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3話 現状確認、そして……

ひとまず投下しました。あとで修正する可能性はありです。


 またあらためて注意しますが、これは悪ルートです。人助けなんてまったくしません。


 人を殺したり、女を襲ったりするのがほとんどです。そういうのに嫌悪感を覚える人は注意してください。

「そうだ。ついでに聞きたいんだけどさっき大祐の眼、色が変わってたよな?実はもう魔王の力を自在に引き出せるのか?」


「う~ん…説明するのは良いけどあっさりでいいか?詳しくするなら長くなるぞ。」


「できれば詳しくが良い。だってお前、魂の鎖を外したって言ったけど何でそんなことできるんだ?それに山彦と竜也の呪縛はなんで外さないのかとか疑問だらけだし。」


「あの二人のことは大した理由じゃないんだけど。まあ、良い。あーー説明するけどその前にメイドからなんか飲み物もらってきて。たぶん喉渇くから」


「わかった。」



 エロ太はそう言いメイドたちに飲み物を持ってきてくれるように頼んだ。







 そして15分後、メイドたちは飲み物をテーブルに置いて退出する。


 

「さて、じゃあ始めますか。」



 湯気を立ててる温かい紅茶のようなものを飲みながら大祐は話し始めた。



「最初にざっくり言うとだ、この国の召喚では異世界召喚によって勇者が呼び出される際にいくつかの能力を与えられるらしい。


 1つは話し言葉と文字の読み書きの情報。普通に会話ができてるし、そこの棚にある本の表紙も読めるだろ?


 2つ目が戦闘能力。かなり上昇してるみたいだな。俺たちの世界で言うなら下級の魔法使いが貴族たちのような上級クラスになるようなものだ。


 3つ目が王族への服従の呪いだ。これを能力と言っていいかは微妙だけど


 そんでこいつらの影響、特に2つ目によって俺の中にあった魔王の力が表に出始めた。戦闘能力の付与は魂と肉体の両方に行っているみたいでな。結果として俺の魂の深い場所に眠ってた魔王が起こされた形だ。

 その力を使ってエロ太の呪いは解いた。けどまだ完全に起きたわけではないってところだ。わかったか?」


「ホントにざっくりだな。まあ、起きた現象はわかった。個人的にはもう少し詳しい原理を―――――」



 エロ太の言葉を遮り大祐はまた話し始める。



「詳しい原理は―――――やっぱりやめよう。長くなるし面倒だ!それよりも今後のことだが。」


「面倒って……今後のことは明日この国の連中から説明を聞いてからでいいんじゃないか?」


「説明を聞くまでもなくわかりきってるだろう。この国が俺たちにやらせようとしていることは、王の野心のため戦えってことだろ。」


「まあ、そうだろうけどな。」



 お互いの顔を見合わせ苦笑する。


 そう、最初から俺たちを召還した理由なんてわかりきっている。


 先ほどの謁見の際に言ってたじゃないか。戦えと!


 説明を受けるまでもない。



「しっかし、まあまあ………フフフ………本来は魔族に対抗するための勇者を人間相手に使うとは。……………………フフッフフフッハハハハ!!!まったく人間とは欲深いな!ハハハハハハ」



 一人で哄笑する大祐。





 (え!?どうしたんだ急に。いきなりキャラが変わってねぇか…まさかおかしくなった!?)






 思いながら大祐の顔を見つめると再び瞳の色が変わっていた。



 遅れて部屋の空気が変わっていることに気付く。知らぬ間に冷や汗をかき体が震えていた。



 よく見るといつのまにか部屋に高レベルの結界がかけられていた。



 大祐はバカにしたような目でエロ太を見ていた。



「何を驚くんだ“風太”?鈍い奴め。言ったばかりだろう?魔王の力を使ってお前の呪いを解いたと。」



 大祐の声の質まで変わっている。



 一言一言がすさまじい圧力となって感じられる。



 何で気づかなかったのだろう。魔王の目覚めは完全ではないと言われたからか?



 愚かなことだ。風太の力など魔王の0.0001%にも満たない。



 魔王がわずかでも表に出始めたのならばそれはもう人外の領域。




「あいつらの召喚のおかげで既に抑制不能となった。1秒ごとに、私の中の魔王の部分が人間の部分を侵食している。さっきまでは人の部分が勝っていたけどな。既に半分以上は魔王となった。」



 成程、おそらくは召喚についての説明を受けてる時に人の部分が負けたのだろう。だからこそ急激に変化した。


 ニヤリと本人は楽しそうに、しかし風太にとっては恐怖以外の何物でもない笑みを浮かべて大祐は語る。



「バカな連中だ。普通に召喚し助力を頼むだけなら私も魔王の力を抑えるために必死になっただろうに、服従の鎖をかけようとするなんてな。殺してくれと頼んでくるようなものだ!」



 (怖い!怖い!怖い!) 


