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俺と私の公爵令嬢生活  作者: 桜木弥生
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48話 俺と私のライバル宣言④

 開始時には150人近くいた参加者は、第一試合で50~60人まで絞り込まれる。

 第二試合で20~30人に。そして第三試合で準決勝に上がれる10名が選ばれる。

 採点方式だから、準決勝までは何人という縛りはないし、負けたからと言って落ちるわけでもないから、実際の人数はまちまちだ。

 ちなみに今回は第一試合で60名近く残ったらしい。


 俺はというと第二試合もなんとか残った。

 第二試合の相手は、先の試合をたまたま見ていたらしくて開始前に「おまえなかなかやるなー」と褒められ、相手もかなり強くて三分じゃ勝敗が付かなかった。

 そして俺もその相手も、二人とも第二試合に合格していた。


 そして次は第三試合。

 気合を入れ直して木刀に滑り止めの粉を塗る。

 第二試合が最後の方だったもんだから、手と木刀に付いた汗で滑ってしまう為、専用の滑り止め粉を塗る事を許可されている。


「ユーマ・キリター、前へ!」


 手に付いた余計な滑り止め粉を叩き落して木刀を握りなおす。

 呼ばれた戦闘場に行くとすでに対戦相手は準備を終えて待っていた。


「……よろしく頼む」

「あ…よろしく…」


 あー…相手はヒース王子かぁ……

 さっきの事があったせいかめっちゃ睨んでくる。大丈夫だって。サラは俺のじゃないから!ってさっき言ってやればよかったと今更ながらに思いついた…


「では第三試合を開始する。始め!!」



 開始の合図が終わったと同時に真っ直ぐ突っ込んでくるヒース王子。俺の正面まで来ると勢い良く木刀を振り下ろしてきた。

 ガッと鈍い音をさせて木刀で受け止めた。けど、めっちゃ重い!!

 第二試合でも思ったけど、やっぱり男と女の力の差って結構出るもんで、相手の攻撃を受けるのに両手じゃないと受けきれない。

 そのせいで、身体を少しずらして、受けた木刀を斜めにして滑らせて落とすしか次に繋げる方法がない。

 体力勝負でも負けるから、ずっと受けたままとか土台無理な話だし。


 木刀を滑らせて落とし、少し距離を置こうと後ろに飛んでみてもすぐに体勢を立て直して木刀を振り下ろしてくる。

 それも受け流して、そのまま横薙ぎに木刀を振るも、後ろに飛んでかわされた。


「……の……の座は、俺の物だ!!」


 またすぐに突進してくるヒース王子。って、今何か言ったようだけど後半だけしか聞こえなかった。

 後半だけで推測すると「サラ嬢の恋人の座は俺の物だ」かな?


「まてまてまて!違うって!俺とサラはそんなんじゃねぇから!」


 馬鹿の一つ覚えのように振り下ろされる木刀を避けながら、訂正するも「問答無用!」と剣を再度振り上げてきた。つかこれしかしてこないのかコイツは!?


 流石にワンパターン化した剣筋に目も慣れた。

 避けつつ反撃を繰り返していく。


「くっ…流石あの方の見込んだ男だ…でも俺が勝つ!!」


 あーもー…熱血男とかマジでめんどくせぇえええ!!!



◆◆◆◆◆


「止め!!それまで!!」


 ストップが掛かったのは、体力馬鹿と何度も打ち合いした後だった。

 俺もヒース王子もぜぇぜぇと肩で息をし、木刀を下ろした。


 最後の方は俺の方が押してたから、もうちょっと終了の合図が遅かったら勝ててたかもだけど、結局それは仮定でしかない。

 もしかしたら体力負けのが早かったかもだし。


 ヒース王子も同じように思ったのか、服の袖で汗を拭うと右手を出して来た。その顔はどこかすっきりとした表情で笑みが浮かんでいる。


「良い勝負だった。決勝でまた戦おう」

「おう」


 俺も左手の甲で汗を拭きながら右手を出して握手をして、にっと唇の端を上げて笑ってやった。


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