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神殺しの勇者〜神殿貰って異世界制覇〜

作者: 天地 創造

息抜きです。けっこうコミカルな感じ。こう言うのにも挑戦の時期。


ふわふわとした、例えるなら海のような不思議な空間を、俺は漂っていた。ここがどこだか。そんなの分かるわけがない。何しろ、俺はつい何分か前まで教室にいたのだから。


リアルはそこそこ楽しかった。彼女は……いないけど。友達も多い……ってほどでもないけど。それでも、小さく群れて、好きなもので共感したりして。それなりに楽しかったんだ。


いつまで経ってもこの空間から出られる気がしない。天国への道なら、いっそとっとと連れてってくれ。


死んだという自覚はない。ただ、放課後の教室に座っていたら、ちょっと眠気がして、気づいたらこれだよ。なんなのよ。怒っちゃうわ!


いや、うん。怒るのはやめよう。ここはひとつ冷静に。あぁ。俺は出来る子だ。多分。とにかくここから出る方法を探そうじゃないか。


そう思って手を伸ばす。その瞬間だ。漂っていた身体が重力を感じ、脚がどこかの上に立った。俺は見知らぬ部屋にいた。


「…………きったね」


そう。その部屋は汚かった。そして狭かった。四畳半くらいの、キッチンなし押入れのみ。そんな汚部屋。

「はぁん?なんじゃ失礼な。転生させるぞクソガキ」


「…………はぁぁん?」


脅しになってない脅しをしながら、俺の目の前にどっかから降って湧いた人物。いや、正確には多分人じゃない。


俺は理解していた。この状況を。この展開を。最近よく見る。俺も好きだった。友達何人かと、合同で執筆なんかもした。


そう。これは異世界転生への第一歩である。多分。

「……誰?」


ひげもじゃの、なんかいかにも神様って容姿の人が聞いてきた。いや、それ俺のセリフな。


「……星峰昴」


「…………え?あぁ、マジかぁ〜。またやっちゃったかぁ〜。ごめんごめん」


なにやら一人で納得して、神様は頭を抱えていた。うん。わかるよ。きっと間違えたんだろ。知ってるから。勿体ぶるな。


しばらく杖抱えて落ち込んでたかと思ったら、いきなり神様は顔を上げた。そして得意げな表情になり、豪快な宣言を口にする。


「よし!これはワシが悪いな!それじゃちょっとまってな、えぇーっと……」


何やら床をごそごそあさり始めたクソひげじじい。俺は何をいうか分かってしまった。

それなら、止めるほかないだろ。


「まて!皆まで言うな神様よ!アレだろ?どうせ今から、『わしの手違いで死んだのは申し訳ない。だからせめて、別の世界へ転生させてやろう。チートアイテムも持っていけ』と、いい提案だ。あぁ。普通の陰キャならな!」


ここまで大声をあげたのはいつぶりか。体育祭とか、文化祭とか。そんなんじゃ全然盛り上がれなかった。


人生に悔いはある。チート持って、やり直せるなら大歓迎だ。でも、それはあくまで向こうの、俺が元いた世界でならの話。あいつらに会えなくなるんなら、アイテムもステータスもいらない。


俺が欲しいのはただ一つ。今まで通りの、変わらない日常だ!転生先のケモミミも、ハーフエルフも女騎士も興味はあるけど!


「だが断る!俺を元の世界に返してくれ!」


神様からの素敵な申し入れを、聞き終える前に否定する。さぁ、どうでる?受け入れられなかったのが不思議だろう。


泣きつくか。魔王を倒さないといけないのじゃ!とか。はん!断ってやるぜぇ!


「…………マジごめん」


だが、俺の予想に反し神様の反応は乏しかった。それはもう。悲しいくらいに。なんか、老人をいじめる高校生、な図が出来上がるくらいに。


「……なんかの、出来んのんじゃよ。わしが送れる世界は一つだけ。それ以外は管轄外じゃ」


「…………まじ?」


「まじもおおまじ。だからの……」


ふっ、と肩の力を抜き、がくっと項垂れる神様。あ、やべ。なんか罪悪感わいてきた。


いいのか?俺。わがまま言ってる場合じゃないんじゃない?これ、受け入れるしかないやつじゃない?


