切りの良ろしいところでお座敷にいらしてくださいませ」


「わかりました。ありがとうございます」


桃さんは『失礼いたします』と言って私の部屋から出ていった。

学校の方は一週間前から夏休みに入り、私は毎日雲上眩界にある麗叶さんの邸でゆったりとした日々を過ごしている。


もちろん、勉強はしている。

2年生の時まではたくさんの課題に追われていた夏休みだけど、3年生は自分の受験勉強をするために課題はほとんど出されていない。課題として出されてるのは共テで全員が受験する英語くらいかな?

それに、去年までは家事をやったり、美緒のお願いを聞いていたりで勉強時間の確保が大変だったけど、今は桃さんや葵さんがほとんどやってくれているから、勉強時間をしっかり確保できている。……本当にありがたい。


1学期の期末試験では今までで1番の成績をとることが出来たから、それを落とさないようにしたい。

志望校もある程度決まったし、せっかく覚えたことを忘れないためにも頑張らないと。


期末テストでは加奈ちゃん達も成績が上がったみたいで、テスト返しのあとにお礼を言われた。

テスト前のみんなの頑張りがあったからこその結果だと思うけど、みんなが嬉しそうにしていたから私まで嬉しくなった。

それに、勉強は一人でやるよりもみんなでやった方が効果があるんだって実感した。

みんなに教えることで、自分の中でも情報が整理されるし、教えるなかで自分が理解できなかったことに気が付くこともできたから。もちろん、私がわからなかった部分をみんなから教えてもらったりも。


……加奈ちゃん達と過ごしていくなかで何度も感じてきたけど、やっぱり人は一人だとダメだったんだな。

そんなことも、一年前までは知らなかった。ううん、一人でやらなきゃって自分を追い詰めていたのかも。



……さ、キリがついたし、早く行かなきゃ。





* * *




「───すみません、お待たせしました」


「いや。我もつい今しがた来たところだ。……勉強の方はどうだ?」


「順調だと思います。参考書や赤本まで準備してくださってありがとうございます」


「当然のことだ。さぁ、食事をしよう。……疲れたであろう?」


麗叶さんの問いに『少し』と返す。

4時間くらいぶっ通しで勉強していたから、頭がボーッとしているというか、あまり働いていないもしれない。

麗叶さんに促されて、麗叶さんの斜め前の位置にあるお膳の前に座る。お膳には出来立ての食事が乗っていて、とても美味しそう。


「──いただきます」


美味しい……!

まず口に運んだのはイサキのバター醤油ソテー。一般には磯臭いなんて言われることもあるらしいイサキだけど、そんなことはなく上品な淡白な味わい。そこにバター醤油の風味が加わって……

桃さんと葵さんのお料理は毎日食べているけど、まったく飽きない。レパートリーが豊富なのに加えて、どれも美味しいから。

よく一緒に料理をするけど、食材の処理の仕方なんかはとても勉強になる。……経験としては私の方があるはずなんだけど、やっぱり式神ってすごいなぁ。


そんなことを考えながら、その式神の創造主である麗叶さんの方を見ると、目があった。


「どうかしたか……?」


「い、いえっ……」


……神族である麗叶さんは本来、食事をする必要はない。


だけど、私が麗叶さんに拾われて、目を覚まして……その頃からずっと一緒に食事をしてくれている。


最初は緊張してしまうこともあったけど、それ以上に一人じゃないという安心感を感じていた。

前は一人で食べるということも多かったし、みんなで食卓についていても、私はその輪の中に入ることができなかったから。

それに誰も食事をしない中、私だけが食事をするというのは気まずいというか……きっと、麗叶さんはそんな私の心情も察して一緒に食事の時間を過ごしてくれているのだと思う。



「── 咲空。明後日だが、三者面談とやらの予定があっただろう?」


「? はい」


そう3年生の生徒とその保護者、担任との3人で現時点での進路の確認と、進学の場合は現在の学力がどうなのか……そんな内容の面談をする。


私はお母さんやお父さんをに来てもらうことができないから、保護者としては葵さんについてきてもらう予定。早川先生とも一番仲が良い(?)みたいだし……



「面談開始が十一時なので、それに合わせて送っていただきたいと……お手数をかけてしまってすみません」


「いや、それはまったく問題ない。その……そなたさえ良ければ、我がそなたと共に行きたいと思っているのだが……どうであろう?」


「えっ……!? あの、私が面談をしている間に地上の視察をするのでは……?」


「うむ、その予定だったのだが、そなたの将来に関する話をするのなら我が直接…と思ってな」


私は一向に構わないというか…その、嬉しいくらいだけど、早川先生がどうだろう……?


「お話し中に失礼いたします。主様、急な変更をしてしまえば、担任の早川様を困惑させてしまうかと……」


返答に困っていると、部屋の入り口辺りで控えていた葵さんの方を見ると、助け船を出してくれた。


普通の生徒の場合でも、先生は当日まで母親が来るか、父親が来るか、はたまた祖父母が来るのかわからないことがほとんどだけど、私の場合はそういう話ではないから、事前に連絡をしてある。


「確かに……みだりに人を困惑させてはならぬな……」


麗叶さんも葵さんの言葉で残念だが納得といった姿勢を示す麗叶さん。だけど、葵さんがさらに一言。


「しかし、私個人の意見と致します、姫様のご希望が最優先されるべきであり、事前に連絡を入れて確認をすれば問題ないと存じます」


「……咲空、葵はこのように言っているが…どうだ?」


そう言いながら私の方に顔を向ける麗叶さんの表情には、洗練された雰囲気とは相反するような……こう言ってしまっては失礼かもしれないけど、子供のような期待が滲んでいる。

麗叶さんの見たことのない様子に、顔が熱くなるのを感じる。


「わ、私は麗叶さんが来てくださるなら嬉しいです。もちろん、お時間があればで……」


「そうか。葵、頼めるか?」


「もちろんでございます」










読んでくださりありがとうございます(*^^*)


一応補足しますと、葵さんと早川先生は互いを『千紗さん』『葵さん』と呼び合う程度には仲良くなっており、葵さんが無茶なようなことを言ったのも相手が早川先生だからこそです。もし、担任が早川先生でなければ葵さんは麗叶様を窘めていました。


以上、補足でした!



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