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第1話:さらなる女の子らしさを求めて


 百合の母二人、雪枝と美里の子供達。


 雪人とアカネ。


 二人の子供達は百合の母たちと共に暮らし、将来は結婚を、孫を、と、言われ続け。

 本人たちも疑う事なく、母達の言葉の通り。

 子作りの練習にも励みつつ、近々、十八の誕生日に婚姻届けを、と。


 その一方で。


 アパレル業を営む母達の仕事を手伝う形で、雪人は『ユキちゃん』として、少女向けファッションのカタログ写真モデルのアルバイト。


 もちろん、少女向けファッションで女装して。


 それがまた、お似合いで、人気も出てはいたりはするのだが……。



 ある日の事。



「ねー、雪人くん。何、作ってるの?」


 勉強部屋でチョキチョキ、とハサミを動かして白く丸っこい物体を整形する雪人に声をかけ、問うアカネ。


「んー? 疑パイ」


 チョキチョキの手を止めて、アカネに答える雪人。


「疑パイ……? あぁ、疑似オ〇パイ?」

「そうそう」


 チョキチョキ、チョキチョキ。


 ふたつの白いアンパンが繋がったような形状の物体を左手に持ち、右手のハサミで器用に形を整えてゆく。


 ビニールのゴミ袋の口を下に広げ、切り取った不要部分をその中へ。


 ゴミ袋の口が動かないよう、着ているスウェットにクリップで止めてある。


「パット入りのブラじゃだめなの?」


 アカネの素朴な疑問。


「ブラだけだとアウターが自然な感じにならないんだよね……」


 アカネは自分の胸元と雪人の胸元を見比べて。


「あー……なるほど。言われてみれば……フルカップのブラなら大丈夫なんじゃない?」


「……フルカップだと、あんまり可愛いのが無くて……」


 そこにこだわりますか? と、苦笑を禁じ得ないアカネはしかし。


「やっぱりオトメだねぇ、ウチの旦那さまは……いや、もう、嫁か? これ……」


 女装にこだわりを持ち始めた雪人。


 女装の完成度を上げるために、ブラの中に収める『中身』にまでこだわりはじめ。


 『疑パイ』の制作に挑む。


「ん? これは……」


 雪人の座るクッションの脇に卵のような形をしたモノが転がっているのを見つけたアカネ。


 その卵型のモノを拾い上げてみると。


 卵型に近い形状だが、真ん中付近にひとつ突起物が付属している。


「思ったより軽い……手触りいいなぁ……ふわふわ、もこもこ……弾力すご」


 にぎにぎ、と、その卵型の物体を手のひらで握ってみるアカネ。


 握りつぶせば簡単に小さく潰れるが、手を開くとすぐに元の形状に戻る。


「それ、最初に作った試作品……まぁ、失敗作」


 答える雪人は、アカネの方は見ず、手元の素材を見つめてチョキチョキしながら答える。


「ふむふむ? これ、何でできてるの? クッションみたいだけど」


「クッションそのものだよ。クッションの中身の低反発ウレタン」


 チョキチョキ。


「うえ……クッション、壊しちゃったのね……」


「んや。これ用にホムセンで買って来た」


 チョキ、チョキ、チョキチョキ。


「なるほど……」


 アカネが握る小さな卵とは別で。


 同じ素材で、さらに大きな形状のモノを手にハサミでそれをチョキチョキと切る、と言うよりは、削るように。


「そっちが改良版ってこと?」


「うん」


 付着した削りカスを手のひらでゴミ袋へと払い落し。


「ほら。こんな感じ」


 キレイになった素材の形状をアカネに見せる。


「おぉ……色が真っ白だからちょっと違和感あるけど……それっぽいね……あれ?」


 微笑みと言うよりは、苦笑に近い笑みを浮かべ、夫が見せてくれた、夫が制作中の『擬似オ〇パイ』は、しかし。


「なんか、右と左で形が違うくない?」


「え?」




 雪人くんの女装DIY。



 前途多難?






いきなり始まりました。 百合母Pの続編/番外編w

本日これより20分毎に一挙第7話まで公開予定!

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