なんかじっと見ていたら、神様の肩が震え出して。同情して泣いてるのかな、なんて思って、ちょっと近づいて見たら……。


「諦めろクソガキぃぃぃぃ!!!」


「はぁぁぁっ!?」


いきなり持っていた杖を、俺に向かって振り周してきやがった。それも殺すくらいの勢いで。


このジジイ、俺を騙しやがったな。


「大丈夫じゃよ!痛くないから!ほら、この杖な、上の宝玉で叩くと転生、下ので叩くと転移する優れものじゃぞ!しかも今ならステータスもおまけしちゃう!」


「知らねぇよクソジジイ!はよ戻せ!」


「はぁぃぃ?じじいボケてて聞こえませぇん!お前いいからとっとと転生しろ!ゴッドカリバーの錆にするぞごるぁ!」


前言撤回。罪悪感なんて消え去ったわ。つか、そもそもこいつの手違いで死んだんだわ、俺。言い過ぎとかねぇわ。


ブチ切れて俺を転生させようとする神様と、それを拒んで神をなじる俺。罵詈雑言が飛び交って、しまいにゃ床の神器まで投げ合いになった。


「きれちゃった!神様キレちゃったからねコレ!お前転生したら、額に肉の印押してやる!」


「知るか!俺完全に被害者じゃん!なんで逆ギレしてんの?!」


「うっせぇ死ねぇぇぇ!!!」


ついに転生ではなく死ねとまで言って、神は飛んだ。それはもう、じじいとは思えないくらいの身体能力で。


華麗に飛翔した神様は、まるで高跳びの選手のごとき体制で、俺に向かって来て、杖を振りかざしてーーそして天井に激突した。


考えれば、この四畳半かつ高さ3メートルくらいの部屋で大ジャンプしたのが馬鹿だったのだ。


鍋のふたを落とした時のような、馬鹿でかい音を出し、白目をむいて地面に落ちた神様。やったと思った。少しスッキリした。


そして次の瞬間、俺の目は絶望に変わったのだ。


「やべっーー!」


それは、きっともっと早くに気づいていれば避けられただろう。俺がもっと接近戦をしていれば。神様がもっと、前に向かって飛んでいれば。


俺の目の前で進行していた大事件。それは神杖が神様に向かって落ちていたことだった。それもちょうど、転生の方を向いて。


焦った。思い切り床を蹴った。だけど貧弱な俺の身体じゃ、その刹那の瞬間には追いつかなかった。


神杖が神様の身体に当たる。その瞬間、まばゆい光とともに神様の身体が粒子になって消え去った。それはもう、跡形もなく。


残ったのは、呆然と宙を眺める俺。そしてからんからんと落ちた杖。さらに、無数の神器に埋め尽くされた部屋だけだった。


「…………やっべぇ、やっべぇ……」


俺は壊れたロボットの如く、同じ言葉を繰り返す。だってマジでヤバいんだもん。どうすんの?コレ。大丈夫なの?俺。


神様が消えた床の上を触ってみるが、そこは普通の畳だった。なんの変哲も無い。あ、ちょっとシミあった。これ醤油だわ。あいつ雑そうだもん。色んなもんこぼしてんじゃねぇよ。


いやいやいや、違うね。俺が今考えるべきなの、畳に染み込んだ醤油の取り方じゃないよね。漂白剤探そうとなんてしてないし。断じて。


とりあえず、何か解決策はないかと部屋を粗探ししてみる。も、全くそういうのはない。なんか説明書的なのとか、本みたいなのとか。


完全に途方に暮れてしまった。これならまだせめて、神様に転生させてもらえばよかった。そして条件つければ。例えば、魔王倒したら担当者に会いに行かせろ、とか。


「…………神様なら、知ってるよな」


だが、その頼みの綱ももういない。あぁ、短気なのかな?俺。いやいや、アレは神様がおかしいよ。


普通、こう言うのってもっとさ、なんかさ、丁寧なんじゃないの?つか可愛い子がやってんじゃないの?なんで俺はじじいだったの?美少女でおっぱい大きかったら、誰でも協力するわ。


