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 西暦2035年、日本政府は長野県に隔離命令を発令した。


 隔離されていた長野県民は苛立ちを覚えていた。なぜ長野県民だけ隔離されないければいけないのか、それに、隔離される理由がない。長野県民だけ個人色(髪の色、目の色、爪の色、外見の変化など)に異常が起きていないからだ。


「また政府の通知、お年寄りが10人隔離地域外に連れてかれたんだって。」


 緋里は、自分の端末「デフロイド」を見て愚痴をこぼす。


「緋里、その情報は古い。お年寄りだけでなく隣の附属中学の女子生徒が2人連れてかれてる。そのあとに、遺体として発見されたそうだ。」


「誠は情報が早いね。でもどうやって情報もらってるの?私のデフロイドだって最新型よ?」


「俺の知り合いに情報屋がいるからな、そいつからもらっている。」


「ふーん」


 こんなやり取りをしながら俺たちは次の授業を受けに行った。こういう生活は地震前と一緒だった。ただ、一箇所以外は…


「今日の授業はここまでです。各自寮に戻り、宿題に取り掛かりなさい。」


先生の合図とともに、クラスの人たちは寮に戻っていく。


「お姉ちゃんは、今日はお仕事いつ終わるの?」


「そうね。10時頃かな?」


「じゃあ私起きてるから、勉強教えてね!」


「本当に勉強好きなのねあなたは。」


「まあね。誠には負けたくないし。」


 そんな会話をし緋里も寮に戻っていった。それを確認した誠は立ち上がり、自分も寮に戻っていった。この学校の寮は少し特別だった。普通ならば男子と女子は同じ部屋にしない、当たり前のことだ。だが、ここは混合なのである。これは政府が決めたことでもあった。


「はぁ…」


自室の前に立ち誠はため息を吐いた。そして意を決して、扉を開けた。


「ただいま」


「お帰りなさい。あなた、ご飯にしますか?お風呂にしますか?それとも…」


 これなのだ。俺は結婚していない。する気もない。なのになぜなのだろうか。政府を訴えたくなってくる。鬱になりそうだ。


「じゃあお風呂にしようかな…?」


「ではお背中を…」


「いらん。頼むから、お風呂は一人にしてくれ…」


「わかりました。では、何かありましたら、言ってください。」


 夫婦制度、この制度が導入されてからこの状況なのだ。一部は喜んでいる。しかし、俺は嬉しくない。本当であれば…今頃は一人暮らしを決めるつもりであった。俺は政府が憎い。

 彼女の説明をしていなかったな。彼女はもんちゃんという。本名は知らない。というか誰も知らないのだ。まさに不思議ちゃんというやつだな。俺はお風呂を上がった。


「あなた、ご飯ができました。」


 彼女は何でもできるすごいやつだ。だが、彼女は決して笑わない。反応をしたとしても表情が少し変わる程度だ、だが積極性がなくて助かっている。


「ありがとう。それじゃあ、食べようか。」


「はい。」


 ご飯の時間はいつも早い。早いどころか5時だ。彼女は寝につくのが早い、体もすごく小さいのだ。だが、時間は寸分のズレもない。いつも5時だ。食べ終わるといつも俺を待っている。正直最初は耐えられなかった。もうなれはしたが、やはり顔を見られ続けるのはなれない。


「どう?おいしい?」


 彼女がこんな事を言うのは初めてだ。今は6月、2ヶ月も経っているというのにいきなり聞いてきたということは、きっと裏がある。ここで俺が取るべき選択は。

1、すごく美味しいよ。

2、なんだこのクソ不味い飯は、バツを与えてやる。

3、普通だな。

これしかないだろう。


「あぁ、すごく美味しいよ。ありがとう。」


 彼女は少し表情を緩くすると部屋に戻っていった。どうやら正解だったらしい。イマイチ感情を読めないがこんな生活が続く以上、仲良くしておいたほうがいいだろう。そのあと、俺はテレビを見て、洗い物、炊飯予約をして、布団に入った。今は9時だ布団が暖かい…彼女のせいだろう。感謝し、俺は夢の中に落ちていった。

 懐かしい夢を見た。


「誠。自然界で生きていくことはすごく難しいことなんだ。なぜだかわかるか?」


「わからないよ師匠。」


「いいか誠よ。お前が困難に陥った時に一番やってはいけないことそれはね…」


 俺は唇になにか当たる感覚で目を覚ました。体が非常に重い。息苦しい。鼻がこそばゆい。ゆっくり目を開けた俺は、そこには信じがたい光景が映っていた。


「おはようございます。」


 もんちゃんが顔を近づけていたのだ。しかし、彼女の唇は触れていない…


「もごもご…(何やってるの?)」


 もんちゃんは目を開いて顔を赤らめて部屋を出て行った。俺の布団の上には政府から支給されたであろう薬品が落ちていた…


「もんちゃん忘れ物してるぞ。」


 その言葉を聞きつけた彼女は、ものすごい速さで薬を取りに来た。そしてぺこりと頭を下げて自分の部屋に入っていった。現在時刻は5時だ。俺は完全に目が覚めてしまった。今日は俺が作ってやろうと着替え終わり準備をしようとしたらすでにご飯が出来上がっていた。もんちゃんが用意をしていたらしい。ご飯が暖かい。本当に彼女には驚かせられる。


「おはようございます。先程はすいませんでした。」


 ここで選択すべきは

1、ふざけんな、ファーストキスだったんだぞ!

2、気にしてないよ。

3、なにかあったの?

である。


「なにかあったの?」


「実は、政府から通達があったので…」


「それは俺に言えること?」


 彼女は静かに首を横に振った。


「そっか。それはやらないといけないことなの?」


「はい。」


「そっか。じゃあ、今度は俺にバレないようにやるんだよ。」


「そうします。」


 彼女も恥ずかしいのだろう。ここで俺がやっていいよといっても絶対にそうしない。だから次の機会を与えたのだ。その会話を終えて。今日も俺は、学校に向かう。

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