狭間話:キーラー承認式
黒斗がダインを追いかけたものの、途中で力尽き、倒れた後…
「リーダー、これは」
「ああ、うん。黒斗君だね。
ダインに任せたのが間違いだったかなぁ」
少年ぽさがにじみ出ているリーダー。
「とりあえず持っていきますか」
ズリーズリー……
「リヴァイアサン、引きずっていくのはやめようか。
さすがに黒斗君が可哀想だし、俺が抱えていくよ」
こうして、黒斗の顔などが汚れる事態が避けられた。
数分後。
「これより、新たなるキーラー、クロードの承認式を始める」
リヴァイアサンの声が大広間に響く。
「あ、リヴァ、質問いいですか?」
美しい金髪をひとつに束ね、凛とした空気の女性が手を挙げた。
その姿は、声などとは似つかわず、どこかでサバイバルをしてきたような格好だった。
「何?ケフィア」
リヴァイアサンが、女性……ケフィアを見ていった。
ケフィアの目は、リーダーに担がれている黒斗に向けられている。
おそらく、事情が理解できていないのだろう。
「その男の子は誰なのですか?素性を教えてください」
やっぱりそうだった。
「彼は、クロード。
本名は…あとで自分から聞いて。和の地の出身、特殊能力所持者」
それだけしかない、わずかな情報ではあるがケフィアは納得したようだった。
そして、彼女の次は、黒斗と同じ黒髪の少女がリヴァイアサンに言った。
「リヴァ姉さま、それは、本当なの?彼が和の地の…」
「そうだ。レイカと同じ和の地の子だよ」
「……そうですか」
レイカは、少し悲しそうな表情を浮かべていた。
「……。もう、質問があるなら、彼に直接聞いて。私だってわかってないの」
「「「「「はーい」」」」」
その場にいる全員の返事が響いた。
「特殊能力所持者であるからして、この彼をキーラーに…」
リヴァイアサンの声が響く。
「賛成の者は?」
「はいはいはーい!僕、歓迎しちゃうよ!」
「とりあえず認めとくよ」
「激しく同意」
「右に同じく」
決定した。
「了解した。ここに彼を、キーラーと認めます」