助言
最後にこれから受験勉強を始める人、浪人を決意した人に助言しようと思う。ただ、本気で信じるのでは無くて、参考程度に読み流した方が良いだろう。いわゆる、生存バイアスなども絡むからだ。つまり、これらの助言を信じてあなたが来年の春に志望校に受かるという保証は無いということだ。
一、予備校の授業は受けるべき。
初めてスカイダイビングをするとき、僕らはインストラクターと共に飛ぶ。インストラクターが空中で姿勢を取り、インストラクターがパラシュートを開き、インストラクターが着地する。
何故?
素人が見よう見まねでできる物では無いからだ。下手をすると死ぬからだ。
このように自分が危険な時はプロの指示に従った方がいい。
受験もそうだ。
受かった受からないで後の人生は大きく左右される。もちろん、学歴だけが人生では無いが、学歴の有無で変わることは多い。
第一志望の大学に行き、理想通りの人生を送るということが達成出来ないかもしれないという大きな危険があるならできる限りプロの言うことに従った方がいい。
無論、受験は自分がその身で試験会場に行くからスカイダイビングのようにはいかないが、パラシュートを開くくらいはやって貰える。
つまり、受験のプロたる予備校講師等の言うことは素直に聞いた方がいいのである。
独学で難関大に受かるなど、余程能力のある人間にしか出来ない芸当だ。
二、普遍的な勉強法など存在しない。
ネットを開けば「受かる勉強法」とか「偏差値70になるための勉強法」など色々とあるが、それがあなたに適するかは分からない。
「英単語は読んで覚えろ」という人がいるが、書いて覚える方が合っている人だっている。
ネットに蔓延る勉強法というものがあなたに合うかはやってみないと分からないのだ。至極当然なことだが、見失いがちな点でもある。
よく、高一、高二から受験勉強を始めると有利と言われるが、それは単に先取り学習をするだけでなく、自分に合った勉強法を「作る」時間に充てろ、という意味だとも言える。
勉強法は探す物ではなく作る物なのだ。
例えば高一くらいで行われる単語テストなんかで、今回は書いて覚えてみよう、今回は読んで覚えてみよう、今回は○○式暗記法を試してみよう、という具合に自分に合う暗記法を探し、そして、それらの良い点を組み合わせて自分なりの暗記法を見つけるのだ。高三になってからは勉強法を作っている暇は無い。作っているうちに春になってしまう。こんな具合で他教科も勉強法を見つけていけばよい。小テスト、定期テスト、模試など勉強法の成果を試すタイミングは多い。これらを是非活用してみよ。
三、勉強は机に向かわずともできる。
ひとつ僕からおすすめの勉強法を伝えてみる。簡単に出来るものなので試してみてほしい。(無論、合わなければやめてよい)
例えば「扉に注意する」とは英語でどう言うだろうか。
色々言い方はあるだろうが、「watch the door」が恐らく自然な言い回しである。
しかし、こんなものはわざわざ英作文の参考書を開かなくても知ることができる。
駅のホームに行けば「扉にご注意ください」という日本語のアナウンスのあと英語のアナウンスがある。電車の扉にも「扉に注意!」という文言の下に英語や中国語などでも注意の文言がある。
電車通学をする人ならほぼ毎日聞く、または見かけるフレーズのはずだ。しかし、読者諸君はそれを意識して聞いていただろうか。見ていただろうか。恐らく、英作文の参考書をわざわざ買って、わざわざ開かなければこのフレーズを知ることは無かったのではないか。
つまり、僕が言いたいのは「身の回りをよく見れば勉強に机はいらない」ということだ。確かに上のような勉強法は英語くらいにしか役に立たないかもしれないが、しかし、自分の身の回りをよく観察することは学問の第一歩であるはずだ。身の回りの現象に対して何か疑問が浮かべば、持てる知識で説明してみる。できなければ先生に聞くなりする。
このような勉強法は効率は良く無いだろうが、結構頭に入りやすいものでもある。気分転換に散歩してみて、日常の英語表現に目を光らせてみるとかそんな感じでやってみるとよいだろう。
