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2.新学期


「咲空ちゃ一ん!今年も同じクラスだね!」


「4人一緒でよかったね」


「私も一人になったらどうしようって思ってた」


この学校では2、3年生は前年度のクラスで、そのクラスの担任だった先生から各生徒に新しいクラスが告げられる。早川先生が全員の発表 を終えた後、教室には歓声と悲しみの声が飛びかっていた。

幸いなことに、私は仲良くなった加奈ちゃん、晴海ちゃん、結華ちゃんと同じクラスになることできた。


「担任は誰になるかな?」


「私は今年も早川先生がいいな~」


「ね!チサちゃんカワイイし優しいし」


「ま、この学校の先生、基本的にいい人が多いから誰でも安心じゃない?」


私も加奈ちゃんの言葉に頷く。加奈ちゃんの言う通り、この学校の先生は皆生徒思いで優しい。

それでもやっぱり、知っている先生の方がなんと なく安心感があるけど。


新クラスの担任発表はこの後、 始業式で新しく来た先生の紹介と一緒にされる予定。

誰が担任になるのか、少しドキドキするな。





* * *





始業式後、各自元のクラスにある自分の荷物を持って新しい教室に移動する。担任の先生は私の願いが叶ったのか、早川先生だった。

……ここまでくると、麗叶さんが何かしているのでは、と考えてしまう。ううん、確実に何かしているのだろう。

気を遣わせてしまって申し訳ない……。でも、嬉しいと感じている自分もいる。


そして、気になるのは副担任の先生。賀茂先生というらしいが、先生1年生とのことだ。……受験を控えた高校3年生のクラスに教員経験のない先生が副担任として付くことに疑問はあるが、どこか安心感のある笑顔だった。


新しい教室に移動すると、早速といった様子で加奈ちゃんがやってきた。


「咲空ちゃーん! 担任チサちゃんだったね」


「うん、知ってる先生で安心した」


「ねね、賀茂先生カッコよくなかった?」

「思った! イケメンだし、身長も高くて優しそう!」

「でも教員経験ないんでしょ?ちょっと不安かな……」


教室にいる他の子達も、話に花を咲かせていた。女子達の話題の中心はやはり賀茂先生のようだ。男子達はそんな 女子達に「やれやれ」と言った様子だ。


「はい、席に着いてー!」


しばらくして先生達も教室に入ってきたので、それぞれの席に戻る。……目が合った? すぐに逸らされたから偶然だと思うけど、早川先生に続いて教室に入ってきた賀茂先生と目が合でたように感じた。


「では、改めて自己紹介をさせてもらいます。今年1年このクラスの担任になった早川千紗です。持ち上げという形で今年も皆さんと関われ ることを嬉しく思います。今年は受験生ということで大変な1年になるかと思いますが、全力でサポートしていくので、何か相談とかがあったら、遠慮せずに頼ってください。では、賀茂先生、お願いします」


「おはようございます。クラスの副担任と日本史の授業を担当する賀茂颯斗(はやと)です。始業式で校長先生から紹介があった通り、僕にはまだ教員としての経験がありません。それは僕自身緊張していますし、受験生である皆さんは僕以上の不安をかかえているかと思います。ですが、不安などを感じさせない授業を心掛けていくので、よろしくお願いします。早川 先生もおっしゃっていましたが、何かあったら遠慮なく相談してください」


2人の先生の自己紹介が終わり、今度は生徒の自己紹介タイムとなった。……自己紹介は苦手だ。簡単にとは言われても何を言っていいかわからない。

みんなは得意教科と苦手教科、好きなものなんかを言っているみたいだけど……他の人の自己紹介を聞いてる余裕もなく考え込んでいると、あっという間に私の番になってしまった。

慌てて立ち上がると一斉に視線が集まってきた。


「姫野咲空です。えっと、得意な教科は国語で す。一年間よろしくお願いします」


──何とか言い切った。

椅子に座ると、再び 賀茂先生と目が合った。今度は逸らされることなく、優しく目を細められた。声には出さずに「お疲れ」と言ってくれたようだ。

……やっぱり会ったことがある?

どことなく既視感がある。






* * *







放課後、桃さんと葵さんと話をしながら、麗叶さんの迎えを待つ……麗叶さんが遅れるなんて珍しいな。


「加奈ちゃん達と同じクラスでよかったです」


「はい、皆様も姫様と同じ学級であることを喜んでおられましたね」


「姫様が嬉しそうだと私共も嬉しく思います」


「このクラス分けは麗叶さんが指示してくれたんですか?」


「さぁ、私共には分かりかねますが、主様にとっては姫様の幸福が第一にございます」


「えぇ、その気持ちは私共も同じでございます。主様の指示であった時には、それもご厚意として受け取られては? 負担に感じる必要などございません」


……二人は知らないと言っているけど、本当は知っているのだろう。きっと、麗叶さんに口止めされているんだと思う。……私が気にしちゃうかもしれないから。


「ふふっ、このままじゃあ私、甘えん坊になっちゃいますね」


「あら、それは私共からしたら嬉しいことです」



「───すまない、待たせたな」


「麗叶さん! 大丈夫ですよ」


「さぁ、帰ろう」


「はい」


麗叶さんに差し出された手を取って、麗叶さんの…私達の(・・・)家に帰る。

……こんな日常がいつまでも続いていくといいな。





















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