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プロローグ

この物語の主人公"ルーク ウィリアムズ"には幼い頃からよく見る夢がある。それは夢とは思えないほど鮮明で熾烈な内容である。


 ※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 ルークは両親がいる居間に入ろうとする。しかし先程まで騒がしかった部屋は異様な静かさに包まれており、ルークは入るのを一瞬ためらう。

 ルークは迷った末、一センチほど空いている扉にゆっくりと細い指をかけ、扉を数センチ開けてみた。


 そこから中の様子を覗き込む。まず目に飛び込んできたのは血まみれの白い手だ。その手の薬指には銀色の指輪が嵌められている。その指輪には見覚えがあった。ルークの母の指輪だ。

 普段なら銀色に輝く綺麗な指輪のはずが、血に塗れ赤く染まっている。

  

 まさかーー、


 ルークは倒れている人の顔を確認しようとする。そして扉をもう数センチ音をたてずに慎重に開けてみる。白い手の横に血まみれの女性の顔が見える。その頭にはナイフが深々と刺さっていた。

 その顔を見た瞬間、ルークは絶句した。


 ーーママ。

 

 その女性はルークの母親であった。


 血まみれで横たわる母親のすぐそばには、屈強な大男がいた。その男の顔は見えない。だが、首にある右上から左下にかけて存在する太い三本の鉤爪のような傷跡がはっきりと見える。

 その男が血の絨毯の上でルークの父親の首を片手で掴み軽々と空中に持ち上げていた。


「ううぅ……」

 

父親は苦しそうに呻いている。呻き声が徐々に小さくなりやがて辺りは静寂に包まれる。小刻みに動いていた父親の足も動かなくなっていた。

 ルークはスカイブルーの大きな瞳に溢れ落ちそうな程の涙をためて、無意識のうちにあとずさりをしていた。


 いつもそこで目が覚める。この夢の内容はルークが幼い頃に経験した記憶の一部だ。

 時が経ってもこの記憶が薄れることはない。そして、幼い頃から繰り返しこの事件が夢にでてくる。


 ルークは、大きな瞳を開け、入学式の最中に今日見た夢の内容を思い出していた。

 いつもその夢はそこで途切れ、その夢の先を見たことはない。なぜなら、ルークの記憶もそこで途切れてしまっていて、その続きを覚えてないからだ。


 ルークは両親の死の真相を掴むために政府の『犬』である『スパイ』となった。

 ルークは今、鉤爪の男が関わっているという噂の『ディッファレント アビリティ学園』に潜入している。


 ルークは身長172センチ。スラリとした均整のとれた体型をしている。流れるようなサラサラの銀髪の髪をサイド部分の内側を刈り上げ、トップとサイドの髪をやや長めに残したいわゆるツーブロックという髪型をしている。現在は高校の入学式が開かれており、この学園の制服である紺色のブレザーに紺色のパンツ。赤とシルバーのチェック柄のネクタイを締めて入学式に出席しているところだ。


 ルークはこれから自身に課せられる任務の難易度に胸焼けがしそうになる。今まで数々の任務をこなしてきていたが、長期に渡るであろう潜入捜査をするのは初めてだ。

 

 ーースパイたるもの千の顔どころか万の顔でさえ演じて見せる。


 ルークは心に固く誓った。


 

 


 




 


 

 

 


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