小さな幸せ
妄想の産物です。
こんな関係が持てたら嬉しいと思います
「大好きだよ」
そんな言葉が自分の胸のあたりから聞こえてくる。
今、私の腕の中には一人の少女がいる。
その少女は、私の腕の中、少しでも私の体温を感じたいのか、必死に体をこすりつけてきている
少女の身体は少し冷たく、でもほのかに暖かい。そんな感触がとても心地よい。
そんな少女がどうしようもなく愛おしくて、私はもっと強く抱きしめたい衝動に駆られていた。
でも、華奢な少女の身体ではそんなに力を入れてしまったら壊れてしまうかもしれない。
「どうしたの?」
私の反応がなかったことが気になったのか、少女が問いかけてきた。
「何でもないよ。『』は抱き心地がいいね。」
「そう?えへへ、なんか嬉しいな///」
気をよくした少女は、より一生懸命に抱きついて来た。
抱き心地が良いとは、とっさに出た言葉だったけど、本当にこの子は抱き心地が良い。
私も少女をより強く抱きしめた。
少女が苦しくないように。でも少しでも少女を感じられるように。
抱きしめられた少女も、私に抱きしめられて嬉しそうだ。
顔は胸元に埋もれて見えないが、耳が真っ赤になっている。
そんな反応がとても嬉しくて、私は少女の頭をやさしく撫でた。
「ん~~」
これも気持ちが良かったのだろう。今度は脱力したように私に抱きついた状態でもたれかかってきた。
少女は完全に私に気を許してくれているみたいだ。
どうしよう。嬉しすぎてどうにかなってしまいそうだ。
でも・・・
「『』はどうしてそんなに嬉しそうなの?」
思わず、そんな言葉が口に出てしまった。
それでもやっぱり不思議でしょうがないのだ。
何のとりえもない私なんかと一緒に居るだけなのに。
どうしてこんなに嬉しそうなんだろうと。
「【】は私と一緒にいても嬉しくないの?」
少女が少し不安そうにそんなことを言ってきた。
「まさか!! 『』と一緒にいること以上に嬉しいことなんてないよ!!!」
「本当?」
「本当さ!!!」
「神様に誓って?」
「神様に誓って!!!」
「私のこと大好き?」
「『』のことが大好k・・・うぇっ!?」
あやうく告白させられそうになってしまった。
いや、大好きだけど!『』の事は大好きだけど!!
直接好きって伝えるのは恥ずかしい・・・
「ぶー。そこは”私のことが大好き!”って言うところでしょ~?」
『』はたまにこう言うところがあるから油断ができない。
まったく、本当になんで私なんだろうな?
「罰として、もっと私の頭を撫でてください!」
それ、罰ではなくてご褒美です。
「そんなことでいいなら喜んで」
私は止まっていた手を動かして、『』の小さな頭を優しくなでた。
やりたいことをやる。
その言葉通りのことを私は今やっている。
自分以外の相手が関わって、この言葉を実現できる日が来るとは思ってもみなかった。
「♪~♪~」
鼻歌交じりでとてもご機嫌な少女。
今は先程の向かい合った体勢から、よりくつろげるように体制を変えている。
私を背もたれに、二人で同じ方向を向いて座っている。
右手で少女の頭を撫でて、左手は少女に抱えこまれているような状態である。
目の前に広がる光景は、草木が春風に揺れる様子。
私の背には樹齢の長そうな、でもどこか温かい木が立っている。
でもそんなことはどうでも良くて、今はただこの少女の存在を感じていたい。
「スースー・・・」
いつの間にか少女は眠ってしまったようだ。
後ろからだと顔がよく見れないのが残念だけど、
でも気持ちよさそうに眠っているから嬉しさのほうが勝っているかな。
なんだか私も眠たくなってきた。
このまま一緒に眠ってしまおうかな。
それじゃ、おやすみ『』