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黄昏の園  作者: シャオラン
エルーダとキーラー
3/15

連れ去られまして50メートル

傍からみたらおいしいだろうが、この現状はそんなもんじゃない。

少年は気絶しており、ロープでぐるぐる巻きにされていて、隣には絶世の美女といっても過言ではない女性が立っていた。

「リーダー、人間を捕まえました。外部の人間です」

女性が言う。

「……そうか。リヴァイアサン、ご苦労だったな」

「いえ、見回りをしていたときに見つけた産物ですので」

リヴァイアサンと呼ばれた女性は、奥から聞こえてくる若い男と思われる声と会話をしている。

彼女は少年と同じように、全身漆黒だった。

サラ、と美しいオレンジの髪がゆれる。

そこで、少年の目が覚めた。


「……いってぇ」

「「!!」」

2人は驚き、リヴァイアサンが少年に持っていた杭を突きつける。


「お前は何者だ」

「俺?俺はくr…」

「待て。お前が偽者・・の人間ならそう易々と名乗らないだろうし…

よし、ここにお前の名前を書け」

リヴァイアサンは杭を下ろし、近くにあったスケッチブックとペンを少年に渡した。

彼女の顔は、何故か嬉しそうだった。

「なあ、偽者の人間って…」

「いいから書け」

獲物をいたぶれる、そんな期待が篭もった目だった。


少年はスケッチブックに大きく、「黒崎くろさき 黒斗くろと」と書いた。

「はい、これが俺の名前」

「……リーダー」

「ああ、そうだな」

リヴァイアサンは少年…黒斗から乱暴にスケッチブックを受け取ると、奥の暗闇に持っていく。

「大丈夫、コイツは平気さ」

若い男の声がそう言い放った。

「そうですか…」

彼女の顔は少しだけ、悲しそうになった。



「なぁ、偽者の人間とか、俺が平気とか何の話な訳?」

黒斗は少しだけイライラしていた。

それはそうだ。

いきなりジャーマンスープレックスをかまされ、見知らぬ場所につれてこられた挙句、ロープでぐるぐる巻きにされてさらには偽者だ、平気だという会話。

何の説明も話も無い。

「なんなら俺、お前らの前からいなくなるよ」

黒斗がそう言ったとき、奥の気配…リーダーと呼ばれた男が動いた。

「それは困る。君には是非なってもらいたいものがあるんだよ」

リーダーは軽やかな靴音を響かせて黒斗の前に立つ。

「それを承諾するのなら、何の話か教えよう。

生憎、部外者に教えられるような話じゃないのでね。いいかな?」

黒いフードの中から鋭い、紅い瞳が彼を見る。

先程のリヴァイアサンと同じ「獲物を狙う目」だった。





















                    「嫌だ」


黒斗はそう言い切った。




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