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ようこそ!異世界へ!

初投稿、処女作です。よしなに

「きゃー、明美ー!あけみー!!」


 母親が子供の名前を叫んでいた。おそらく公園でボール遊びでもいていたのだろう。俺が日曜に休日出勤し、昼休憩にと近くのハンバーガーのファーストフード店に向うっている最中のことのだった。


 5歳くらいの女の子が突然、道に飛び出してきた。そこに走り迫ってくるトラック。よくある異世界転移ものの冒頭部分で使い回されるシーンだなと、一瞬頭の片隅でよぎったようなよぎらかったような...。ただ、そんなことよりも俺の足はその小さな女の子を救うべく動いていた。


(くっ...間に...あえー!!)


 ドン!という鈍い音が聞こえた。背中がとても痛い。息ができない。これは肋骨にもひびが入っているのではないだろうか。目が霞む、視線がよく定まらない。近くでは、母親が娘の無事を安堵する声が聞こえる。どうやら、運転手も無事らしい。ああ、感覚が段々なくなる。さっきまで痛かったはずの背中からは何も感じない。そういや、手足が全く動かないな。ひょっとすると、俺は死ぬのかな。まだ、彼女いない歴=年齢の俺として女の子とデートして、そしてゆくゆくはその子と...。思い残すことがあるのに無情にも俺の思考は途絶えていく。


 俺こと、橘日比谷、もうすぐ魔法使いなる直前の享年29歳のサラリーマン独身男の最後でだった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「じいちゃん、ねえ、じいちゃんったら!こいつ人族だぞ!」

 幼い男の子の声が聞こえる。

「ふむぅ、そうじゃな憎き人族とはいえこのまま放置するには忍びない。とりあえず、この荷車に積んで家まで運ぶぞ。」

 男の子の近くから、しわがれた声が聞こえた。

「じいちゃん、こんな奴連れて行っても大丈夫か?途中で目を覚まして襲ってくるんじゃないのか?」


「いくら人族が野蛮で無法者だからといって、儂らまで奴らと同じになる必要はない。自然神さまたちが我らをお守りくださるじゃろう。」


「うん、わかったよ。おいら、こいつを村まで引っ張ってくよ。じいちゃんは後ろ押すの手伝って!」


 俺はこうして堅い木材の荷車の上に揺られながら、彼らの住む村へと連れていかれるのだった。

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