2話僕はシェルミランを全うします
翌日、優しい兄のフォリストワによって、僕は起きた。フォリストワは心配するように、僕の頬を撫で、大丈夫と安心した様子で、「おはよう」と囁いた。僕は、ムクリと起き上がって、言った。
「フォリストワお兄様、おはよう」
と。
そして、フォリストワはにこっと微笑んで、言った。
「シェル、朝食取ろうか。お母様は、先にお食べになって、書斎で、作業をしているからさ。僕と一緒に食べようね」
「うん。分かりました。フォリストワお兄様。一緒に食べましょう」
と僕は、言う。僕は、本当に9歳のシェルミランになったんだな。9歳ながらにこんなに悲しい食事を取っていることを思った。
そして、部屋着からいつものドレスに着替えて、フォリストワに手を引かれながら、食堂に歩いていく。食堂までの道のりは、宮殿なだけある、とても長い廊下だった。
そして、フォリストワお兄様は、大きなドアを開き、だだっ広い、食堂が開かれた。
長方形に長い、素敵な机がある。上には広さだけが、有り余って置かれている、食事、お皿の数はとても少なかった。
フォリストワの方に顔をソっと向けると、どこか悲しげな、寂しげな、物憂げな表情で、椅子に手をかけ、引いて座った。
僕は、そんなフォリストワの顔を見て、心がズキンと痛んだ。改めて、僕は感じた。シェル、フォリストワは、幼いながらにも、悲しい気持ちを抱えて、育ってきていると言うことを身にしめて、知った。
僕は、椅子に手をかけ、フォリストワの横に座った。すると、フォリストワは僕に、にこっと微笑んで、パンを手に持ち、微笑み食べ始めた。僕は、そんなフォリストワを見て、にこっと微笑んで、皿に乗っている、同じパンを手に持って、口に放り込み、かじり食べた。
この兄弟が、お母様を捨てて逃げ、飛び出して行ったお父さんが、突然戻ってきて、フォリストワを連れていく運命が、この先あるが、僕はその運命を変える。フォリストワをシェルの元、お母様の元から離されないように、僕は変える。
もし、フォリストワを、悪質なお父様の元に連れられてしまったら、シェルは一人で、誰にも頼る人が、得れずに、一人、虚しく泣く日々になってしまうから。僕もシェルのように孤独には弱く、心もそんなに強くない。
それに、こんな優しいフォリストワを離したくない。もっと側にいてほしい。ずっと…。
お母様の心もフォリストワとシェルで支えられているんだ。だから、絶対に兄弟を引き離す運命にならないように、僕が変えるんだから。
僕はそんなことを考えながら、食事をパクパクと口に運び、食べた。
パクパクと食べる僕を微笑ましく、眺め、ふふっと笑んだ。
「シェル、美味しいね。食事」
「うん。美味しいですわ。フォリストワお兄様」
僕は、フォリストワとの仲睦まじい、空間、兄弟感を絶対に崩さないと心に誓った。
