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底辺成長記  作者: 敗戦処理
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この作品はフィクションです

「ふぅ…」

これで何回目だろうか。

少なくとも3回は出している。

もはや日課となった行為の回数を思い出そうとしている。

要するに賢者タイムなのだろう。

自分は今何をしているのかと自問してしまう。

いや、考えれば考えるほど何もやっていない自分に対する批判でいっぱいになってしまう。

「動画を見よう」

考えるな。現実から逃げろ。と言わんばかりに先ほど見ていた大人のためのサイトを消していく。

そして、ニコニコできる動画を見る。

面白くなければyouの動画を見て心を満たす。

満たされなければ、他人のつぶやきを読む。

そんなことを何日も繰り返しているが、自分は別にいいと思っている。

これらの娯楽を楽しむのに必要なものはパソコンかスマホ等のネットにつながるものだけだ。

これらは現代を生きる人間からすれば当たり前に持っているため、実質電気代だけで済む。

これで満足できるのなら、必死になって勉強して働く必要もないだろう。

だがしかし、考えてしまう。

病気や事故、親の介護で多額の金が必要になった時、勉強もせずに就職も適当に過ごした人間はそれを借金で補わなければならないだろう。

その時、人生は大きく狂ってくる。

一生金に悩まされる人生を歩むことになるだろう。

しかし、もっと大切なことがある。

単位を落とした時に他人から見下されることだ。

それは嫌だ。

自分は見下しても他人に見下されるのは耐え難い。

「はぁ…」

現実逃避しようにも結局現実のことを考えてしまう。

ひどく主観的で悲観的な思考が脳を支配する。

動画を見るのを止めた。

頭にあるのは先週には終わらせるはずだったレポートと全く手が付けられていない試験である。

さすがにまずい状況であるのは言うまでもない。

「そろそろやろう」

達成できたこともないにもかかわらず、馬鹿の一つ覚えのようにまた失敗した時と似たような目標を決める。

『1日4時間外に出る』

これにしよう。

外に出れば、自分のことだ。

人よりも努力しているとマウントを取ろうとするだろう。

外にいるだけで勉強する気になるならそうすべきだ。

こんなクソみたいな理由でも結果さえ出せればいい。

「次こそはやろう」


こうして愚か者は些細な努力を始めた。

そして、下半身を露出し始めた。









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