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俺と私の公爵令嬢生活  作者: 桜木弥生
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42話 俺と私の秘密の花園⑥

 初めは自己紹介。そして息子である王子達の自慢から始まって王子達の悪い所を上げていき、そのうち自分や王子達の好き嫌いの話。旦那である国王の惚気話。最新のファッションの話。好きなお菓子の店と会話がころころと変わっていく。


 あまりにもころころと話題が変わりすぎて「はい」「そうですわね」「えぇ」くらいしか返答できないのは仕方ないと思うんだ。


 女三人寄れば姦しいとは良く言ったもんだ…


 そして女っていうのはいくつになっても少女みたいな所があるんだなーと。

 国王の惚気話をしている時の王妃様方は全員、まるで恋をし始めた頃の初々しい少女のように頬を染めてうっとりした瞳で話してたし。

 恋すると女はみんなこんな風になるのかな…


 正直、中身が男の俺にはわからない感覚だ。


 すでに俺抜きで話しているお三方。それでも一応唇の端だけ上げるだけの簡単な笑みでいかにも『お話聞いてます』の体でほとんど聞き流していたら、城の正門側の通路から近付いてくる二つの足音がした。


「こちらにいらっしゃったんですね」

「リサ母様、ちょっと…あ……こんにちは…」


 現れたのは真っ白な詰襟の服に同色のズボンで微笑むキース王子。

 その後ろに続いて来たのはムツキ王子で、茶色のだぼっとした服を着ている。そして俺に挨拶するなり瞳が潤み始めた。


「ムツキ。王家の者が礼儀を知らない等と言われますよ」


 今にも泣きそうなムツキ王子に叱責したのはリサ様。

 さっきまでのほんわかした雰囲気は消え、母親が子供を叱りつけるように厳しい視線でムツキ王子を見た。


「あ……グレイス公爵令嬢…この度は…ご婚約…おめ…おめでとうございます…っ…失礼しますっ…」


 リサ様の言葉にビクっと身体を大きく揺らすと、俺に祝いの言葉を最後まで言って、遠目から見ても見えるくらいの大きな涙をぼろっと溢すと、ムツキ王子は今来た道を走り去ってしまった。

 これは…追いかけるべきなのか?…いや、俺はヒロインではないし追いかける必要はないよな?…

 ゲーム内にもこんなイベントあったけど、その時にこの場に居たのはサラだった。

 そして泣いて去るムツキ王子を追いかけて慰めるのがムツキルートだったはず。

 どうするべきかと王妃様方を見ると、リサ様が溜息を付きながら席を立った。


「ちょっと失礼致します。アンリエッタ様、ごめんなさいね」


 ナニに対して謝られてるのかわからないけど「いえ。お気になさらず」と微笑んでおこう。

 席を立ったリサ様はムツキの後を追うように歩いて行った。


「で。貴方は何をしに来たのです?」


 残されたキース王子に不快気に声を掛けたのはアイリス様。


「愛しの姫君に会いに来ました」


 …どうしよう…めっちゃ砂吐きたい…


「噂通りアンリちゃんに骨抜きなのねぇー。愛ね!」


 隣で領頬を押さえてきゃっきゃと嬉しそうに言わないで下さい。ミランダ様。


「会いにって…今日は一日中、グリディスタの執務補助じゃなかったかしら?」

「休憩くらいさせて下さいよ。アイリス母上」


 訝しげな眼差しで指摘するアイリス様に飄々と返しながら、居なくなったリサ様の席に座るキース王子。


「そこはリサの席です。勝手に座ることは許しません。それに、休憩の間と言っても、執務室からここまでかなりの距離があるはずです。グリディスタは…王はご存知なのですか?」


 眉間に皺を寄せながら、手元にあった扇を開いて口元に寄せ、不快そうにキース王子を見やる。叱られたキース王子は「失礼しました」と席を立って俺の横に…って何でさらっと手を握ってるんだこいつは!?


「父上の許可も頂いています。アイリス母上。せめて、贈ったドレスを着てきてくれた婚約者を褒めるくらいはさせてくださいよ」


 苦笑しながら握った俺の手の甲にそっと口付けた。

 拭いたいけど、それやったら失礼だよなぁ……アイリス様とミランダ様はガン見してるし…


「とてもお似合いです。やっぱり貴女には青いドレスが良く似合う」


 うっとりと見詰められても返答に困る。

 確かに、キース王子の見立てだけあって、センスは良い、らしい。

 らしいっていうのは、俺にはドレスのセンスなんてわからないから。

 うちの母様とメイドさん達がめちゃくちゃ誉めそやしてたから、『そうなのかー』くらいにしか思ってなかった。


「ありがとうございます。殿下」


 まぁ、一応礼言っとくかーと軽く瞳を伏せるだけのお辞儀で礼をする。

 ってか、手掴まれてるからコレくらいしか礼ができないんだ。

 

「そのドレスはキースからだったのね」


 そして隣から聞こえる小さな溜息が二つ。

 まるで残念な子を見るように見ている王妃二人に、思わず首を傾げる。


「センスはいいんだけど、まだまだよねぇ…」

「グリディスタもセンスは皆無ですけど、それよりはマシだけれども…」


 はぁー…と大きな溜息を付く二人の王妃にきょとんとした顔をしているキース王子。そして俺。


「昼の茶会で濃紺はないわぁ」


 ミランダ様の言葉にうんうんと何度も頷くアイリス様。


「ミランダならどうします?」

「私ならそうねぇ…濃紺にするなら、白とか明るめの色のショールを合わせて贈るわね。プレゼントされた服なら、それを隠すようなものは自分では選べないもの。まぁ、まず、昼間の茶会だから、もっと明るい色にするわ。アイリスは?」

「そうね。アンリエッタ様は大人びた顔立ちをしているけれどまだ若いのだから、もっと明るい…すみれ色とかかしらね。もしくは黄色とかピンクでも似合いそうだわ。パステルカラーがいいわね」


 うん。なんかわかんない話になってきた。

 ちらりと横を見ると、笑顔が引きつっているキース王子がいた。

最近、私事と病気の為に投稿が遅れております。

現在もまだ体調が芳しくなく、少しづつ書いている状態です。

その為、暫くは投稿を不定期とさせて頂きたいと思っています。

楽しみにして頂いている方には大変申し訳ありませんが、宜しくお願いいたします。


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