ケンよりクワ!
始まりの街『スロタート』。
初心者冒険者が初めて立ち寄る街として、多くの冒険者が集まり賑わっている。
そこから少し南に行った外れにある小さな町。『スドール』。
ここに住む青年が1人、畑を耕していた。
「ふぅ。こんなもんかな!」
青年は鍬を立て掛けると額の汗を拭う。
「やぁ、アレス。今日も精が出るね」
話しかけてきたのは初老の男性ルドガー。近所の住人だ。
「おはようございます!ルドガーさん。1つどうですか?採れたてのトマトです!」
「良いのかい?いつもすまないね。…そうだ、後でウチに来なさい。朝御飯まだだろう?せっかくだ。このトマトでサラダでも作ろう!」
「いいんですか?では、戴きます!」
「では、待っているよ。」
「はい!すぐに行きます!」
アレスは農具を片付け、ルドガー宅へと向かった。
「ごめんください!」
「あら、アレス!いらっしゃい、待ってたわよ!」
迎えてくれたのはルドガーの奥さん。ジルエ婦人
「では、戴きます!」
用意されていたのは目玉焼きとトースト、そしてアレスの畑で採れたトマトを使ったサラダだ。
「うまそ〜!戴きます!」
食が進み、ルドガーが話し始める。
「アレス。君が来てくれて皆、助かっている。いつもありがとう。」
「突然どうしたんですか?俺は俺に出来ることをしてるだけですよ!」
「ふふ。謙遜することはない。君がこの町に来てくれて本当に助かっているんだ。」
「すみません、今日はギルドに行かなきゃいけないので…」
「おぉ、そうか。すまんな。」
「いえ…では、ごちそうさまでした。」
ルドガー宅を後にした俺は『ギルド』に向かう支度を始めた。
『ギルド』…冒険者支援協会。大きな街に配置されている冒険者に対して依頼やその他支援を行っている。俺もギルドに登録はしている。
周辺地域での狩りはギルドが管理している地域でのみ許可されているため冒険者登録されている必要があるのだ。
俺は金のために週一で周辺のモンスターを狩ってそれをギルドに提出することで報酬に素材や金を貰っている。
ここの近くのギルドは『スロタート』の街にある為、そこまで狩ったモンスターを運んでいくことになる。
「よし、行くか。」
荷台に狩ったモンスターを乗せて『スロタート』まで歩みを進めた。