窓の外を見ても、そこには雲海が広がってるだけ。何もない。つまらない。


戻りてぇなぁ。今頃みんな何やってんだろ。何時くらいだ?夜なら小説書いてるか、オンラインゲーだろうな。あ、MMORPGの世界になら全然いいかも。俺だけ電子世界で、現実世界のあいつらと協力して戦うとか。やべ、これ大作の予感。


とかそんな事を考えて、ぼけっと座って机の上をぼんやり眺める。神杖は相変わらず傷の一つも付いてない。周りの神器をちょっと手にとってみる。すると、使い方が頭に流れ込んできた。


俺が今持ってる斧。名を【万砕千斧】というらしい。一振りで千の斧が飛び、あらゆる盾を断つのだとか。


……はい。だから何ですか?確かにこれ持ってりゃ異世界なんて余裕でしょうな。えぇ。それが剣と魔法の世界ならなぁ!でもここじゃ何の意味もない。せいぜい野菜切るのに使うか使わんかくらい。


これ以上調べるのも面倒くさくて。何よりそんな事意味がなくて。だからまた机に目をやった。その瞬間、俺の頭に一つの仮説が浮かび上がった。


「…………神様って、転生すんの?」


神様が異世界行くなんて、聞いたことが…………ある。結構ある。つか俺も書いたわ。駄作だけど。


そう、古今東西、神様が転生するのは珍しい話じゃない。なんで俺はそれを思いつかなかったんだ。


淡い期待を胸に抱き、恐る恐る神杖を手にとって情報を読み取る。


神杖、俺が勝手にそう名付けた杖の真名は【全能の杖】動物神仏、その他あらゆるものを、異世界送りにする杖。ステータスの設定も可。


キタコレ!頭に情報が流れてきた瞬間、俺は飛び上がって叫んでいた。


「なら、俺も行って、神様拾えば……」


降って湧いた希望。さっきまで動かないボロ雑巾みたいだった俺が、今は新品の最高級品のように飛び跳ねていた。頭おかしいんじゃねえかと思われるくらい。

一旦落ち着いて、先の流れを確認する。


俺は異世界へ行き、神さまを探す。神様の言っていた異世界転生が、俺らの基準と同じなら記憶は継続しているはずだ。だから俺を見ればわかるはず。


これまでの知識が潮を吹き、脳が八ビートのリズムを刻む。行ける!行けるぞ!ステータスをいじって、レベルカンストで転移すれば。転生は嫌だな。生まれた時からだと、ちょっと時間かかりすぎるし。


そうとなれば話は早く、俺は杖を持って立ち上がる。だが、ふと一つの不安が。仮にステをいじったところで、俺がモンスターや魔族なんかがひしめき合う世界で生きていけるのだろうか。多分神様の口ぶり的に、絶対危険な世界だ。魔王軍とかがいたりして、人がバシバシ死ぬくらい。


ここに帰ってきてないということは、転生した神様はまだ無事だろう。死なれたら困る。つか、俺死んでも困る。


どうしようと考えて、思いついてしまった。チートもチート。これまでにない極上のやつを。


「……クラス転移ならぬ、部屋ごと転移か……」


そう、簡単な話、ここにある部屋ごと転生すればいいのである。潤沢な神器を持ってれば、多分死ぬことはない。


できるかできないかわからない。でも、やって見なくちゃわからない。


杖をかざし、それを床に思い切り振り下ろすーー。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……成功、だよな?」


一瞬の光の後、俺が目を覚ますとそこはもう異世界。と言うことはなく、まだ部屋の中だった。まぁ、当たり前だよね。部屋ごと行ったわけだしね。


まず手始めに状況確認を。そう思って外を見る。


無限に広がるような空と、どこか懐かしいような雲の色。間違いなく日本じゃない。そう思えた。そして目を落とす。絶望した。


「……うそだろ……」


そこには大量のモンスターが湧いていた。なに?俺初期リス地点が湧き地なの?そこらへん考えてくれなかったの?


