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第6話 穏やかなひと時

ストック尽きた。

「お待たせしました」


エリディナの声がかかりそちら向くと、何枚かのお皿とボウルを持ったエリディナが立っていた。

エリディナの持っているお皿からは湯気とともに香ばしい香りがしてサクヤはゴクリと喉を鳴らす。


「エル・フーロのステーキに生野菜の盛り合わせ、スープにパンとお飲み物になります」


ほとんど音を立てずに置かれたお皿の上にはボリュームたっぷりのお肉に添え物としてイモ?が乗っていた。

お肉からは肉の焼けた香ばしいいい香りが立ち上っており、サクヤの鼻孔をくすぐる。

生野菜の盛り合わせは少し大きめのボウルにニンジンっぽいものやレタス、パプリカ、トマトに似たもので構成されておりその上から自家製のものと思われるドレッシングがかけられている。

スープは少し黄色がかった色をしておりこちらからもいい香りがしてくる。

パンは黒いパンで固そうな印象を受けるが、スープに浸して食べるのだろう。

最後に飲み物はりんごジュースみたいな色をしていた。


「サクヤさんのお飲み物はリルーネの実をジュースにしたものです。カナエさんのお飲み物は同じくリルーネの実を発酵させてお酒にしたものです」


サクヤが飲み物に鼻を近づけて匂いを嗅ぐ。


「わ、甘いいい香りがする!」

「ふむ、これはいいのう…」


同じようにカナエもグラスを持って匂いをみていた。その持ち方はまるでワインを吟味するようで様になっていた。


「では、ごゆっくり」


そう言うとエリディナは席を離れて行った。

エリディナがいなくなった後、どちらがともなく手を合わせ、小さく「いただきます」と言うと食事が始まった。


「サラダを取り分けるがサクヤはどのくらい欲しいのじゃ?」

「最初は小皿一杯程度で」


カナエが慣れた手つきでサラダを取り分ける。

サクヤは小皿に分けられたサラダをカナエから受け取るとフォークで野菜を突き刺し、口に運ぶ。


「…美味しい。酸味の効いたドレッシングがシャキシャキとした野菜の食感と相まってとても美味しい」

「ふむ…おぉ、かかっているのはルコルのドレッシングかのう」

「ルコル?」

「独特の酸味を持つことで有名な実じゃよ。そうじゃな…地球で言うと青じそのドレッシングが近いかのう」

「確かに!そんな味がします!」


もきゅもきゅ、と口いっぱいに野菜を含みほおを緩める様は誰がどうみても子供だった。

サクヤは口の中の野菜を咀嚼し終えると次はナイフを持ちステーキを切り分ける。


「わ、軽くナイフを押し当てただけで切れた!」

「エル・フーロ、森牛と呼ばれる比較的温厚な魔獣の肉じゃな。柔らかい赤みが特徴の牛じゃ。この辺りでは割と食べられておるのう」


サクヤは切り分けたステーキにフォークを突き刺すとそのまま口に運ぶ。


「ん〜!お、美味しい!!僕こんな美味しいお肉食べたの初めてかも!」


美味しい、と言うサクヤの姿を微笑ましそうにみた後カナエもステーキを切り分け自らの口に運ぶ。


「ふむ…ほお、肉の上に何かかかっておると思ったがなるほどピルエルじゃのう」

「ピルエル?」

「酸味と辛味を兼ね備えた実じゃな。よく肉料理などのソースに使われておる。そうじゃなレモンペッパーと言ったらわかりやすいかの」

「牛タンとかにつけると美味しいですよね!」

「そうじゃな」


サクヤは喉を潤すためリルーネのジュースを口に含む。


「ん?これってもしかしてりんご?」

「ん、確かにりんごに近い風味じゃのう」


カナエもリルーネのお酒を飲みそんな感想を述べる。


「この実でりんごのタルト…いや、リルーネのタルトとか作れそうですね!」

「そうじゃな、材料が手に入ったら作ってみるかの?」

「うん!」


リルーネの実を使いりんごタルトもどきを作ろうなどと和やかに談笑しながら食事の時間は過ぎて行く…

今回出てきたものの解説。


エル・フーロ

別名、森牛と呼ばれる魔獣。

比較的温厚でその肉はよく食用に使われる。

ギルドの常駐依頼として貼られており、その肉はとても柔らかく美味しい。


リルーネの実

爽やかな甘みを持った果物。

ぶっちゃけるとりんご。

その実は丸い形をしていてオレンジ色をしている。


ピルエルの実

よく使われる香辛料の一つ。

独特の酸味と辛味を持つ。

肉料理と相性が良いのでしばしば肉料理のソースとしてこの実の果汁が使われる。

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