四、試験は試験日に行われる。
至極当たり前なことだが、だからこそ忘れがちなことである。
浪人開始時によくある議論として「三月に勉強すべきか」というものがある。この「三月」とは大学に落ちた年の三月である。
しなくていい、という人もいれば、しろ、という人もいる。
しかし、こんなことは議論しても仕方ないのである。三月から気持ちを入れ替えて勉強して受かった浪人生は「三月に勉強したから受かった」というのは当たり前だ。しかし、三月に勉強しても落ちる奴はいる。
三月は勉強せず、リフレッシュに費やし受かった浪人生は「三月に勉強しなくてもいい」と言うに決まっている。しかし、三月に勉強せず落ちた浪人生もいる。
現役生も同じことが言える。高一から勉強して落ちた現役生もいるし、高三夏まで部活をして受かった現役生もいる。
勿論、早いうちから勉強をして損は無い。しかし、それは合格の必要条件でもなければ、十分条件でもない。
合格の必要十分条件はただひとつ。
「試験日に行われる試験で合格点を取る」
である。呆れるほど当たり前だが、受験生が忘れがちなことである。
とにかく試験日に合格点を取れればよく、そのためにすべきことをするのだ。
試験日に合格点を取るには自分は高一から勉強しなければならないと思うなら高一から勉強すればいいし、試験前日まで遊んでいても点が取れると思うなら受験勉強なんてしなくていい。
以上四つが僕のこの一年を振り返って思ったことである。繰り返しだが、いわゆる生存バイアスというものが混じっているだろうからこの四つを守れば合格するなどとは言わない。あくまで参考程度に思って欲しい。
高三生の人達はとにかく諦めないこと。模試の判定は基本的に悪い。けど、1月2月で急に伸びるから、不安の中をもがきながら進んで欲しい。
浪人生の人達もそうだ。僕も伸びたのだから諸君も伸びる可能性がある。
浪人が決まったあとは不安というか、自分が空っぽになった感覚になり、現実を受け止めるのが嫌だったり、何すべきか分からず、ネットとかで浪人生の体験記を読んで回る。ただ、心は満たされない。それはそうだ。落ちたんだもの。なら、もう受かるしか無いのだ。浪人は長いが、永遠ではない。僕は諸君の心を明るくしてあげることは出来ないが、ふたつだけ三月に僕がやったことを書いてみる。
ひとつ目は予備校の体験会に行くことだ。当たり前だが、行ってみないと分からないこともあるし、河合塾にするつもりだった僕が駿台に変えたように(もちろん、駿台にしたから受かったと言うつもりはない。河合塾にしても受かったかもしれない)、何か自分の中に変化があるだろう。そして、体験授業はあなたの志望がどこであれ東大京大クラスのものを取ることを勧める。というのも、東大京大クラスとなると、その予備校に出校する講師の中でトップクラスの講師が体験授業をして下さるからだ。そして大概、授業だけでなく、これからの1年の過ごし方とか、浪人生を励ます言葉などを教えていただける。トップクラスの講師だからこそ言えることがあるので、是非行ってみよう。
ふたつ目は一定の人数の同級生に会うことだ。
僕の場合は、三月の終わりに所属していた部活の定期演奏会があり、それを見に行った。会場には僕と同じように僕の同級生が来ていた。彼らは僕とは違って大学に受かっており、髪を染めたり、化粧していたりなど「大学生」になろうとしていた。こういう彼らの姿をみて僕の気持ちはますます沈んだが、ある種区切りにもなった。彼らの姿を見て、大学に落ち、浪人生となった自分というものを客観的に捉えることができた。開き直りに近いのかもしれない。でも、今思えば彼らへの羨望、自分が落ちたことへの悔しさなどといった負の感情が浪人開始時のモチベーションになっていたのだろう。
最後に、思いつきで書いたこんな文章を読んでいただきありがとうございました。そして、皆さまが志望大学に合格できることを祈って終わりにしたいと思います。