スライムと思しき丸くて可愛いそれは、やんちゃにも部屋をげしげし攻撃して。なかなか壊れない家に腹を立てたのか、みんなが一丸となって、つか本当に集まって、巨大なキング的なスライムになった。


「……やばくね?」


体重200キロとかありそうなそれは、俺を確実に踏み殺すために助走をつけて。走ってきた。


なんなの?この世界、そんな人間嫌われてんの?普通もうちょっとーー。


心の中でツッコんでいても、スライムは止まらない。


やばい。俺の危険信号がそう告げた。神様の部屋。頑丈さはどうだ?不安だ。だって主がアレだから。


迫り来るスライムに、生まれて初めて恐怖を覚え。咄嗟の判断で、俺は近くにあった神器に手を伸ばしていた。


神器【ゲイ♂ボルグ】雄へのダメージが二倍になる、一撃必中の槍。投げると戻ってくる。


最悪だ!そう思いながらも、俺はそれを投げていた。ガラスを簡単に突き破り、待機を切り裂き、槍はスライムを貫いた。


がっぽり大きな穴を開け、一撃で絶命させてしまう。勝手に手に戻ってきて、ちょっと格好つけてくるくるしてみた。


「……こりゃ勝てるわ」


初めて神器で敵を倒し、出てきた感想はそれ。だってずるいもん。


スライムの残骸が消えると同時に、頭の中で音がした。レベルアップの時のような。でもステータスの見方分かんないし、そもそも字読めないし。だから無駄なことはしない。


俺がすべきなのは、神様を見つけ出すことだ。


家の外に出て、周りを気にしつつ息を吸う。澄んだ空気が肺に入ってきて、なんかめっちゃ気持ちいい。これが異世界か。


憧れの地の一歩。それは小さくて、でも俺にとっては大きくて。昔のことを記憶の隅に残して、俺は進む道を決めた。


「……どうすっかな、これ」


背後を振り向き、ちょっと思考停止。四畳半とはいえ、持ち運べる大きさじゃない。でも置いてけない。


「なんかないかなー」


神様のところなら、きっとなんかある。そんな安易な考えで、俺は部屋を探した。そして見つけた。都合のいい神器を。


神器【五次元袋】なんでも入る袋。出すのは本人の意思で。


危ねぇ危ねぇと思いつつ、神器全てをそこに放り込む。使えそうな服一式と短剣だけ装備して、いかにも初心者冒険者といった格好になった俺。ちょっと自分に酔いそう。


最後に家まで袋に詰めて、さぁ始めるは異世界ライフ。街がどこかは知らないが、適当に歩いてれば着く。とりあえず川を見つければ一安心。


そう思って、ピクニック感覚で草原を歩いていた。異世界と言っても、全てが敵対してくるわけじゃない。鳥とか虫とかは普通だし、むしろ可愛いし。


そうやって歩いていると、誰かの叫び声が聞こえた。女の子で、多分若い。


今の俺は最高に調子に乗っている。だから行かないはずがなく。気づけば、速攻で声の方へ向かっていた。


「誰かぁぁ!!」


目標を視認。どうやら魔物に襲われてるよう。

必死に駆けつけて、そして俺は言った。


「安心しろ。俺が君を助ける!」


予定なら、ここで助けて惚れられる予定。だって簡単だろ?ん?異世界はハーレムって決まってんだよ。

下心満載で、結構格好つけて。女の子とモンスターの間に入り込む。敵は体長2メートルほどのオークと、ゴブリンの群れだ。うら若き乙女を襲うとは。万死に値する。


五次元袋に手を突っ込んで、そこにあったのを手に取った。瞬間、オークたちがうねり声を、あげて突進してきた。だが焦らない。俺は手に取ったその神器を知っているから。


「喰らえ!ゴッドカリバー!!」


眩い光とともに、剣を引き抜き振り払う。爆音と荒れ狂う風とともに、オークたちは完全に消滅した。


三秒溜めれば地を切って、六秒溜めれば海を裂いて、九秒溜めれば天を絶つ。それが神器【ゴッドカリバー】だ。


「……大丈夫?」


剣を袋に戻して、少女の方を振り返る。戦慄した。


俺と同じくらいの歳の人。だけど顔は良すぎるくらい。芸能人とか、そんなの比べ物にならない。銀色の髪はさらさらで、碧い眼は吸い込まれそうで。神の芸術のような四肢は、どこを見ても完璧で。


