11.自覚
今日も無事に一日を終えることができた。
カウンセラーを目指せる大学は、私立大学も含めるとけっこう色々あるみたい。
やっぱり国公立の方がいいのかな……?立地についてはあんまり考えなくてもいいんだろうけど……
「──咲空ちゃん!今週末空いてるようだったら一緒に遊ばない?」
「! いいの……?」
放課後、帰る準備を終えたところで加奈ちゃんが遊びに誘ってくれた。……友達と遊ぶってことを全然知らない私がいいのかな?
「もっちろん! まだ一緒に遊んだことないじゃん?」
「私もみんなで遊びたいな。もう少ししたら受験勉で遊ぶ余裕なくなっちゃうかもしれないし」
「ね。メンバーは加奈とユイユイと私なんだけど、どう?」
みんな私の参加を前向きに考えてくれてる。……なんだか、くすぐったい気持ちになるな。
「うん……一緒に遊びたい」
あっ、でも──
「親……に確認してもいい?」
「うん、決まったら教えて!」
予定自体は空いているから問題ないけど、勝手に決めるわけにはいかない。……でも、休日に友達と遊ぶなんて経験したことがないから行ってみたい。
「じゃあ、ウチらは部活行くね! また明日!」
「「ばいばい」」
「うん、頑張ってね」
加奈ちゃんはバスケ部で、最後の大会が近いらしい。
吹奏楽部の晴海ちゃんも、合唱部の結華ちゃんもコンクールに向けての練習が進められているみたいで、忙しそうにしている。
* * *
……さてと、もう少ししたら麗叶さんと待ち合わせしている教室に向かわないと……私のクラスの教室は私を除いてあと五人だけど、葵さんが言うには他の教室にはまだ残っている人が多いから、まだ移動しない方がいいみたい。
大丈夫だとは思うけど、この時間帯に移動教室のための空き教室しかない北校舎に行っている様子を見られて、それを変に思われたら大変。注意していかないと。
「──姫野さん」
「! 高橋君……?どうしたの?」
っ、ビックリした……。私に話しかけてきたのは高橋幸成君。今年初めて同じクラスになった男の子で、何回か話したことがある。
弓道部でいい成績を残しているらしく、表彰もされていた。整った顔立ちをしているので女子からの人気も高いらしい。加奈ちゃん情報だけど。
なんでも、イケメンに弱い女子は目が合っただけで倒れてしまうらしい。……冗談かと思ったけど、実話というから驚きだ。
私は普段麗叶さんを見ているから何ともないけど……
思考が逸れたけど、そんな高橋君が私なんに何の用だろう……?
「あー、姫野さんにちょっと話があって……いや、こんなこと言うの恥ずかしいんだけど、俺このクラスになった時から姫野さんのことが気になっててさ」
「えっ……?」
「いや、最初は可愛いなぁ程度だったんだけど、友達に対して優しいし、聞き上手だし、どんどん好きになっちゃってさ」
「あ、ありがとう?」
こ、これは……告白? 私には縁がないものだと思ってたから、高橋君が声をかけてきた時は私が何かしてしまったのかと思った……
「それで、よかったら俺と付き合ってほしいんだ」
予想が当たってしまうなんて……何で私なんかに……
これはどう答えるのが正解なんだろう……正直な話、高橋君とは関わりがなかったから当然そんな風に見たことがない。
それに私には……──あぁ、そっか。
「えっと……私なんかにありがとう。でも、私は高橋君に釣り合わないと思うんだ。根暗だし。だから、ごめんなさい」
「姫野さんが根暗だなんて……そんなことないよ。何か他に理由があるの?」
「──……好きな人がいるんだ」
そう、私は麗叶さんが好きなんだ。
自覚はなかったけど、ずっと前から好きだったんだと思う。半身だからとかそういうのは関係なく。
自分の気持ちを自覚して頬が熱くなるのを感じる。
「ははっ、本当に好きなんだね」
「……ごめんなさい」
「いや、謝らないで。……優しい人なんだ?」
「うん、すごく優しい人」
それこそ私にはもったいない至高の存在。
「今まで私にそんな風に言ってくれる人いなかったから嬉しかった」
「そうなの?」
「うん……なのにこんな返事で本当にごめんなさい」
「俺の方こそ変なこと言ってごめんね。……うん、スッキリしたよ。言おうかどうかって自分の中でずっとモヤモヤしてたんだ」
高橋君はそう言いながら肩をすくめる。
「それに、俺は告白なんてフラれる覚悟がある奴しかする資格がないって思ってるから。本当に気にしないで」
「うん……」
おどけて見せる高橋君はとても強い人だと思う。強いだけじゃなくて、私が気にしないように気遣ってくれている。
高橋君が言っていたのは、告白する資格はフラれる覚悟があって初めて得ることができるということ。
とっても格好良い考え方…生き方だと思う。
……私もそんな風に格好良くなれるだろうか?
麗叶さんにきちんと、自分の気持ちを伝えられるだろうか?




