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俺と私の公爵令嬢生活  作者: 桜木弥生
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13話 俺と私のお茶会をいたしましょう②

本日は2話投稿になります。先に12.5話がありますのでそちらから読んで頂けると幸いです。

 兄様の行動に全員がフリーズして、暫くしてから執事のクロムと兄様付きのメイドとメイド長のセイラ、そして俺付きのメイドのユーリンの四人がまず先に動き出し、慌てて応接間へ向った。

 それを見て、俺と母様と父様は交互に顔を見合わせる。


「えーっと…とりあえず私は応接間に行きますが、お父様とお母様は如何なさいます?」


 今日はサラを『見たいから』という理由で呼んだ為、すでに見る事ができて目的を果たした両親にこの後の予定を聞く。

 父様は王宮務めの文官だ。しかも現宰相の右腕と言われ、次期宰相候補との声も上がっている程の。

 そんな忙しい立場の父様が午後も休みを取れるとは思えなかった。半日の休みだけでも奇跡なのだ。

 そして母様はそんな父様を支えるべく侯爵領の管理をしている。

 なので、家にはいるものの大抵は邸内の母様専用執務室で机に向っている事がほとんどだったりする。

 だから通常なら二人とも『娘の友達を見たいが為』で家にいる事はないわけで。って言うか、いちゃだめだろ。仕事しろ。


「うむ…とりあえず挨拶もしたし…城に戻って今日の書類だけでも片付けてくるか…」

「そうですわね。わたくしも先日の公爵領地の大雨の被害状況とその対策の件がまだ残っておりますから執務室に戻りますわ」


 俺の心の声が聞こえたのか二人は自分の仕事へ戻る事に決めたようだ。


「いってらっしゃいませお父様。

 何かありましたらお呼び致しますわお母様」


 仕事に向う二人を笑顔で送り出すと、俺はサラの待つ応接間へ足早に移動した。



◆◆◆◆◆


 応接間の前に着くと、早歩きをしたせいで若干乱れた息を整えるように深呼吸して部屋をノックする。


「大変お待たせいたしました。リーバス様」


 出入り口で並ぶクロムとメイド達にドアを開けてもらい中に入ると、応接間にいるであろうサラに声を掛ける。出入り口からは来客用のソファが背を向けた形で置かれている為来客者が誰かは見えないようになっている。

 すると俺の挨拶に慌てたようにサラは来客用のソファから勢い良く立ち上がり、こちらに顔を覗かせた。その顔は上気して真っ赤になっている。

 と、その正面に座っていたらしい兄様は座ったまま笑顔でこちらに手を振っている。


 ん?…もしかしてこれ、二人きりだったんじゃね?…


 通常は中で給仕やらするメイド達とクロムは、俺が来たときには全員外にいた。

 ってことは、兄様とサラは二人きりだったって事で…


「…お兄様………不潔ですわ」


 婚約もしていない男女二人が同じ部屋にいて、しかもドアを閉めてという事は、所謂『逢引中』という事になる。

 そしてその片方であるサラに至ってはデビュタントもまだの未成年扱い。

 はい。ロリコン犯罪者確定ですね!兄様!!


 俺の発言に兄様は顔を真っ青に染め、呻きながら胸元を抑えて…あ。倒れた。

 俺の心の恋人に手を出した罰だ。


 倒れた兄様は放置してサラに微笑み掛け、先程兄様がやったように左手を差し伸べる。


「折角客間に来て頂いて申し訳ないのですが、父と母は仕事がある為席を外しましたので、宜しければ私の部屋でお話しませんか?サラ・リーバス様。二人きりで。」

「えぇ。喜んで。アンリエッタ・グレイス様。二人きりで。」


 フルネームで呼び、俺の部屋への誘いをする。

 そしてそれに対してサラは俺の意図する事が判ったらしく、しっかりと頷いて俺の手を取った。


 これで俺は確信した。


 この『サラ・リーバス』も『転生者』だ。


 ゲームでもこのシーンはあった。

 ゲームではアンリエッタに部屋に誘われたサラには選択肢が出て、片方は『私がお部屋に失礼するなんて』と身分を弁えて断る選択肢。

 もう片方は『えぇ。喜んで』とはあるものの、それを選ぶとサラの思考会話が出て『やっぱり失礼だし…』と、結局部屋には行かないという選択肢。

 結局どちらを選んでも部屋に行くという選択はできない。

 けれどそれは『ゲームの中のサラ』だ。

 今目の前にいる『サラ』は『部屋に行く』という選択をした。

 目の前のサラが転生者でなければ、選べない選択肢。


 大体、初めからして目の前のサラは『ゲームの中のサラ』として多々おかしい所があった。


 この世界があくまで『ゲームの中の世界』だとしたら、サラは取扱説明書にあった通り『深窓の令嬢』だったはず。

 確かにゲーム内でもサラにアンリエッタは助けられるが、挫けそうになる心を奮い立たせて、瞳に涙を浮かべながらもアンリエッタの手を引いて逃げたはずのあの場面では、目の前のサラは嬉々として走っていた。

 そしてこの世界ではあるはずのない空手の技やプロレス技を駆使して男達を倒した。

 ずっと男爵領にいた為に大人しく礼儀正しいサラは、自分から目上の相手に『お友達になって』なんて言わない性格のはずで、しかも『鍵』の事はゲームの中では一切出て来なかったのに何故か拾っていた。


 そして一番俺が転生者だと疑いをかけたのは、逃げるときのあの台詞。


『さぁアンリ様、あいつらが起きてこない今の内に逃げましょう!』


 そう言ったサラ。

 あの時には違和感はあったものの走っていて考える余裕がなかったからスルーしていたけど、あの時にはまだ俺の名前は明かしていなかったし、髪型も変えたばかりで『アンリエッタ』だと判ることはできなかったはず。

 けれど俺を『アンリ様』と愛称で呼んだ。

『ずっと男爵領にいたから友達はいない』のなら俺の名前すらわからないはずなのに。

 あの人攫いの連中ですら俺が、自分達が探している『アンリエッタ・グレイス』だと判らなかったのに。


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