そんな美少女が、俺の前にいた。


「……あ、ありがとう、ございます」


深々と頭を下げ、少女は礼をあらわに。その仕草も可愛かった。うん。百点。


「……強いですね。すごい」


「いろいろ守るために、結構鍛えましたから。それであなた助けれたし、なんか、僕も嬉しいです」


嘘だ。ははん。さあこいチョロイン。俺は否定なんかしないぞ。でも安易に手を出さないぞ。ハーレム築いて、じじい見つけ出して。それまでは好きにしたっていいじゃない。


俺のキザな台詞にあてられたのか、少女は手を取った。冷たい。柔らかい。最高。


「……あの、俺、冒険者してて。この国来たの初めてで、国探してるんですよ。良かったら連れてってくれません?」


「…………クレティアです」


「……スバルです」


なんか最高の出会い果たしちゃった系だろうか。うん。そうに違いない。きっとこれから街へ行き、ギルドへ登録し、英雄ともてはやされるんだ。そうなりゃじじいの耳に入るのも早かろう。


クレティアはまだ俺の手を握ったまま、下を向いたまま肩を震わせていた。泣いているのだろうか。きっと、見られるのが嫌なんだろう。


「……安心してください。何があっても、絶対守りますから」


はい来たよこれ。完璧じゃない?


俺が爽やかに、無駄に格好つけてそう言うと、クレティアはより一層肩を震わせてた。ふるふると。小刻みに。そして次第に大きくなって、遂には噴き出した。


「ぶぇっへっへぇ!!ばっかでーい!守ってやるよ、だぁ?はぁん?人の神器勝手に使いやがって!何が鍛えましただクソガキぃぃ!」


一瞬理解できなかった。けど、妙にイラつく「はぁん?」で気づいた。気づきたくなかったけど。


はっきりと顔を見る。すると、クレティアの額には堂々と肉の紋章があるではないか。マジかよ。


「……惚れた?なぁ?ワシに惚れた?旅始まったと思ったじゃろ?はぁん!はぁん!甘いわボケェ!」


顔に似合わない言葉遣い。汚ねぇ言動。もう分かっていた。こいつが、じじいの転生した姿なのだと。


「…………死ねじじい!」


見られた!聞かれた!恥ずかしい!死にたい!でも殺したい!


「……まぁ、冗談はさておき、お前も来てしまったのか」


「お前復活させれば、担当の人に会いに行けるかと思ってな。思ったより早くあえてよかったわ」


もう、あれだ。切り替えてこ。じゃないと死にたくなる。なんかじじいも妙に真面目だし。


「そうか……。それはすまんの」


「いや、俺が戻るためだし」


「……だが、ワシが黄泉返るためには魔王の討伐が必要じゃ。そう世界に定められておる」


「……いけるだろ。神器もあるし」


「……ワシは宿屋で看板娘を……」


「一緒に来いよ?」


「……くぅ。仕方ない」


じじい言葉の美少女と、チートを持って来た高校生。こんなので世界が制覇できるほど、異世界は甘いのだろうか。


そんなのはどうでもいい。俺が求めるのは、生きて元の世界に帰ること。だから魔王も他もすぐぶった切って、一瞬で終わらしてやる。


新緑が香る異世界の春。一人の勇者が、世界に落とされた。



いかがでしたか?続きは神様への信仰心で決まります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 天地さんの異世界ものにしては、とても読みやすかったです。こういうのも書けたのですね。 コミカルな感じが、とても天地さんらしいと感じました。 [気になる点] クレティアがどうやってこれまで生…
[良い点] 私は今まであまり異世界へ行くものは読む機会がなかったですが、このくらいの長さだと手軽に読みやすくて良いですね。
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