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走れ! トイレのために!

作者: モリワカ

息抜きのために短編を書いてみました

もしよろしければ読んでくれると嬉しいです

俺は借金を抱えている

それも一日二日じゃ返せないほどの金額だ


今も少しずつは返していってはいるが、なんせ金額が大きすぎて終わりが見えない

このまま俺は一生借金を抱えたまま生きていくのか


そんなことを思いながら歩いていると一枚のチラシが俺の目に留まった

そこにはこう書かれていた


『マラソン大会開催! 賞金は何と百万円!?』


これは俺にとって転機だと思った

学生の頃は足もそこそこ速かったし、運動も結構していた方だ


今は仕事に追われるばかりでそんな暇もないが

だが、これは借金を一気に返せるチャンスかもしれない

そう思った俺は早速マラソン大会に向けて準備を始めた


仕事終わりは体力をつけるために二駅前で降り、走って家に帰る

仕事が無い日は毎日十キロのランニングを始めた

少し出ていたおなかも徐々に引き締まってきた


そんなことを続け、マラソン大会当日を迎えた

前の日は全力を尽くすため、早めに仕事を終わらせ睡眠をたっぷりとった

勝てないはずがない


俺の他にも参加者はたくさんいる

中には趣味程度で参加している者もいれば、俺と同じように金目当てで参加している者もいた

その中にはいかにも走れなさそうなぽっちゃりした男もいたが、そいつに負けることだけはないだろう


そして、開始のピストルが鳴る

参加者は一斉に走り出す

最初から飛ばしている奴らは、本当にお金目当てでペース配分など全く考えていないのだろう

とにかく誰よりも先にゴールにつけばお金がもらえるとしか考えていないのだ


最初は飛ばしすぎず、体を慣らしていくのがいい

急に走り出したら体もびっくりして、いい結果が出せないのは学生の頃に経験済みだ


あのぽっちゃりした男は最後尾に近い俺よりもかなり後ろにいる

あんな体型で走れるわけがないだろうに


このマラソン大会は賞金だけが景品ではない

なんと二泊三日の温泉旅行券もついているのだ

お金の面は全て主催者側が負担するというのだから行かない手はないだろう


俺の隣をサングラスをかけた女性が通過していく

この人は普段から走っているように見えた

スピードも一定で呼吸も比較的安定している


だが、まだ焦るような時ではない

勝負はまだ始まったばかりだ

俺の後ろには人が数人しかいない

最初はこの位が妥当だ


少しペースをあげて走っていると給水地点が見えた

長く走っているとすぐに水分が抜けてしまう


「みなさーん 頑張ってくださいねー」


給水地点にいる女性が応援してくれた

これは頑張るしかない

俺は女性にぺこりと頭を下げて水の入ったペットボトルを手に取った


給水地点を通過し、水も飲み終えた俺の後ろには最初よりも多くの人がいた

おそらく最初に体力を使いすぎて、スピードが落ちてきたのだろう

ペース配分を考えないからこうなるんだ


俺は後ろの人を心の中であざ笑いつつ、さらにスピードを上げる

ふと、気がつくと俺の後ろにはあの男がいた

とっくにリタイヤするものだと思っていたが案外頑張るな

でも、時間の問題か


二個目の給水地点を通過し、俺は折り返し地点にいる

ここまでは順調に進んでいる

何も問題はない

このままいけば一着は間違いない


俺の前を走る若者三人組もペースが落ちてきている

おそらくこいつらはお金が欲しくて参加したのだろう

俺と目的は同じだが、信念が足りなかったな


俺はその若者たちの横を軽々と通り過ぎる

若者たちはひいひい言いながら走っていた

若者よ お金は働いて稼ぐものだ 楽してもらえるわけがないだろう


若者たちを抜かして、しばらく走っているとき 事件は起きた

突然尿意が俺を襲ったのだ

トイレに行くこと自体は特に禁止されていない

だが、ここでトイレに行けば大幅な時間ロスになること間違いなしだ


俺は尿意を抑えつつ、走ることに集中する

トイレくらい男ならその辺ですればいいと思うかもしれない

しかし、走っているのは普通の道路だ

一般人も通る場所で立ちションなどできるはずがない


俺の額に汗の粒が浮かぶ

トイレなんてさっさと行けばいいと思うかもしれないが、マラソン中のトイレは思っているよりも難しい

一度止まってしまえば、再び走るには時間が掛かる

その時間こそ惜しいのだ


それにゴールに近付けば近づくほどトイレの数は少なくなる

これはコース的な問題であり、誰も変えることはできない

一着になるためには、トイレすらも我慢するしかないのだ


やばい そろそろ本気で尿意が暴れだしている

もうすぐゴールが見えるというのに

俺の尿意 耐えろ! あと少しの辛抱だ!

膀胱も悲鳴を上げそうだ


最後の給水地点が見えた

俺の前にはもう数人しか走っていない

俺は女性が渡してくるペットボトルをやんわりと断る


女性は心配そうな顔をしていたが、そんなことを考えている場合ではない

これがラストスパートだ! 一気に突っ走るぞ!


そんな俺の後ろをあのぽっちゃりした男がついてくる

なんてことだ! あの体型でここまで体力が持つ者がいるだなんて

あの男もなかなか侮れない


ようやくゴールが見えた

俺の膀胱はもう決壊寸前だ

一刻も早くゴールしてトイレに行かなければ!


そんなことを考えているとすぐ隣にあの男がいた

バカな!? 早すぎる! しかも汗もそんなにかいていない


「お兄さん なかなか早いですね」

「そ、そうですかね?」


ぽっちゃりした男は軽く俺に話しかけてきた

まだ最後に出す力くらいは残しているが、この男のように喋るような力はもうない

まさかこの男に俺以上の力があるとは思わなかった


「あなたは何のために走っているのですか?」

「俺は、金の、ためだ」


俺はとぎれとぎれになりながらも話をする

本当は静かに走りたいが、こいつが話しかけてくるから答えざるを得ない


答えずに無視をするという手もある

だが、それは俺が負けたような気がして嫌だ

それにしても、この男はよくしゃべる


「お金のためですか まあ お金さえあればなんでもできますからね」

「は、はあ」


もうすぐゴールだ

もう我慢の限界が近づいている

油断すれば出てしまいそうだ


「最後くらい本気で走ってみませんか?」

「い、いいだろう」


俺は最期の力を振り絞り、尿意を完全に抑え込んだ

こいつと最後の決着をつけるために


ぽっちゃりした男と俺は、ほぼ同時にゴールした

結果はビデオ判定になった

俺は色んな意味でドキドキしていた


俺の足が先にゴールへついていた

俺の勝ちだ! 百万円は俺のものだ!


俺はその場で喜んだ

尿意のことなど俺の頭の中から抜けていた

男性スタッフらしき人に声を掛けられる


「一着おめでとうございます! 今の気持ちをどうぞ!」


マイクを突き出される

その時、ふっと気が抜けてしまった

ついに膀胱が決壊した


地面に小さな水たまりができる

ほのかに湯気も出ていた


あ、やっちまった

俺は男性スタッフのマイクを取ることなく、その場にしゃがみこんでしまった


その後、俺は賞金百万円と温泉旅行券をもらった

だが、俺の気は晴れなかった

俺はマラソン大会には勝ったが、世間的には大負けという結果を残した




さんざん我慢した後のトイレより気持ちいいものはないと思いませんか?

でも、トイレを我慢するのは体にとって悪い事なのでマネしないようにお願いします

いいなと思っていただけたら、評価の方よろしくお願いします

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