 急激な話の展開に、そして何より大祐から放たれる圧力によってパニックになった頭では何をしたらいいかもわからない。


 必死に絞り出した事を傍目にもわかるくらい身体と声を震わせ風太は尋ねてみた。



「で、で、で、で、でも、あ、あ、あ、あ、あい、あいつ、あい、あい、あ―――――」


「少し黙れ。もうすぐお前も“戻るはず”だ。」



 言われ押し黙る風太。


 荒くなった呼吸を懸命に落ち着かせようと深呼吸をしようとするがうまくいかない。


 それどころか過呼吸になりかけた時!


 唐突に体の震えが止まり、汗も止まる。


 呼吸も正常になり意識がクリアになる。それどころかむしろ力がわき出るのがわかる。


 この感覚は――――


(使徒の力!)



「ようやく来たか。」



 大祐は特に何の感情もない言葉を放つ。


 一方で風太は力と共に本能が、殺意と性欲、破壊衝動が強くなるのを感じていた。



「鎖を外すついでに“起こしておいた”。お前の方は私に比べれば元の力も少ない。すぐに完全な使徒となるだろう。それまで待て。」















 そして数分が経ち



「どうだ?まだ終わらないか?」



 魔王が聞けば



「もう大丈夫です。久々の感覚が心地よく感じられます。」



 忠実なシモベが答える。



「ふん。昔同様に普段は敬語を使わなくていい。機嫌の悪い時だけ気をつけろ。」


「わかった。」


「それよりさっき何を言おうとした。」


「ああ。あの召喚式の服従についてだけど、あれはもともとそういう機能がついてて今の王族にはどうしようもないとかの可能性はないのか?」



 先ほどと違いスラスラと話す風太。


 魔王が瞳の色が変わり身にまとう気配も大きく変わったのに対し、風太には外見上の大きな変化はない。



「話しかけてきた召喚士を覚えているか?」



 筆頭魔術師であり第二王子でもあるシュタイナーのことだ。



「覚えてる。王と同レベルで頭を下げたくなったな。顔が似てたし王族だと思うけど。」


「あの召喚式は王族に服従するようになっていた。特に1番は王に対してだ。だが巧妙に隠されてはいたが割と最近のものであろう新しい式が組み込まれていた。あの召喚士にも王と同レベルで服従するようにするためのものだ。そして書き加えることができるなら、消すこともできるタイプのものだったからなあの式は。」



 一息つき飲み物を飲んだ後、再び語り出す。



「つまり本気で服従の能力を解こうと思えば解ける。しかし連中はそれをしていない。よって有罪だ。」


「なるほどな。それじゃあ、さっそく殺しに行くのか?」



 ワクワクした顔で尋ねる風太は、もはや初めに尋ねた魔王の力を取り戻した詳細な理由などどうでもよくなっていた。


 現実に今ある力を振るいたくてしょうがないのだ。



「それも良いがな、どうせなら野望が実現しかかってる時に殺してやろう。充実感を覚えてる時にすべてぶっ壊してやろう。せっかくバカ二人が服従してる状態だしな。」


「竜也と山彦はそのままにするっていうことか?」


「しばらくはな。当面は勇者として活躍させる。そしてこいつらがいくつかの国を奪い取った後にこの国を消してやろう!」


「それはそれで面白そうだな。じゃあ俺たちはどうする?」


「特に決めてはいない。気まぐれにやりたいことをやればいいだろう。」



 残酷な笑みを浮かべて宣言する魔王。


 そして同じような笑みを浮かべる使徒。



「ようやく私の力もほぼ元通りになった。」



 そう言い膨大な魔力で編みこまれた、金で縁取られた漆黒のマントを生み出し身に着けると



「行くぞ。」



 同時に二人の姿が掻き消えた。



 



 翌日、勇者が二人消えたことで城内は大騒ぎとなる。しかしそれもすぐに収まることになるのだが。


 山彦と竜也は王族への服従によりすぐに優先順位の低いことと認識するようになる。


 王は焦り、探し出すように命じるが残った二人の力を見たことで戦力は十分と判断する。

 山彦と竜也があまりにも大きい力を持つことから召喚の際に付与される力は二人で大部分を手に入れ、逃げた二人はほとんど力を持たないと考えたのだ。それにより服従の効果も低く、逃げるという選択をとったのだと。


 実際に過去にそのような事例が数回あったことや、謁見の際に風太が正気を保っているように見えたと多くのものが感じたことなどからそう判断された。


 勇者たちもそれを裏付けるような発言をしたこともあり(ただしその発言は大祐が気絶させたときに意図的に刷り込んだものである)、逃げた二人に関しては秘密裏に処分するよう命令を変更する。


 そして一般には勇者の召喚の情報は伏せられる。


 やがて勇者が表舞台に立つとき、国民たちに公表された勇者は“2人”であった。


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